大学での経験が活きた日本代表 元立命館大学応援団副団長・大西真菜美4
「私の4years.」13人目は、元立命館大学応援団副団長の大西真菜美さん(24)です。大学に入り、チアリーディングと応援団の両方に全力で取り組んでいた大西さん。5回連載の4回目は、4回生のときに日本代表チームに選出され、キャプテンを務める上で考え工夫したことについてです。
日本代表への選出、キャプテンへの抜擢
大学4回生の4月に、11月に開催されるチアリーディング世界選手権大会出場の日本代表選抜試験がありました。世界選手権大会は2年に1度行われ、女子・男女混成・ジュニア部門等があります。日本代表は全国でオーディションを勝ち抜いたチアリーダーで構成されます。私は男女混成チームとして選出していただき、19人のTEAM JAPANが結成されました。あわせて、キャプテンとして日本代表を率いることになりました。正直キャプテンに抜擢された時は、新たなチームを率いるという楽しみ半分、日本を背負うという不安が半分でした。
男女混成部門・日本代表キャプテンとして難しかった点は2つあります。
まず1つ目は「信頼関係の構築」です。日本代表として練習が開始されるのは8月。8月にチアリーディングの全国大会の中でも1番大きな大会であるJAPAN CUPが開催され、その後日本代表として練習が始まります。8月から11月の3ヵ月という短い期間で演技を完成させなければいけません。
演技の中で最も重要な事は「信頼関係」です。日本代表チームが結成されてから初めて会うメンバーもいる上に、日本代表の練習は自チームの練習と並行して行わなければいけなかったので、なかなかコミュニケーションを十分に取れず、信頼関係の構築が難しいと感じました。
週3~4日ほど日本代表として練習し、残りの日数は自チームで、となると、練習してできるようになった演技(技)が次の週に集まった時にはリセットされてしまい、また1から練習ということが何度もありました。前に進まない日々が続いて焦りが出てしまう上、まだチームが密になりきれておらず、個々が思っている意見をなかなかチーム全員に発信できなかったりする状態でした。
そして、2つ目は「価値観の統一」です。全国のチームから集まって1つのチームを創るので、自チーム毎に練習方法が異なったり、価値観の違いがあったりしました。チーム毎にコーチや監督主体なのか、学生主体のチームなのかも異なります。そして、練習方法や大事にしているものの違いもあります。それを踏まえた、日本代表のやり方を創っていくことに試行錯誤の繰り返しでした。
「自主性」を大事にした個々が活躍できるチーム作り
この2つの問題点を解決すべく、日本代表の男女混成チームは「自主性」を大事にしたチームにしたいと考えました。私が考える「自主性」とは、個々の持っている力や、得意としていることを存分に活かすことを指します。それは演技の中だけでなく、チーム内でのコミュニケーションにおいても活かしていきたいと思っていました。
人それぞれキャラクターや持っている力は違い、その人にしかない説得力や影響力があります。その力を出し合うことによってお互いを助け合えれば、ストレスなく練習や演技に集中することができ、信頼関係の構築につながると考えました。
今までだと、チームの中で全然話すことのできない性格のメンバーがいれば、無理にでも話させようとしていました。でもそれでは「言わせている」だけであって、険悪なムードになる場面も多々ありました。そうではなく、練習中にチームに対する発信が少ないからこそ、いざ発した言葉には重みがあると感じました。その力はキャプテンである私には作り出せない力であり、その人ならではの力です。
また、持っている力には自分自身ではなかなか気づきにくいものです。一人ひとりと個人的なミーティングを行い、私の考えを話して相手の胸の内を聞き、理解を深め、良さや持っている力の発揮場所を伝えました。それを続けて、チーム全体で個々の個性を理解することで認め合い、ストレスのない人間関係を構築していきました。主にチームを盛り上げるのが得意なのは男性陣、平常心を保つのが得意なのは女性陣。お互いを理解することでとてもいいバランスのチームを創れたと思います。
絆を深め、本番に臨む
大会前の東京・大阪・福岡・富山の遠征では公開練習やクリニックも合わせて開催しました。たくさんの方々からの応援の言葉を頂き、より一層身が引き締まる思いでした。富山遠征での練習では3部練習、1日合計約12時間の練習をしたこともあります。遠征で衣食住を共にすることで、より絆を深められました。
迎えた本番。大会は2日間にわたり行われ、準決勝ではミスがあったものの1位通過できました。ですが、ミスがあること自体が悔しいこと。その日の夜もミーティングをし、ミスをした箇所は本来成功率の高い場面なので、技術ではなくメンタルの問題だと考えました。また、「自信があったとしても他の場面もミスが起きる可能性は十分にあるので、再度気を引き締めて、1つ1つ噛み締めて演技をしよう」と話をしました。
そして迎えた決勝当日、「いつもの自分達の雰囲気とペースで挑もう」と思っていましたが、悲劇は起こりました。それは、人生何が起こるかわからないと気づかされた瞬間でした。