ダンス

連載:私の4years.

チアが教えてくれた学びを胸に前へ 元立命館大学応援団副団長・大西真菜美5完

世界選手権優勝のトロフィーとともに(写真はすべて本人提供)

「私の4years.」13人目は、元立命館大学応援団副団長の大西真菜美さん(24)です。大学に入り、チアリーディングと応援団の両方に全力で取り組んでいた大西さん。日本代表メンバーにも選ばれ、キャプテンも務めます。5回連載の最終回は、世界大会の直前に襲ったアクシデント、そして大学を通して学んだことについてです。

本番直前、まさかのアクシデント

大学4回生の11月、チアリーディング世界選手権決勝当日。朝から戦闘態勢十分な状態で臨みましたが、悲劇は起こりました。本番前のリハーサルにて私自身がけがをしてしまったのです。くるぶしの靭帯損傷です。足をぐねってしまい、「バキッ」と音が響き、少しの間立つことができませんでした。キャプテンにも関わらずチームから離れなければいけない時間もあり、険悪なムードになってしまい、とても申し訳なさでいっぱいでした。

本番では心を一つに、ミスのない演技ができました

ですが、そこを救ってくれたのはチームのメンバーでした。みんなが私を信じ、盛り上げてくれたおかげでチームも立て直し、私自身も気持ちにもやがかかることなく本番に挑めました。そして、ミスのない演技を披露し、自分たちの力を最大限に発揮することができました。

1位の発表、「JAPAN!」
この言葉を聞いた瞬間、メンバー同士抱き合いました。

嬉しすぎてみんなで飛び上がり、抱き合いました

今思えばあのけがも無駄にはなっていないと感じます。悲劇が起こったからこそチームはより協力的になったと感じます。「今思えば」ですが……。あの時は内心、本当にどうなることかと思いました(笑)。

そして、日本代表として取り組んだ3カ月は短くも非常に濃い時間で、私をとても成長させてくれました。一人ひとりと向き合うことや、お互いを認め合うことの大事さ、改めて仲間を信じることを学びました。大学生活の中でこの経験ができたことをとても嬉しく感じます。また、これは今後の私の人生を大きく動かすことになりました。

周りの人のサポートあってこその挑戦

世界大会への挑戦は他の方々のサポートがあったからこそ乗り越えられたと思っています。

部活動の面では、チアリーダー部の私の同期「OHANA」のメンバーにたくさん支えられました。その一つはチーム運営の部分です。私は自チームでも幹部を務めていましたが、世界大会期間中はチームを離れなければいけませんでした。その間、他のメンバーがフォローしてくれ、チームを円滑に回してくれていました。その日練習であったことなど、チーム状況も都度教えてくれ、私の帰ってくる場所を作ってくれていました。

同期「OHANA」のみんなに、本当に支えられました

学業の面では、他の部活の友人やチアリーダー部の後輩にも助けられました。他の部活の友人とは、いつも応援団として応援に駆けつけている部活動の主将です。キャプテンとしての悩みを互いに共有したりして、私の状況を理解してくれていました。世界大会中は遠征に行っていることもあり、授業にもなかなか出席できませんでした。その間、授業内容を後で教えてくれたり、授業プリントをもらってくれたり、テスト勉強を一緒にしてくれたりしました。そのサポートのおかげで私は無事単位を取り終える事ができ、社会人として出発できました。学業は部活動の他に悩んでいたことのひとつでもあったので、本当にこの友人には感謝しています。

たくさんの経験が向上心を持たせてくれた

私には次なる大きな夢があります。それはチアの本場アメリカで、アメリカの国技・NFL(アメリカンフットボール)のチアリーダーになることです。ですが、オーディションの倍率は10倍以上。世界最高峰のチアリーダーになることを夢見て世界各国からチアリーダーが集まります。加えて、特殊な就労ビザであるO-1ビザを取得する必要があり、オーディションを勝ち抜いたとしてもビザが取得できなければ渡米できません。

決して簡単な道ではありません。大学を卒業した後一般企業に勤めましたが、アメリカンドリームをつかむべく一大決心をし、退職しました。

2020年の2月に渡米し、本場でNFL のチアチームの練習に参加していました。しかし、新型コロナウイルスの影響で早期帰国することになり、異例のオンラインでのオーディションとなりました。

時差がある中で大変ではありましたが、今できる最善を尽くせました。ですが、悔しい結果となりました。しかし実際にアメリカでの練習に参加したことで感じた日本とアメリカの違いや学び、これからの課題をたくさん得る事ができました。この経験を活かして1年をかけて力をつけ、パワーアップした私として再度挑戦を考えています!

私のチアリーディング時代からの目標は「影響を与えられる人になること」です。チアリーディングで世界一の成績を収め、NFLチアリーダーになった人はまだいません。先駆者となり次世代チアリーダーの新たな道を開きたいと思っています。また、私が夢への挑戦を発信することで、チアリーダーだけでなく、多くの方々の夢や希望の後押しになると思っています。

NFLチアリーダーのファイナルは、オンラインでのオーディションでした

チアリーディングを通して、たくさんのことを学びました。その中でも私が今でも大事にしていることは「コミュニケーション」、「オープンマインド」、そして「頼る」ことです。

一人ひとりと向き合うことや、お互いを認め合うことの大事さから「コミュニケーション」の大事さを学び、私自身が「オープンマインド」ではなければ相手も心を開いてくれないということ、そして私一人の力ではできることは限られてしまうので、「頼る」勇気を持つこと。この学びを常に胸に生活しています。

大学生活で数多くの濃い経験をしたからこそ、「もっといろんな経験をしてみたい」「もっと上を目指してみたい」という向上心を持てるようになったと改めて思います。学業だけでなく、人間性を学べた大学時代の経験を胸に、今後も挑戦し続けたいと思っています。

「リアル桜木花道」と呼ばれ、泥臭くボールを追った 元筑波大バスケ部・青木太一1

私の4years.