拳法

同志社日本拳法期待のルーキー 高校生王者・新垣颯太の強さの秘訣とは

高校最後の大会で見事日本一に輝いた新垣(写真はすべて本人提供)

昨年度、同志社大学日本拳法部はインカレ団体戦を3位で終え、優勝という目標には惜しくも届かなかった。さらに部の基盤であった4年生が引退し、今年度は大きな戦力ダウンが危惧されていたが、期待の逸材が入部した。

19年度に開催された全ての全国大会で優勝

昨年度の高校生チャンピオンである新垣颯太(1年、関西福祉科学大高)は、実績豊富な新入部員として迎えられた。日本拳法総合選手権大会(高校生の部)を含む、2019年度に開催された全ての全国大会で優勝を飾るという華々しい成績の持ち主だ。高校2年の春に行われた全国高等学校日本拳法選抜大会で優勝したことがきっかけとなり、同志社から推薦の声がかかった。

幾度となく全国制覇を収めてきた新垣が、日本拳法を始めたのは5歳のときだ。気の弱さを直すためにと、両親の勧めで友だちが通う道場に入門。競技を始めてわずか3年という早さで、全国の頂点に立った。

小学生のころには4度の全国優勝を経験。中学に上がると、道場で拳法を続けながらも部活はラグビー部に所属した。ラグビーに熱中するあまり、中学1・2年時の選手権大会では優勝を逃した。しかし、少年拳法最後の年となる中学3年のとき、新垣は再び表彰台の頂点に登った。この優勝を機に、高校では日本拳法を続けることを決意。日本拳法の強豪校として知られる関西福祉科学大学高校(大阪)に入学し、3年間で個人・団体合わせて7度日本一に輝いた。

「負けたらその分、必ず強くなれる」

日本拳法の魅力は、拳法ならではの独特な緊張感だという。総合格闘技と同じく、反則行為以外はいわば「なんでもあり」のルール下で行われる。しかし、総合格闘技はラウンド制なのに対して日本拳法はわずか3分という短い時間内、2本先取で勝敗が決まる。この緊張感こそが日本拳法の魅力の一つだと新垣は語った。

全国高等学校日本拳法選手権大会、個人戦決勝

試合相手が強ければ強いほどワクワクし、試合に負けてもあまり引きずらない。「負けたらその分、必ず強くなれる」。そう考えるようにしていると話す新垣。このポジティブな性格も、全国を制する秘訣なのだろう。

自身のことを「感覚でこなす天才肌ではない」と語る新垣の最大の強みは作戦を練る力だ。どうすれば相手を倒せるか、試合前だけでなく試合中も考える。あまりの集中力から、試合後には必ず頭痛を伴うという。そんな頭脳派の新垣にとって、試合前の糖分摂取とエナジードリンクは必須だ。

この自粛期間を実のあるものにすべく、日々トレーニングに励んでいる新垣。曜日ごとに練習とトレーニングの日に分け、自分独自の方法で取り組む。一方、自分のことだけではなく、大学から日本拳法を始めた同期の部員のことも気にかけていた。

新入生ながら数少ない経験者として、オンラインで拳法の基礎的な動きを自ら実践して教えるという頼れる一面も持ち合わせている。「初心者の人からも学ぶことはたくさんあると思う。どんどん自分のものにしていってもっと成長したい」と、意欲的な姿勢を見せた。

次世代エースとして期待される新垣は、大学での目標に個人・団体の全国優勝を掲げた。特に個人戦では、関西福祉科学大高時代の先輩であり、圧倒的な強さを誇る木村柊也(2年、明治大)と冨永一希(2年、龍谷大)に打ち勝ち、頂点を目指す。勝つこと、そして優勝することに対し、「自信はある」と意気込んだ。

どんな相手にも臆することなく戦う新垣の大胆不敵な姿勢は、同志社日本拳法部の若き闘将として、新たな系譜を築くだろう。

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