準硬式野球

早大の関大輝、理系のリードオフマンが打線を引っ張る 東京六大学準硬式

初の首位打者を狙う早稲田大学の関大輝(撮影・森田博志)

東京六大学準硬式野球の秋季リーグが5日に開幕する。リーグ4連覇を狙う早稲田大学の関大輝外野手(3年、江戸川学園)は異色の理系リードオフマンだ。8月に開かれた全国大会の代替大会では打率.538をマークし最優秀打者に輝いた。授業の関係で平日の練習にほぼ参加できない中、新型コロナウイルスの影響で2季ぶりに開かれるリーグ戦で初の首位打者獲得に挑む。

打線引っ張る「優勝請負人」

関は1年生の夏から出場機会が増えると、いつしか「優勝請負人」と呼ばれるようになった。早大は2018年夏の清瀬杯全日本大学選抜大会で優勝。その秋から東京六大学でのリーグ3連覇が始まり、昨夏は35年ぶりに全日本大学選手権を制して大学日本一に貢献した。秋には関東地区選抜メンバーに選ばれ、オーストラリアへ遠征した。

千葉県船橋市で育った根っからの野球少年だ。「『0歳10カ月。初めて立った時からボールとバットを握ってました』と就活でも言っています」。幼少期、野球好きの父からつきっきりで左打ちを教えてもらった。中学の時には船橋シニアで全国大会にも出た。高校は甲子園出場経験もある進学校の江戸川学園へ。中軸打者として最後の夏は茨城大会の3回戦まで進んだ。成績優秀で「早稲田で野球ができれば」と指定校推薦で早大の基幹理工学部へ入った。

知らなかった準硬式、本気で野球を続けたい

早速、野球部の門をたたいたが、「早稲田の理工がここまできついと思ってなくて、全然、練習にも行けない状況だった」。夜の練習しか参加できず、先輩らと話し合い1カ月ほどで退部することになった。野球のサークルなどに入ることも検討したが、競技と真剣に向き合う準硬式野球部を紹介された。準硬式の知識はなかったが、見学してみると「もう一度、本気で野球ができる」と入部を決めた。

平日の練習は週1回程度しか出られなかった。2年から看板学科の機械科学・航空宇宙学科に進み、昨秋から平日のほとんど練習に出られなくなった。3年生部員26人のうち、基幹理工学部生は1人だけ。練習参加は土、日や夏休みなど中心となっているが部から配慮してもらっている。

関東サマーチャレンジ杯で最優秀打者に輝いた関(撮影・早稲田スポーツ新聞会)

まだ、明確な進路は決めていないが、3年になり就職活動も始めた。さらに忙しい日々を送るが、「充実している。準硬式を選んでよかった」と言う。コロナ禍で春のリーグ戦は中止になった。連覇を狙った全日本大学選手権もなくなった。8月の代替大会、関東サマーチャレンジ杯に臨むにあたり、「この先、大学で何打席立てるのだろうと考えた。これまで凡打で悔いを残すことが多かったが、たとえ凡打になっても悔いは残したくない」と思った。大会では決勝で日本大学に敗れたが3試合すべて複数安打し、計13打数7安打の結果を残した。

なるか首位打者

関は足が速い方ではないが、1番を任されるようになった。昨秋から出塁率の高さを買われ中軸から打順を上げた。「3季連続でベストナインに選ばれれば、チームにも貢献したことになる。惜しくも逃している首位打者にも挑戦したい」

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