ビーチバレー

ビーチインカレ男子、古豪・日体大が優勝 「対応力」でつかんだ29年ぶりの快挙

21年ぶりにビーチインカレに出場した日体大が29年ぶりとなる優勝を果たした(左から福嶋と小田、すべて撮影・ビーチバレースタイル)

荒井商事杯 第32回全日本ビーチバレーボール大学男女選手権

9月5~6日@兵庫・大蔵海岸公園海水浴場
男子優勝 日本体育大学(福嶋晃介・小田涼太ペア)
2位 鹿屋体育大学(山下将人・八木渉太ペア)
3位 大阪大谷大学(門原季輝・中前宙ペア)

ビーチバレーボールのインカレが9月5~6日に開催され、男子大会は日本体育大学が優勝した。3年の福嶋晃介(福大大濠)と小田涼太(別府鶴見ヶ丘)は、澄み渡る秋空に明石海峡大橋が映えるビーチで、初の栄冠を手にして微笑んだ。日体大のビーチインカレ優勝は29年ぶりのこと。1990年第2回と91年第3回とで優勝を飾ったビーチの古豪だが、2000年以降はビーチインカレへの出場はなく、今大会は21年ぶりの出場での快挙だった。

東京五輪を視野にビーチバレーを強化

日体大が再びビーチバレーに力を注ぐことになった理由。それは、東京オリンピックの開催を視野に入れ、17年、学内にビーチバレーコートが創設されたことも挙げられる。それを機にバレーボール部に「ビーチバレーボールブロック」を設け、今年2月に海外において日本バレーボール協会主催で行われた「ビーチバレーボール・ハイポテンシャルアスリート合宿」に選手を送り込んだ。その合宿に有望選手として参加していた福嶋と小田は、今回のビーチインカレでペアを組み、初めて大学界の公式戦に挑むこととなった。

身長187cmで身体能力の高い福嶋が高さとパワーを見せつけた

大会の幕が上がり、福嶋・小田組はダークホースとして快進撃を見せた。小田は身長178cmながらも持ち前の攻撃テクニックをビーチで発揮。身長187cmで豊富なジャンプ力を持つ福嶋も、ネット際で高さとパワーを見せつけた。福嶋は言う。「海外での合宿で基本をみっちり教わっていたので、今大会でそれを生かすことができたし、セットしてから打つこと、打たすことができました」

リード中もあえてタイムアウトをとったわけ

とくに2回戦では、昨年3位入賞を果たし優勝候補の神戸学院大学の四方亮(4年、大産大附属)・出口司透(2年、明石清水)組とフルセットゲーム(21-13、14-21、15-13)を展開。ビーチバレーの経験値では自分たちを上回る相手を倒し、勝利をつかみ取った。この試合について小田は振り返る。

「この大会を戦う上で、インドアバレーでやってきた練習を生かすことと『対応力』をテーマにしていました。それは相手への対応だったり、風への対応だったり……。神戸学院大は対応力が優れていたので、ギリギリの場面でリードを保ってしっかりサイドアウトを切って、なんとか逃げ切ることができました」

小田(左)は上背こそないが、抜群の攻撃スキルでライバルを圧倒した

小田が言う「対応力」。それは鹿屋体育大学の山下将人(3年、日向学院)・八木渉太(1年、高知)組との決勝戦でも見て感じられた。福嶋・小田組は、自分たちがリードを奪っていながらも、炎天下のビーチで度々タイムアウトを要求していた。通常であれば、体力の消耗も考えると一気に勝負をつけたい場面だが、そこには裏打ちされたポジティブな理由が存在していた。「決勝戦はプレッシャーもあったし疲労が溜まっていたので、思考が働かなくなっていました。だから勝っている場面でも気持ちをリセットするため、タイムアウトを活用しました」(小田)

決して、流されてプレーはしない。最後までしっかり考え抜いてプレーした福嶋・小田組の優勝は、一つひとつ課題を乗り越えた結果だった。

トレーニングのためだったビーチバレー、今は高みを目指す

初のビーチインカレで栄冠を手にした日体大の福嶋と小田。小田は「最初は下半身のトレーニングを兼ねてビーチコートで遊んでいたけど、今は合宿や試合を経験してビーチでも高みを目指したいと思うようになりました」と心境の変化を打ち明けた。一方の福嶋は「インドアバレーもビーチバレーも両方、がんばりたい」と両立の目標を掲げる。

インドアバレーのために取り組んでいたビーチバレーだったが、次第に意識が変わってきた

インドアバレーとビーチバレーは人数や競技環境は違うと言えども、同じバレー。大学バレーボール関東1部リーグに所属する強豪校がその相互作用を見事に証明してくれた。福嶋と小田のさらなる成長と将来に期待したい。

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