大学陸上・駅伝

早稲田大・中谷雄飛 28分19秒27の自己新で笑顔、悪夢のインカレから前進

記録を狙っていた中谷は、序盤から積極的なレースをしかけた(撮影・朝日新聞社)

トラックゲームズ in TOKOROZAWA

10月11日@早稲田大学・織田幹雄記念陸上競技場
男子10000m
3位 中谷雄飛(早稲田大3年) 28分19秒27

10月11日に早稲田大学内で行われた「トラックゲームズin TOKOROZAWA」最後の種目の10000m、早稲田大は臙脂(えんじ)のエース・中谷雄飛(3年、佐久長聖)の“覚醒”を待っていた。中谷はWA規格外シューズながら28分19秒27をマークし、日本選手権参加標準記録A(28分20秒00)を突破。9月にあった日本インカレの悔しさを晴らした。

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積極的なレース展開からラスト勝負へ

中谷は昨年のトラックシーズンにけがが続いたこともあり、今シーズンは継続的に練習を積んでいくことを意識して練習に取り組んできた。7月のホクレン・ディスタンスチャレンジでは5000mで13分39秒21の自己ベスト。日本インカレでも10000mの記録更新を狙っていたが、30分34秒01で16位に沈んだ。いい練習ができていただけにショックが大きく、レース直後には「陸上のことは考えたくない」という言葉ももらした。

その後にあった3次合宿からは大学からの許可が下り、チームは学内合宿から菅平と妙高での合宿へ。日本インカレのモヤモヤはあったものの、攻めの気持ちでがむしゃらに走り込んだ。9月30日には学内の記録会で3000mに出走し、自己ベストとなる8分00秒19をマーク。調子も上向き、今大会を迎えた。

10000mにはキプキルイ ビクター コリルやイルング デービッド グレなどGMOアスリーツの選手も出走し、27分台で走るという情報があった。中谷も27分にチャレンジする気持ちでスタートした。レースはキプキルイを先頭にひとつの大きな集団で動き、1000mが2分48~50秒ペースで進んだ。中谷は2番手からレースをうかがい、4000mでキプキルイが抜け出すと、吉田祐也(GMOアスリーツ)と競るようにして2位集団を引っ張る。

8000mを過ぎに同期の太田直希(早稲田大3年、浜松日体)がギアチェンジ。太田が4位に浮上すると、中谷はその後ろにつく。ラスト1000mで吉田がさらにペースを上げると、太田と中谷もそれに続いた。ラスト1周で太田が勝負に出て2位に浮上。しかし吉田がすぐに抜き返し、さらに中谷が太田と吉田を抜いて2位へ。中谷はゴール直前で吉田に抜かれての3位だったが、目標としていた日本選手権の標準突破の喜びを、ガッツポーズで表現した。

最後は吉田に敗れたものの、ラストに追い上げての3位(学生1位)だった(撮影・朝日新聞社)

「直希がいてくれたおかげで」

今大会は中止になった出雲駅伝の代替大会として、早稲田大学、東洋大学、明治大学、創価大学の4校による対校戦で行われ、5000mでは各校4人、10000mでは各校2人の合計記録で競われた。先にあった5000mの結果で早稲田大は4位だったが、10000mでは3位に中谷、4位には28分19秒76の自己ベスト(WA規格外シューズ)で太田が続き、早稲田大は逆転優勝を果たした。昨年、早稲田大は出雲駅伝に出られなかったこともあり、チームには「今年こそは」という思いがあった。出雲駅伝中止を中谷も残念に感じてはいたものの、だからこそ、「トラックではしっかり結果を残したい」と気持ちを切り替えた。

今年は例年に比べてチーム内に故障者が少なく、選手たちは続々と自己ベストを更新している。春の自粛期間や学内合宿となった1~2次合宿の間も、選手たち自身が考えて練習をこなしてきた上での結果だ。中谷もチームの勢いを感じており、11月1日の全日本大学駅伝、そして箱根駅伝を楽しみにして待ちわびている。

9月の日本インカレ10000mでは、30分34秒01と苦しいレースになった(撮影・藤井みさ)

10000mで勝負をしたいと考えている中谷にとって、今大会は日本インカレの悪夢を払拭(ふっしょく)する大きなきっかけとなった。その一方で、「走っている時は無我夢中で、どうなるか考えていなかったんですけれど、直希がいてくれたおかげで僕自身もいい走りができた。そういうライバルが身近にいるのは大きい」と、同期の太田に対する感謝の気持ちも忘れていない。

早稲田大は全日本大学駅伝と箱根駅伝で「総合3位以内」を目標に掲げている。ライバルと競い合いながら、自信を取り戻した臙脂のエースがチームを盛り上げる。

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