陸上・駅伝

明治大ルーキー・児玉真輝 憧れの阿部弘輝先輩のように27分台の選手になる

児玉は初めて紫紺ユニフォームをまとい、明治大代表として5000mを走った(撮影・朝日新聞社)

トラックゲームズ in TOKOROZAWA

10月11日@早稲田大学・織田幹雄記念陸上競技場
男子5000m
11位 児玉真輝(明治大1年) 14分05秒06

明治大学の児玉真輝(1年、鎌倉学園)は10月4日の多摩川5大学対校長距離競技会10000mで大学レースデビューを果たし、その翌週のトラックゲームズ in TOKOROZAWAでは5000mに出走した。連戦での疲労を心配しつつも、5000mでは順位よりもタイム、13分50秒切りを目指して挑み、14分05秒06での11位だった。「まだ調子的にはマックスではないので、しっかり調子を駅伝に合わせていけば結果はついてくるのではないかなと思っています」。11月1日の全日本大学駅伝をまっすぐ見すえている。

鎌倉学園高のエース児玉真輝、33人抜きで区間賞 伊那駅伝
東洋大ルーキー・松山和希、5000mでまた自己ベスト 「堅実」を重ねて強くなる

夏合宿で走り込み、大学デビュー戦へ

児玉は高3だった昨年、5000mで13分54秒84、10000mで29分24秒62を記録し、神奈川県高校記録を樹立。また全国高校駅伝(都大路)でも1区5位と力を示した。他大学のルーキーを見てみると、3000m障害(SC)日本歴代2位となる8分19秒37をマークした三浦龍司(順天堂大1年、洛南)や、5000mでU20日本新記録となる13分28秒31をたたき出した吉居大和(中央大1年、仙台育英)など、今夏の段階で早くも結果を出している選手もいる。

そんなライバルたちの好記録に悔しさを感じつつも、「レースがなかった分、練習は積めているわけなので、練習での貯めがそのうち、出てきてくれるのではないかなと思っています」と児玉。夏合宿にしっかり走り込めたことで、今では距離が長くなる学生駅伝への不安もない。

昨年の都大路では前回に続いて1区を走り、2年連続で区間5位だった(54番が児玉、撮影・藤井みさ)

児玉にとって大学初レースとなった10月4日の10000mで29分33秒23をマーク。早稲田大学、明治大学、創価大学の対校戦として開催されたトラックゲームズ in TOKOROZAWAでは、明治大の代表として初めて紫紺ユニフォームを着てレースに臨んだ。東洋大ルーキーの松山和希(学法石川)もまた、このレースが正ユニフォームで挑んだ初の舞台だった。児玉は松山の存在を少し気にしつつも、レースが始まってからは自分の走りに集中した。

レースはひとつの大きな集団で動き、1000mが2分47秒程度のペースで進んだ。児玉はレースの流れに乗って中ほどに位置していたが、3400m地点で小袖英人(明治大4年、八戸学院光星)がトップに出ると集団がばらけ、先頭争いは5人に絞られた。児玉は先頭集団についていくことはできなかったものの、最後まで粘りの走りを続け、14分05秒06でフィニッシュ。目標タイムは達成できなかったが、「14分1桁はなんとか出せたので、最低限の粘りという意味ではよかったかなと思います」と振り返った。

いつかは実家からも近い「花の2区」を

今シーズンは多くの舞台を経験し、大学4年間では10000mを27分台で走れる選手を目指している。イメージしているのは、入れ違いで明治大を卒業した阿部弘輝(住友電工)。「自分は大学を決める時、阿部さんに憧(あこが)れをもって入った部分があるので」と児玉。それほど多くを話したことはないものの、先輩たちから聞く阿部の話に、「すごいな」「見習いたいな」という気持ちが一層膨らんだ。

もうひとつ、箱根駅伝を走るという目標がある。来年1月の箱根駅伝は無観客開催が決まっているが、「神奈川出身の僕からしたらほぼどこの区間を走っても地元なので、もちろん応援があったらうれしいですけど、例え応援がなくても僕は神奈川を走れるだけでもうれしい部分があります」と笑顔で答えた。とくに2区と9区は実家からも近い。「9区もそうなんですけど、でもやっぱりエース区間を走りたい」と2区を希望している。

学生駅伝に出るにはまず、強い先輩たちに練習から勝っていかないといけない(25番が児玉、撮影・朝日新聞社)

児玉の感覚的に、例年であれば2~3戦踏んでから調子が上がってくるという。2戦目となる今レースを終え、次の舞台となる全日本大学駅伝に向けて心身ともに整ってきたと感じている。その一方で、同じレースで小袖は13分46秒56の自己ベストで1位となり、櫛田佳希(明治大2年、学法石川)も13分56秒65の自己ベストで4位。その後にあった10000mでは、対校戦メンバーではなかった鈴木聖人(明治大3年、水城)が28分36秒16で自己ベストを出している。明治大の先輩たちの意地と気持ちの強さを改めて知らされ、チーム内競争の熾烈(しれつ)さを痛感させられた。

ただ、児玉も気持ちは負けていない。「先輩方に勝ってメンバーに入っていかないといけないので、しっかり練習から頑張っていきたいです」と言葉に力を込めた。

in Additionあわせて読みたい