関西学院大学のCB西脇玲、経験者にもまれながら小さな体で奮闘中
関西学生アメリカンフットボールリーグ1部の準決勝(11月8日)で5年連続の甲子園ボウル出場を目指す関西学院大学は神戸大学と対戦する。快勝した1回戦(55-13同志社大学)の関学スターティングメンバー表に、アメフトでは珍しい高校出身の選手を見つけた。長野県の東京都市大塩尻高から来た西脇玲(れい、3年)。守備のコーナーバック(CB)で初出場した。
強豪の東京都市大塩尻で甲子園目指す
西脇は、関学に入学するまでアメフトは未経験だった。幼少の頃からずっと野球に打ち込んできた。中学ではリトルシニアでプレーし、エースピッチャーだった。もともと兵庫県出身だが、才能をさらに開花させようと、全国高校野球選手権に出たこともある強豪の都市大塩尻へ進むことにした。しかし、3年間ベンチに入ることはできず、野球は高校で諦めたという。
大学受験をするにあたり、実家近くの関学への進学を目指した。関西の大学を目指す同級生はほとんどいなかったが、関学のおしゃれな雰囲気に憧れがあり、1年浪人した。
西脇は入学が決まった時点では「関学アメフト部が強いというのも全く知らなかったですし、そもそも『アメフト』すら全然聞いたことがなかった」そうだ。野球で思うような結果が出せずに不完全燃焼だったこともあり、大学でも何かスポーツをしたいと思っていた。関学に入学し、強豪アメフト部の存在を知り、練習を見に行った。「日本一を目指す集団の、意識の高さを感じ、自分を成長させるためにもこの環境に身を置きたいなと思いました」。西脇は当時を振り返る。
オフェンスからのディフェンスへ
2年生までは攻撃でパスを受けるワイドレシーバー(WR)の控え選手だった。攻撃の花形ポジションゆえに能力の高い選手が多く、試合に出る機会はなかったが、1軍守備の練習台となるスカウトチーム(仮想的役)を務めてきた。大学生活の半分を終えた時、身長165cmと小柄だが、そのがむしゃらなプレーぶり、足の速さといったポテンシャルを見込んだ守備コーチに、CBへのポジション変更を勧められた。
3年からのポジション変更、しかもオフェンスからディフェンスへ移ったため、新しく勉強しなければならないことも多く苦労した。攻撃のポジションは決められたアサイメント通りに動くのが基本だが、守備は相手にあわせたアジャスト能力や、視野の広さが求められる。「実力はまだまだですが、同じポジションの仲間やコーチが付きっきりで教えてくれて、こうやってプレーできるようになりました」。持ち前の真面目さで練習に取り組み、なんとか開幕戦のスタメンにたどり着いた。
「相手のQBをよくみて反応できたこともありましたが、ロングパスで自分のところを狙われたし、引き気味になって後手に回ってしまった。もっと攻めの姿勢でボールに絡みにいかないといけないですね」と、初めての公式戦を振り返った。駆け出しで課題が多い分、まだまだ伸び代もある。関学は、高校アメフトのエリート選手だけではなく、西脇のような未経験選手も活躍するから面白い。「もっと成長していけると思っているので、しっかりと準備してビンゴ(インターセプト)を狙っていきます」。謙虚な言葉遣いで歯切れよく話した。