アメフト

ルーキーのQB庭山大空を先発で起用、関大下した立命館大学が関西学院との決勝へ

立命館大学のQB庭山のデビュー戦は、3回のランで32yd、パスは9回投げ2度の成功だった(撮影・すべて篠原大輔)

関西学生リーグ1部

11月8日@神戸・王子スタジアム
▽トーナメント準決勝
立命館大24-14関大

アメリカンフットボールの関西学生リーグ1部は11月8日、トーナメントの準決勝があり、立命館大学が関西大学を24-14で下し、11月28日の決勝へコマを進めた。決勝では5年ぶりの甲子園ボウル出場をかけて、関西学院大学と対戦する。関西学連はこの決勝について、前売りのみの有観客で実施すると発表した。

エースQBはベンチスタート

試合前、関係者に配られた先発メンバーの表を見て驚いた。立命のスタートQB(クオーターバック)に、ルーキーの庭山大空の名前があった。昨年12月のクリスマスボウルで立命館宇治高校(京都)が初の高校日本一に輝いたときのQBだ。昨年のリーグ戦で負けた関大相手に、エースQBの野沢研(3年、佼成学園)ではなく、期待のルーキーをぶつけてきた。

高校時代の庭山大空はこちらから

試合前の練習が始まる前、庭山はOL(オフェンスライン)の永福大悟(4年、立命館宇治)とスナップを合わせ、WR(ワイドレシーバー)の木村和喜(同、立命館守山)とキャッチボール。明るい男だが、さすがに緊張気味に見えた。最初のオフェンスの2プレー目に13ydのパスを成功。2プレー後にパスの構えからスクランブル。最後はタックルにくる相手にまっすぐ突っ込んでいった。その後パスを2度とも決められず、パントで攻撃権を放棄した。次のシリーズでもパスが決まらず、ドライブができない。

関大のWR桑田(18)は11回パスを受け、二つのタッチダウンを挙げた

すると関大は自陣9ydからのオフェンスを実らせる。QB渡邉貴信(4年、虎姫)が短いパスを確実に決めて前進。フィールドゴール(FG)の体形からのスペシャルプレーも決めてドライブ。そして第2クオーター(Q)4分すぎ、渡邉がエンドゾーンの左隅へ走り込んだWR桑田理介(4年、仁川学院)へタッチダウン(TD)パスを決めた。ただ、TD後のキックは失敗。大一番に挑戦者として臨む立場だけに、これは決めておきたかった。

劣勢に野沢を投入

6点を追う立命は庭山を下げ、野沢を投入。冷静にパスを決めて前進したが、ゴール前13ydで第4ダウン残り2ydとなった。立命はここで仕掛けてきた。いったんFGの体形をとり、シフト。庭山がホルダーの位置からQBに入った。このとき関大サイドからは誰からも、どう対処するのか、何をケアしないといけないのか、といった適切な指示の声が出なかったように思った。

庭山はスナップを出す合図の声を、いつもより大きく、何度も繰り返してコールした。すると関大のDL(ディフェンスライン)が慌てて突っかけてしまい、オフサイドの反則。まさに立命の思うつぼ。攻撃権を更新し、野沢からWR大塩良至(3年、立命館宇治)へのTDパスにつなげた。キックも決まって7-6と勝ち越した。次のシリーズでも野沢がパスを決めて攻め込み、マンツーマンの相手を抜いたWR木村へ15ydのTDパスを決めた。14-6とし、流れは立命のものとなった。

タッチダウンを決め、仲間と喜ぶ立命のWR木村

後半最初の立命のオフェンスシリーズは、敵陣に入ったところでギャンブルに失敗。嫌な流れになりかけたが、直後の関大のオフェンスでDB永田大河(4年、立命館宇治)が相手のパスをインターセプト。そのまま49ydを駆け抜けてTD。21-6と突き放した。さらにFGで3点を加え、関大の反撃を試合残り1分を切ってのTDだけにとどめた。

立命館大の古橋由一郎監督
「野沢の状態が悪かったので、庭山でいくしかありませんでした。今日のヒーローは彼じゃないかと思います。高校時代はやんちゃでしたけど、大学に入って大人の会話ができるようになりました。ディフェンスはタイミングの速いパスに苦しめられましたけど、致命的なやられ方はしてませんでした。いずれ向こうは攻めあぐねるからという話をしたら、落ち着いてやってくれました。関学は個人もチームの仕上がりも素晴らしくて、強いと言うしかないです。ウチは2年続けて誰も甲子園ボウルを経験していないチームになってまして、甲子園に出るためにどうするかを念頭に置いてチームづくりをしてます。次はけががあろうが、全力でやりきるしかないです」

立命主将のRB立川に、関大主将でDBの坊農がタックル

立命館大主将のRB立川玄明
「今日に向けて、みんなで去年、関大に負けたときの映像を見ました。勝てて一安心ですけど、ドライブし続けられなかったし、まだまだだなと思います。甲子園の土を踏めてないことに対する思いはありますけど、一日一日を積み重ねることでしか、あそこに立つ資格は得られない。一日をつなげてつなげて、そこまでいきたいです。決勝では相手どうこうではなく、パンサーズらしいフットボールができたらと思います」

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