関西学院大学が充実のオフェンスで神戸大学に快勝、28日に立命と決戦へ
関西学生リーグ1部
11月8日@神戸・王子スタジアム
▽トーナメント準決勝
関西学院大 35-14 神戸大
アメリカンフットボールの関西学生リーグ1部は11月8日、トーナメントの準決勝があり、関西学院大学が神戸大学を35-14で下し、28日の決勝へコマを進めた。決勝では5年連続の甲子園ボウル出場をかけて、ライバル立命館大学と対戦する。関西学連はこの決勝について、前売りのみの有観客で実施すると発表した。
上々の滑り出し
関学が常に大事にしているオフェンスの最初のシリーズは自陣25ydから。QB(クオーターバック)奥野耕世(4年、関西学院)がノーミスで4本のパスを決め、3度のランを交えてゴール前1ydへ。最後は第1クオーター(Q)3分すぎ。RB(ランニングバック)の前田公昭(3年、同)が、主将のRB鶴留輝斗(つるとめ・きらと、4年、啓明学院)とOL(オフェンスライン)のこじ開けた穴を駆け抜けてタッチダウン(TD)。上々の滑り出しで7-0とした。
第2Qには敵陣35ydからのオフェンスを再びRB前田の17ydTDランで締めた。前田は中央やや左にできた穴を抜けると、ステップと当たりで2人のタックルを外し、左オープンに出た。OLが相手をしっかりブロックし、難なく第一線を抜けられたからこそ前田の個人技が生きた。そんなTDで14-0とリードを広げた。
神戸大はRB森分優人のビッグリターンから反撃
直後のキックオフで、この日初めて神戸大のサイドラインが沸いた。ボールを受けたRB森分(もりわけ)優人(3年、三田祥雲館)が85ydのビッグリターン。ゴール前12ydからのオフェンスとなり、最初のプレーでQB法貴俊哉(ほうき・しゅんや、4年、北野)がTE(タイトエンド)戸澤雅大(3年、高槻)にパスを通し、戸澤がエンドゾーンへ走り込んでTD。14-7とした。
関学のオフェンスが止まらない。直後のシリーズ、QB奥野からWR梅津一馬(2年、佼成学園)へのパスで57yd進んでゴール前19ydへ。最後は右サイドライン際で相手DB(ディフェンスバック)を振り切ったWR鈴木海斗(4年、横浜南陵)が肩越しのボールをナイスキャッチしてTD。21-7となった。
神戸は直後のキックオフで仕掛けた。先ほどロングリターンをした森分が右サイドを駆け上がる。関学のカバーチームを自分に引きつけて、ストップ。そして左へ横パスを投げた。左に待っていたのはDBの平井大成(3年、高槻)。森分がしっかりボールを握れなかったためにパスはノーバウンドでは届かなかったが、平井の捕りやすいところに弾んでくれた。平井は大きく開いた左サイドを駆け抜けてTD。トリックプレーを実らせて21-14と食らいつく。
関学WR梅津一馬が圧巻のワンハンドキャッチ
しかし、ここまでだった。関学がさらに二つのTDを加え、35-14で試合を折り返した。前半終了間際のTDは圧巻だった。QB奥野が右サイドで縦に走ったWR梅津へ山なりのパス。梅津はエンドゾーン内で相手DBと競り合いながらジャンプして、右手でワンハンドキャッチを決めた。
前半のオフェンス獲得距離(キッキングゲームでの獲得距離は入らない)は関学の323ydに対し、神戸大は49ydと一方的。後半は関学が控えメンバーに経験を積ませ、ともに得点なく試合終了。1990年代前半の関学のエースランナー前島純さんの息子で昨年の関学高等部の主将だったRB前島仁が初めて大学の公式戦でボールを持ち、2回走って1ydのゲインだった。
関学の大村和輝監督
「キックのカバーチームは準備不足でした。想定してない状況になったときに対応できてません。梅津(7キャッチ、128yd、1TD)はしっかりターゲットになって、よく捕ってました。明るくて一見すると『本気でやってんの?』っていうタイプなんですけど、(一本目として試合に出る)自覚が出てきたと思います。ワンハンドキャッチは、あれは片手でしか捕れないとこですからね。ナイスキャッチですね。ディフェンスはLB(ラインバッカー)の繁治と海﨑が戻って、安定してプレーできました。あの二人は経験があって、大事なところでしっかりタックルできますから。立命さんは戦い方にめっちゃ余裕ありますよね。だいぶ自信あるんじゃないですか? ラインはデカいし、野沢君は落ち着いてるし。こっちは必死のパッチでプレーも隠さずにやってますから。どうなるんやろ、という感じはあります。3週間あるので、細かい課題をしっかり詰めるしかない。力を出しきれたら、それなりのゲームはできると思ってます」
関学のQB奥野耕世
「立命とやれるのは楽しみです。徐々に完成度は上がってきたと思いますけど、まだ詰めきれてない。とくにプレーが崩れてからのスクランブルのところです。もうやらんでええやろ、というぐらいまでやって試合に臨みます」
神戸大の矢野川源ヘッドコーチ
「OLとディフェンスのセカンダリーのところが想定以上に負けてしまいました。力を出しきれなかったというよりは、力が足りなかった。関学に対して、前は『また負ける』と思いながら準備してたのが、『どうやったら勝てるのか』という前向きな気持ちでゲームプランを立てられるようになりました。そこは大きく変わったと思います」
神戸大主将のDL杉野太郎
「中のランは相手のブロックに負けてなかったと思うし、止めてました。でも外のランは出されたし、パスも1対1で負けて。完敗ですね」