ラクロス

日体大主将・柴田奈央、ベンチで見守ったラストゲーム 後輩に願う「強い日体」

日体大の柴田主将(左から2人目)は明治との準決勝をベンチから見守っていた(全て撮影・松永早弥香)

関東学生ラクロス特別大会男子1部 準決勝

11月22日
日本体育大学(A1位)3-14 明治大学(B1位)

11月22日、関東特別大会女子1部の準決勝が行われ、明治大学と日本体育大学が対戦した。昨年の関東大会準決勝でも両校が対戦し、3-10で明治の勝利。日体は1年越しのリベンジを狙っていたが、3-14と完敗した。

第1Qから明治の強さを思い知らされ

第1クオーター(Q)、日体はゴール付近での反則で明治にフリーシュートを与えてしまい、続けざまに2失点。タイムアウトを要求して立て直しを図ったが、明治の勢いは止まらず、0-3で第1Q終了。第2Qこそは先制点をとるとチーム内で意識共有を図り、フリーシュートのチャンスを生かして1得点。明治に得点されれば取り返し、2-6で試合を折り返す。

しかし第3Qは明治の速い攻撃に日体のディフェンスが崩れ、立て続けにシュートを決められてしまう。この15分で5失点を許し、2-11。第4Q開始早々に日体のディフェンスリーダー鈴木麻琴(4年、日体大荏原)が2枚目のイエローカードで退場。鈴木はコート外からも仲間を鼓舞(こぶ)し続け、ベンチに入れなかったチームメートからも「まだまだいけるよ!」と声が飛ぶ。日体は不正クロスで得点無効になりながら1点返し、3-14で試合を終えた。

明治の内野彩香(右)は今試合で両チーム最多の5得点をあげた

主将の柴田奈央(4年、県立相模原総合)は試合を振り返り、「たくさん反省があり過ぎて……。入りが悪いとずっと言われていたんですけど、今回も1Qに点が取れず、途中からも自分たちの流れにもっていって追い上げることができませんでした」と涙ながらに口にした。

いろんな人の支えで最後まで戦えた

柴田はこの準決勝をベンチから見守っていた。2年生の時に脚をけがしてしまい、時を同じくして副将にならないかと声をかけられた。自分が4年生になるころにはけがも完治しているはず。そして関東地区の準決勝、決勝の舞台に立っているのだろう。そんな思いを胸に、将来的に主将になることを決心した。

しかしけがは長引き、ラクロスをできるようになったのは今年7月になってから。今も足首の感覚が戻っておらず、装具をつけないとプレーができない状況だ。元々ミディだったが、動きが制限されるため、4年生になってからディフェンスにポジションを変えた。最後の大会に出場するためになんとか練習を継続してきたが、それでも準決勝の舞台に立てなかった。「自分の実力不足です。けがを理由にしたくない」。妥協することなく戦ってきた柴田の気持ちが伝わってきた。

鈴木(中央)はデイフェンスリーダーとして、戦略の中枢を担ってきた

日体は柴田と鈴木、アタックリーダーの尾川優里佳(4年、市立東)の3人が幹部を担っていた。尾川もけがでプレーできなかった時期があり、鈴木はふたりの思いも引き受けてきた。しかし鈴木はそれをネガティブに感じていない。「周りの子たちも陰から支えてくれました。こうして最後まで戦えたのは周りのみんなのおかげかなと思っています」と、仲間への感謝の気持ちを口にした。元々鈴木もミディで、柴田と競い合いながらここまできた。最後の舞台に一緒に立てなかった悔しさは、鈴木も一緒だった。

特別大会は無観客で行われたため、観客席にはベンチに入れなかった仲間の姿だけ。その仲間たちは応援に制限がある中、スティックバルーンで精いっぱいのエールを送り続けていた。柴田は言う。「何よりも本当に感謝の気持ちしかないです。ここまで一緒に戦ってきてくれてありがとう。ここまで一緒にチームをつくってくれてありがとう。今日、ベンチに入れなかった子たちも一生懸命応援してくれ、この試合で勝った時に備えてスカウティングもやってくれていました。本当にいろんな人たちに支えてもらえたなと思っています」

「強い日体」を体現し、来年こそは準決勝の壁を越えてほしいと柴田は後輩たちに願っている

今年は全国大会が中止になり、目標を見失いかけた時もある。来年こそ全国大会が開催されるのであれば、その舞台に向け、「強い日体」を体現してほしい。そう思いながら、柴田は主将として、ひとりのラクロッサーとして、最後の試合を終えた。

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