青と赤、因縁の対決 甲子園ボウル出場の関西学院大学と日本大学が会見
アメリカンフットボールの第75回甲子園ボウルが12月13日、阪神甲子園球場である。今年は全日本大学選手権が中止となり、2008年までの東西大学王座決定戦として開催される。11月30日は甲子園球場で主催者から大会の概要が発表され、関西代表の関西学院大学、関東代表の日本大学の両校から監督と主将が参加して記者会見があった。
甲子園では日大の17勝10敗2分け
関学は5年連続54回目、日大は3年ぶり35回目の出場。甲子園ボウルでの両者の対戦は30回目で、これまでの成績は日大の17勝10敗2分け。前回対戦の2017年は日大が23-17で勝った。翌18年5月の定期戦で日大の選手が重大な反則を犯したのがきっかけで日大が1部下位BIG8に降格し、定期戦が中止になったため、両校の対戦はその定期戦以来となる。両チームと主管の関西学連が覚書をかわし、双方がカラージャージで戦うことになった。
関西学院大の大村和輝監督(49)は就任1年目、日大の橋詰功監督(57)は3年目で、ともにチームを率いて甲子園ボウルで戦うのは初めて。大村監督は「いまのチームの力をどれだけ出しきらせられるか。戦術面は(前監督の)鳥内さんに『好きにやれ』と言われていろいろやってきましたんでね。そこよりも学生たちにどうやって力を出させるかを考えてやっていきたい。関学らしいフットボールを最後まで突き詰めていきます」と話した。
立命館大学のオフェンスコーディネーター(OC)として戦った甲子園に戻ってきた橋詰監督は「BIG8から上がってきたばっかりのチームです。今年も選手たちの方から『一戦必勝』と言い出して、一つずつ勝ってきました。学生たちは自分たちで考えて頑張ってくれると思います。私はそれをどれだけサポートできるかですね。まあ関学には10回やって1回勝てるかどうか。それを3年前にやっちゃってるんで」と言って、報道陣を笑わせた。
3年ぶりに甲子園ボウルで対決することについて、大村監督は「前回はOCで日大さんの術中にはまってしまいました。後悔の残る試合でした。いい機会なのでリベンジしたい。あれ以降いろいろありましたけど、フットボール界でお互いに切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲です。こういう(コロナ禍の)状態ですけど、素晴らしい試合がしたいと思います」と言った。橋詰監督は「(この4人の中で)唯一、前回の対戦にはいませんでした。でも長年フットボールに携わってきた者として、青と赤の甲子園に関われるのは感慨深いです。関学は間違いなく日本の学生フットボール界で最高のチーム。胸を借りて戦いたい」と話した。
関学は奥野と繁治、日大は林大、伊東がキーマンか
学生日本一になるためのキーマンを両監督に挙げてもらった。大村監督は「日大はフィジカル的に強そうで、とくにオフェンスはライン戦が苦しくなるでしょうから、(QB)奥野(耕世=4年、関西学院)の経験と個人技を生かしたプレーでしんどいところを切り抜けてもらわないとキツい。ディフェンスは(LB)繁治(亮依=4年、関西学院)ですね。こないだの試合の出来がかなり悪かったんで、奮起してくれないと」
橋詰監督は「オフェンスは(QB)林大希(4年、大正)、ディフェンスはここにいる(DL)伊東(慧太主将=4年、日大豊山)が中心となってやってほしいんですが、(体が)万全な状態でできるかどうか。その期待も含めて、このふたりです」と語った。
3年前に対戦したとき、両主将は1年生だった。関西学院大のRB鶴留輝斗(つるとめ・きらと、啓明学院)は「負けたのが強く印象に残っているので、対戦が決まって『リベンジしたい』という気持ちになりました。お互いが全力を出して、見てる人に『いいゲームだな』と思ってもらえる戦いがしたいです」と話した。
日大のDL伊東は1年生ながら豪快なタックルも決める活躍だった。「自分の写真がいろんなところに載ったりして、うれしかったのを覚えてます。(重大な反則の件で)いろいろご迷惑をかけてしまいましたけど、フットボール界で伝統の一戦を甲子園で戦えることになってうれしく思いました」。関学と対戦したかったか、と問われた伊東は「2018年のあの一戦で学生生活の関学戦が終わったら、モヤモヤしたものが残ると思ってました。運命かもしれないですけど、こうして最後の甲子園ボウルで戦えてうれしいです。新体制になってやってきたことが正しかったと言えるように、全身全霊で戦います」と語った。
今年は半分弱が土のままで開催
今年の甲子園ボウルは1989年以来でフィールドの半分弱が土の状態で戦うことになった。関西学連によると、もともと2009年以来で外野の芝生部分にフィールドをとる方向になっていたが、そうなると横から見られる外野席に観客を多く入れる必要が出て「密」を避けられない。そこで10年から昨年までと同様にホームベースから外野方向にフィールドをとることにしたが、内野部分に敷き詰める芝生の養生が間に合わなかったという。また、関西学連は今シーズン、アイシールドとフェースシールド両方の着用を義務化していたが、甲子園ボウルは監督の判断でアイシールドは外していいことになった。