アメフト

関西学院大学が5年連続54回目の甲子園ボウルへ、立命館大学に劇的な逆転勝ち

関西学院大学のキッカー永田祥太郎が逆転サヨナラのフィールドゴールを決めた(撮影・すべて北川直樹)

関西学生リーグ1部

11月28日@大阪・万博記念競技場
▽トーナメント決勝
関西学院大 16-14立命館大

アメリカンフットボールの関西学生リーグ1部は11月28日、大阪・万博記念競技場でトーナメントの決勝があり、関西学院大学が試合終了間際の劇的な逆転で立命館大学を16-14で下した。トーナメントを制した関学は5年連続54回目の甲子園ボウル出場を決めた。立命の5年ぶりの甲子園出場はならなかった。関学は12月13日に阪神甲子園球場で、29日にある関東大学1部TOP8の桜美林大学ー日本大学戦の勝者と対戦する。

第1クオーター、関学のDB北川が立命QB野沢のパスを奪取

立命は最初のオフェンスシリーズで主将のRB立川玄明(たつかわ・ひろあき、4年、大阪産大附)のランとQB野沢研(3年、佼成学園)のパスで前進。ゴール前7ydで迎えた第2ダウン残り7ydで野沢の投じたパスが、エンドゾーンで関学DB北川太陽に奪われた。野沢と北川は佼成学園高(東京)の同級生。ドラマチックな立ち上がりとなった。

立命が立川主将のTDで先制

立命はオフェンスが好調。2度目のシリーズで関学の反則にも助けられて前進。ゴール前8ydから立川をショットガンのQBの位置に入れるワイルドキャットフォーメーションから、立川のラン。タックルをはね飛ばしてタッチダウン(TD)。第1クオーター(Q)10分7秒、7-0と先制した。

第1クオーター10分すぎ、立命のRB立川が先制のタッチダウン

関学は4度目のオフェンスを実らせる。相手のパントミスで自陣45ydからスタート。QB奥野が左へ張り出したRB前田公昭(3年、関西学院)へ後ろパス。捕った前田の前方で仲間のナイスブロックが二つあり、一気に38ydのゲイン。3プレー後にQB奥野がWR鈴木海斗(4年、横浜南陵)へ17ydのTDパスを決め、前半終了間際に7-7の同点として試合を折り返した。

最後のシリーズで2度のキャッチを決めた関学WR鈴木

後半は波乱の幕開け。最初のプレーで関学QB奥野が投じたパスを立命のDB永田大河(4年、立命館宇治)がインターセプトし、リターン。立命はゴール前10ydからのオフェンスと願ってもないチャンスを得た。最初に反則で5yd下がったが、次のプレーでQB野沢のランを見せておいて、その次はパス。WR木村和喜(4年、立命館守山)への10ydTDパスとなり、第3Q1分1秒に14-7と勝ち越した。

後半も立命が先行したが……

その後、関学が二つのフィールドゴール(FG)で14-13と追い上げ、第4Q1分すぎ、自陣13ydから立命のオフェンスが始まった。立命はランにかけた。相手のDBがランに対して上がってくるのが遅いと見抜き、右のオフタックル付近のランを連発。実に13プレーのランを積み重ねてゴール前4ydに迫った。ここでついにQB野沢が投げた。右のWR木村へ飛んだパスに関学DB竹原虎ノ助(3年、追手門学院)がすばやく反応して前に入り、インターセプト。立川が足を痛めていた状況ではあったが、ほかにも優れたRBはいる。ランで押せばリードを広げられた可能性が高かった。

第4クオーター、関学DB竹原(25)が値千金のインターセプト

これで流れが関学へ。1点を追う試合残り1分36秒で、自陣32ydからのオフェンス。パス失敗が続いて第3ダウン10ydとなったが、QB奥野がWR鈴木へ通して窮地を切り抜け、ゴール前35ydへ。あと10yd進めばFG圏内だ。第3ダウン残り3ydで、また奥野は鈴木に投げた。相手のLBがブリッツに入ったのを見た鈴木が機転をきかせてルートを変更し、中に入ってきた。4年間一緒にやってきた二人の阿吽(あうん)の呼吸でパスを通し、ゴール前8ydに迫った。もうFGは確実に決まる距離だ。ランで時間を使い、残り3秒からのプレーで、キッカー永田祥太郎(3年、浜松西)が21ydのFGを蹴り込んだときに時計がゼロに。2年前の西日本代表決定戦の再現のような逆転サヨナラFGで熱戦にケリをつけた。

関学は死なず 劇的逆転で甲子園ボウルへ

関学・大村和輝監督
「最後は神のみぞ知るという感じで見てました。あまりにもしんどいシーズンで、思ったことができてない中、学生がよう頑張ったと思います。まだ甲子園ボウルの相手は分からないですけど、ディフェンスはランストップをしっかりやるというのと、オフェンスは中のランを出せるように頑張らないといけないですね」

関学RB鶴留輝斗主将
「ランのユニットで改善しないといけないことを改善して、甲子園に臨みたいです。必ず甲子園で勝ちます」

二つのインターセプトはあったが、関学のQB奥野は持ち前の勝負強さを見せつけた

関学QB奥野耕世
「ほんまに負けたら引退なので、最初は緊張しました。終わってめちゃくちゃ安心して、整列のときに勝手に涙が出ました。2回インターセプトされたのを反省して、タッチダウンをとりきるというのをこの2週間でやっていきたいです。いろいろあったんで、(甲子園ボウルは)日大と試合がしたいです」

関学キッカー永田祥太郎
「けがで準決勝は出てなくて、チームドクターの先生やトレーナーのおかげで間に合いました。最後のFGはオフェンスがあそこまで進めてくれたので、点差を気にせず蹴るだけでした。いつも練習で1点差(で負けている)シチュエーションを想定してるので、平常心でいけました」

初めてエースQBとして臨んだ関学戦を終え、立命の野沢は悔しさをかみしめていた(撮影・篠原大輔)

立命・古橋由一郎監督
「ラインは関学さんの方が上だと思ってたので、あそこまでランが出るとは。OLが頑張ってリードできて、モメンタムをつかめました。最後の最後ですね。ゴール前でのインターセプトが痛かった。あそこは立川の足がつってたので、(プレーを決めるオフェンスコーディネーターが)弱気になってパスを入れたのかなと思います。今年は選手が自分たちでいろいろ考えるチームでした。そういうチームをつくってくれた4回生に感謝したいです。負けたのは私の責任です」

立命RB立川玄明主将
「関学との差はちょっとずつ詰まってきてて、今年は勝つ予定だったんですけど……。あと1ydでしたね。コロナで練習ができない中で、チームとしての一体感を出すのが難しかったです。関学の強さは接戦をものにできるところだと思います。何でものにできるのかは、正直分からないです。来年それを後輩たちが見つけてくれるんじゃないですか。後輩たちが強くなるためのサポートは惜しまずやるつもりです。パンサーズでの4年間は最高でした」

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