陸上・駅伝

日本選手権5000m3位の中央大・吉居大和 大舞台でつかんだ手応えと自信

レース序盤から積極的に前に出る吉居(撮影・池田良)

第104回日本陸上競技選手権大会・長距離種目 男子5000m

12月4日@大阪・ヤンマースタジアム長居
1位 板東悠汰(富士通) 13分18秒49
2位 松枝博輝(富士通) 13分24秒78
3位 吉居大和(中央大学)13分25秒87

12月4日に開催された日本選手権長距離男子5000mで、中央大学1年の吉居大和(仙台育英)が3位に入賞。13分25秒87のタイムで自己ベストを更新、今年7月に自らがマークしたU20日本新記録の13分28秒31をさらに塗り替えた。

できるだけ前に出て勝負

東京オリンピック選考もかかった大舞台。これほど大きな大会に出るのは初めてという吉居は、「まとめるというレースよりも、後半失速してもいいのでできるだけ前で勝負するのを決めて」レースに臨んだ。

スタートするとオープン参加のベナード・キメリ(富士通)などの海外勢が前に出てペースメイク。2000mをすぎると先頭グループは松枝博輝(富士通)、坂東悠汰(同)、服部弾馬(トーエネック)、竹内大地(同)、川瀬翔矢(皇学館大4年)、吉居に絞られた。1周は63秒から67秒のペース。残り6周となって先頭グループは松枝、板東、川瀬、吉居の4人に。3000m通過は7分59秒。このタイミングで吉居は日本人先頭に出た。残り1200mとなり坂東が前をいく海外勢につき、吉居は少しずつ遅れ始める。残り600mのところで吉居は松枝と川瀬に抜かれ4位に。残り1周で吉居はラストスパートをかけて前に出て2位となったが、最後の直線で松枝に抜き返されて3位。小さくガッツポーズをしながらゴールした。

目標は3位入賞、自己ベストの更新だった。どちらも達成した形となり、レース後、吉居は「とても嬉しいです」と控えめに笑みを見せた。「前半からいいペースで走ることができて、また(記録を)更新することができたので良かったと思っています」。3000mの通過が7分59秒だったことについて聞かれると「いままで8分を切ったことがなかったので、こういうペースで入っても大丈夫というか、まだいけるという自信につながりました」と手応えをつかんだ。

日本インカレで優勝したときの吉居。中央大の「C」マークで笑顔(撮影・藤井みさ)

残り3周まで先頭で走っていたが、最後に板東に離されたことについては「後半失速してもいいので、できるだけ前で勝負するというのを決めてたので、きつくなるまで先頭につきました。なので最後ちょっとつけなかったです」とレースを振り返る。

都大路優勝から1年、成長への手応え

今年は出るレースすべてで結果を残している。大学初戦となった7月18日のホクレンディスタンスチャレンジ千歳大会では、5000mA組で13分28秒31のU20日本新記録をマーク。9月13日の日本インカレ男子5000mではラスト勝負に勝ちきり、13分40秒04で優勝。10月17日には箱根駅伝予選会でハーフマラソンを走り、チームトップ・全体では10位の1時間1分47秒と長距離にも対応する力を見せた。

今は箱根駅伝に向けた練習がメインになっているというが、この大会の2週間ほど前からスピードを意識して走る練習に取り組み、結果を出した。ロードとトラックが混ざることについて調整の難しさはありますか? とたずねると「特に難しさは感じていないです」と自然体だ。

箱根駅伝予選会。長い距離でも力を示した(代表撮影)

20日には全国高校駅伝がある。昨年吉居は3区を走って8位と仙台育英高校12年ぶりの優勝に貢献。今年は吉居の弟の駿恭(しゅんすけ、2年)を中心にさらに層の厚いチームになっている。後輩たちにメッセージを、と促されると「インターハイがなかった分、ここでしっかり連覇できるように頑張ってください」とはにかみながら答えた。

レース終盤、苦しくなってからも粘って勝負できるようになったことに、昨年からの成長を感じているという吉居。箱根路でどんな走りを見せてくれるのか今から楽しみだ。

in Additionあわせて読みたい