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特集:第72回全日本大学バスケ選手権

明治大バスケットボール部・富田一成 キャプテンとして走り切ったラストイヤー

ゴールに迫る富田(写真はオータムカップ2020より)

全日本大学バスケットボール選手権大会男子 2回戦

12月10日@大田区総合体育館Bコート
明治大 62-72 白鷗大(27)

昨年度2部に落ち、全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)の出場もかなわなかった明治大。そんな苦しい時期にキャプテンとしてチームを引っ張っていたのが富田一成(4年、藤枝明誠)だ。

今年は2部2位ながら見事インカレ出場を果たし、関東1部の強豪白鴎大に対して一歩も引けを取らない戦いを見せた。さまざまなことがあった大学後半の2年間。いつもうまくチームを引っ張っていたわけではない。富田の周りには常に悩みがついて回っていた。

屈辱の2部落ち……さらにコロナによる追い打ちも

富田が主力として試合に出場し始めたのは3年生からだった。「1部でやるために明治にきたのに、最終学年の1個前で2部に落ちてしまったのは……」。落ち込んでしまっても練習の質が落ちてしまうことは許されない。2部落ちが決まった直後の11月にキャプテンに就任し、チームを奮い立たせながら気持ちを次の年へと募らせていった。

しかし、ここで追い打ちをかける出来事があった。新型コロナウイルスの流行だ。「最終学年になった自分としても、後輩の経験のためにも今年は試合をたくさんやりたかったです」

試合数は激減し、リーグ戦も中止。代替大会のオータムカップ2020は行われたものの、1部への昇格の望みはなくなった。どんなによい成績を残しても1部には戻れない、傷心した富田に刺激を与えたのは同期や後輩の存在だった。

頼りになるチームメート

刺激を受けた選手について、同期では副キャプテンの植松義也(4年、桐光学園)、後輩では新入生の田邉太一(1年、福岡大大濠)の名前を挙げた。

植松は1年次から試合に出場している中心選手だ。「練習やワークアウトもストイックに頑張っているのを見ていたので気合いが入りました」。また田邊は富田と同じポジションで、練習から負けないように常に気を張っていたという。

田邊は今シーズン1年生とは思えないプレーを見せ、主力級の働きをしていた。「彼はルーキーですけどとても尊敬できる。彼のプレーでチームも助かるし、個人としても成長させてくれた」。また、チームとして得たものもあった。

「コート内にいる5人の関係性が今までのどの代よりもよかったと思う」。今の明大には身長の高い選手がおらず、サイズ面で不利な点がある。しかし、そういうチームで今シーズンどう戦っていくか、話し合いながらプレーすることができた。自分たちで考えて持っていった方向だからこそ今年のインカレ出場という道を切り開くことができたのだろう。

新天地へ向けて

「負けてしまいましたがチームもよい状態で試合できましたし、自分としても4年間やってきたことが出せたように思います」と白鴎大戦を振り返った富田。

大学で初めて経験したキャプテンという役職に対しても、周囲の求めるキャプテン像とのギャップに苦しんだが「人として自分に足りない部分を発見することができたのでよかった」と満足げに語った。

様々な困難に打ち勝った富田は、現在Bリーグに向かって突き進んでいる最中だ。「バスケが好きだということだけはブレたくない」。大舞台でどう輝くのか、富田のバスケ人生からは目が離せない。

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