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特集:第72回全日本大学バスケ選手権

大東大、準決勝で筑波大に敗退 追い上げて迎えた延長戦でアドバンテージを生かせず

中村の離脱を受け、飴谷はポイントガードとしてプレーした(撮影・全て青木美帆)

第72回全日本大学選手権 準決勝

12月12日@東京・大田区総合体育館
大東文化大学 59-62 筑波大学

オーバータイム(延長戦)残り18秒、59-61で筑波大学がリードという場面にも関わらず、大東文化大学は妙に落ち着いていた。早々にファールゲームを仕掛ければ、まだ逆転するチャンスがある。しかし、大東大がそれを実行したのは試合終了まで残り4.2秒というタイミングだった。筑波大にフリースローを1本決められて迎えた、3点差を追うラストオフェンスも同様。大東大の飴谷由毅(4年、富山工)がゴール下から出したゆるいパスが石川晴道(3年、浜松学院)の手元におさまる前に、試合終了のブザーが鳴り響いた。

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痛恨のタイムマネジメントミスだった。飴谷はゴール下にアタックした勢いのまま、コートの外で膝に手をつき、試合終了の挨拶には加われなかった。バトゥマニ・クリバリ(1年、中部大第一)が駆け寄り、肩を抱く。飴谷は何度も「ごめん」という言葉を繰り返しているように見えた。

19-32で迎えた第3Qより反撃

今大会を通じて出足の悪さが目立った大東大は、この試合もスタートダッシュがうまくいかなかった。筑波大の山口颯斗(4年、正智深谷)に序盤から次々と得点を重ねられ、7-17と大量ビハインド。ハーフタイムの折り返しも19-32だった。西尾吉弘コーチは試合後に「あれがなければ……ということは、試合が終わった後にどうしても考えてしまいます」と話している。

クリバリ(手前)は筑波大の井上とゴール下で激しい争いを展開した

第3クオーター(Q)、ようやく逆襲が始まった。激しいディフェンスで筑波大のオフェンスをシャットアウトし、クリバリの力強いポストプレーで、井上宗一郎(3年、福大大濠)、三森啓右(4年、札幌日大)ら筑波大のインサイド陣に次々とファールを重ねさせ、2点差にまで詰め寄る。

「プレスディフェンスに対して準備はしていたけれど、単調なオフェンスになってしまった」と筑波大・吉田健司コーチが言うように、筑波大は第4Qになっても大東大のディフェンスに突破口を見つけられず。大東大は第4Q中盤、高島紳司(2年、北陸)の3ポイントシュートでついに逆転に成功。タイムアップまで30秒を切ったところでクリバリがフリースローを2本沈め、勝利を強く引き寄せたが、山口に残り16.7秒でフリースローを決め返され、延長戦へと突入する。

第4Q終盤のタイムアウト明け。西尾コーチは選手たちに「楽しめ!」と発破をかけた

延長戦、インサイドで攻められず

西尾コーチは延長戦に入る前、選手たちに「ボールムーブの中でインサイドを使ったオフェンスをしよう」と話した。筑波大は井上が4Qでファールアウトし、三森もファールが混んでいる。ここをクリバリのインサイドで突かない手はなかった。しかし、指示と実際のプレーは乖離(かいり)していた。「選手たち、特に(ポイントガードの)飴谷はインサイドに入れようという意識はあったと思うけれど、自分でやらなきゃと考えすぎて、ボールが止まった状態からの、苦しまぎれのタフショットになってしまいました」

ディフェンスで得たアドバンテージをオフェンスに生かせないまま、筑波大・二上耀(3年、北陸)に残り時間43.8秒というタイミングで3ポイントを決められ、2点ビハインドの状況で直後のオフェンスにも失敗。そして、冒頭のような結果が訪れた。

試合後、天を仰ぐ飴谷(手前)と、それをねぎらうクリバリ

正ポイントガードの中村拓人(2年、中部大第一)がオータムカップ最終日に負傷し、インカレは不出場。苦しみながらも「1回戦より2回戦、2回戦より3回戦と成長することができた」と西尾コーチが称える成長を見せた大東大。しかし、2年ぶりの決勝進出をつかむ千載一遇のチャンスを、痛恨のミスで失ったショックは計り知れないものだろう。

3位決定戦は、昨年と同じく白鷗大学と戦う。どうか気持ちを立て直し、ラストゲームで持ちうる力を存分に発揮してもらいたい。

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