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特集:第72回全日本大学バスケ選手権

星槎道都大のスタメンは全員2年生 伊藤修平、初の全国大会で東海大相手に31得点

伊藤(左)は東海大戦で唯一、40分間のフル出場を果たした(撮影・全て青木美帆)

第72回全日本大学選手権 1回戦

12月8日@国立代々木競技場第二体育館
星槎道都大学 66-101 東海大学

北海道1位で8年ぶりのインカレに出場した星槎道都(せいさどうと)大学。東海大学との試合前、そのスタメンが全員2年生だと知り、とても驚いた。記者発表資料を見てみると、4年生が2人、3年生が3人しかいない。試合後に津梅直哉監督に聞くと、国体選手として活躍し、札幌市の強豪中学でコーチを務めた経験を持つ津梅監督が星槎道都大の監督に就任したのが3年前。つまり、本格的な強化がスタートしたのが現在の2年生の代からなのだそうだ。

全国の舞台を知らない選手も多い中、連動性を高めて勝負

「前任の監督さんが退官されるということで、声をかけていただきました。やるからには絶対に強いチーム、北海道だけでなく全国でも通用するようなチームを作りたいという思いで、高校の先生方にお声がけさせていただき、選手を集められるようになりました」

今の2年生の代から、津梅監督体制でチーム強化が始まった

津梅監督はこう語るものの、高校時代に全国大会を経験しているのはロスター中4人。その4人とて、全国的に名を馳(は)せたわけではない。体も細く、サイズもそれほど大きくないチームだが、それでも関東王者の東海大を相手に、小気味いい戦いを見せた。星槎道都大は66-101で敗れたが、第2Qまでは37-44と7点差に迫っていた。

初戦の相手が東海大に決まっても、津梅監督は特別な策を講じなかったという。「下級生主体のチームですし、まずは日頃の練習の成果が全国でどれくらい通用するかを体感してもらいたいという思いが強かったです。具体的には、コートに立つ5人が連動性を高め、うまくノーマークを作って攻めようと。東海大さんの選手は大きいし、なかなかノーマークができませんでしたけど、ある程度通用する部分もありました。来年以降に向けて頑張りたいと思います」

福岡第一出身の永田侑也(0番)。東海大に進んだ1つ下の河村勇輝(右下)や同期の松崎裕樹とは久しぶりの再会となった

高校卒業後は就職する予定だった伊藤、今はBリーグを見据え

東海大戦で特に目を引いたのが、パワーフォワードの伊藤修平(2年、恵庭南)だった。身長186cm・体重86kgの体格を生かしたパワープレーが主体かと思いきや、アウトサイドからの仕掛けも巧みで、シュートタッチも柔らかい。この試合は唯一40分間のフル出場を果たし、チーム最多の31得点。試合中に何度も仲間たちを呼び集めて言葉をかけるなど、リーダーシップも光った。

「バスケキャリアで初めての全国大会に出られてすごくうれしかったです。組み合わせが分かった時は『あちゃー』って感じでしたけど、テレビの前で見ていたような人たちと実際に戦えて、その中でも自分の色を出せて楽しかったです」

ほころんだ声でこう話した伊藤は、高校時代まではインサイド一辺倒のプレーヤーだったという。高校卒業後はバスケを続けず、兄の経営する会社に就職する予定だったが、高校時代から面識のあった津梅監督の「熱い心にやられて」(伊藤)進学を決意。シュートタッチの良さと体の使い方の巧みさを見込まれ、アウトサイドのプレーに挑戦することになった。

大学に進んでから、アウトサイドのプレーも鍛えている

ポジションアップの先に見据えるのは当然、大学卒業後の「Bリーグ」に他ならない。津梅監督も伊藤も、この東海大戦を経験したことで、その挑戦がより一層の現実味を帯びてきたと話す。

「大学卒業までにまだ2年あります。まずはチームのことを一番に考えながら、自分自身も磨いていきたいです」。そう、伊藤ら星槎道都大の主力メンバーのチャレンジはまだ始まったばかり。来年、そして再来年。またこの舞台で再会できることを楽しみにしていたい。

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