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特集:第72回全日本大学バスケ選手権

龍谷大が迎えた大東文化大戦 高さでも総合力でも劣るなら、ロースコア作戦で勝負

龍谷大が得意としている走るバスケではなく、あえてもうひとつの引き出しで大東文化大に挑んだ(中央が下畑主将、撮影・全て小沼克年)

第72回全日本大学選手権 1回戦

12月7日@国立代々木競技場第二体育館
龍谷大学 40-68 大東文化大学

12月7日、バスケットボールのインカレが開幕した。今大会男子の部は、富山大学と大阪学院大学、広島大学が参加を辞退し、全29チームで日本一を争う。実に18年ぶりとなる大舞台に立ったのは関西5位の龍谷大学。この日の最終試合となった大東文化大学(関東2位)との試合は、自分たちの持ち味を捨ててでも勝ちにこだわった。

「全員がエース」強さ見せる大東文化大バスケットボール部、インカレに挑む!

練習が実を結んだ序盤の“超”ロースコア

第1クオーター(Q)の10分間を終えて2-6。バスケにおいては“超”がつくほどのロースコアだ。しかし、この展開は龍谷大の作戦通りだった。大東文化大には高さに加えて総合力でも劣ると見ると、とにかく相手の攻撃回数を減らすことを最優先にした。ボールを奪って速攻を出せる場面でも相手の戻りを待ち、そこから24秒のショットクロックを目一杯に使うオフェンスを心掛けた。主将の下畑両平(4年、初芝橋本)は言う。

「相手の攻撃回数をできるだけ減らして、ロースコアのゲームに持ち込もうという作戦で試合に臨みました。なので1Qの2-6は上出来でした。自分たちが得意としている走るバスケットではなかったですけど、より勝ちに近づけるために、もうひとつの引き出しとして練習からディレイオフェンスに取り組んできました」

ディレイオフェンスに、時折走るバスケも展開

出だしは成功した。だが、第2Qからは相手の対応力が上回り、前半を終えて10-31。それでも「気持ちが途切れることはありませんでした」(下畑)と、龍谷大は粘り強いディフェンスから自分たちの走るバスケを時折披露し、後半のスコアにおいては30-37と善戦した。

1部復帰で迎えた今シーズン、2年生エースが躍動

今シーズン関西2部から1部に復帰した龍谷大は、リーグ戦では5連敗からの6連勝という勝ち上がりで、悲願のインカレ出場権を手にした。「リーグ戦は去年の上位チームからの対戦でした。序盤戦は負けたとしても、自分たちのプラスになるようなことを見つけて、それを今後につなげようとしていました。最初の連敗は特に焦ることなく想定内でしたし、そこで自分たちの戦い方を見つけられました」と、下畑はリーグ戦を振り返る。

そんな中、エースとしてチームを引っ張ったのは2年生の高橋克実(桜宮)だ。

「今年から伸びてきた選手で、2回生ですけど臆することなく果敢にゴールにアタックしてくれます。苦しい時に助けてもらったこともありましたし、どんどん攻めてチームを引っ張ってくれました」(下畑)

2年生エースの高橋は、関東1部の大東文化大に対しても攻めの姿勢でぶつかった

その高橋はこの試合、ベンチスタートとなったが、第1Qの途中からコートへ。ボールを受け取ると、壁になってくれるスクリナーを自ら呼んで幾度となく1対1を仕掛け、それを警戒した相手からダブルチームで守られる場面もあった。3ポイントに加え、ドライブからタフショットを決め、チーム最多の12得点。随所にらしさを見せたが、関東1部の壁は厚く、高かった。「関西のリーグで通用していたフィジカルも、こっちでは通用しなくてまだまだ甘いなと感じました」

下畑主将「やろうとしていたバスケットはできた」

最終スコアは40-68。下畑は「自分たちがやろうとしていたバスケットはできたので、悔いがあるとは思っていない」と胸を張り、「これを来年以降、どうつなげるかが大事だと思います。今年出たいろんな課題を克服して、より強いチームになってくれたらうれしいです」と後輩たちへ託した。

後を託されたチームのエースは、更なる飛躍を誓う。「来年に向けてスキルを磨くとともに、もう一度体作りにも力を入れようと思いました。来年必ずインカレに戻ってこられるように、チーム全員で頑張っていきたいです」

来年、再びこの舞台に立った際には、心身ともによりタフになった姿で勝利をつかみ取ってほしい。

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