サッカー

特集:#atarimaeni CUP

勝負強さの法政大学か、ジャイキリの東海大学か 23日に特例の全国大会決勝

法政大学のDF関口正大(左)と東海大学のFW砂金大輝(撮影・全て朝日新聞社)

#atarimaeni CUP

▽決勝(1月23日13時)
法政大(関東第7代表)-東海大(関東第9代表)
▽準決勝(1月21日@東京・味の素フィールド西が丘)
法大2-0(前半0-0)早稲田大(関東第3代表)
東海大1-0(前半0-0))順天堂大(関東第6代表)

大学サッカーの特例全国大会「#atarimaeni CUP」の無観客で行われる決勝(1月23日)は法政大学ー東海大学の顔合わせとなった。21日の準決勝で、2018年インカレ王者の法大は早稲田大学に2-0で快勝。2020年度を神奈川県リーグ(3部相当)で戦った東海大学は順天堂大学を1-0で振り切った。特例大会は新型コロナウイルスの影響で中止になった夏の総理大臣杯と冬の全日本大学選手権(インカレ)の代替大会として開かれている。

法大は関口正大主将が2得点

準決勝の法大はボールを持つ時間が多かったが、守りをかためた早大を攻めあぐねた。DF関口正大主将(4年、新潟明訓)は「自分たちがじれずに、ゴールを目指し続けよう」と鼓舞したという。後半の2得点はともに主将が決めた。6分、右から中央にスペースをみつけ、FW佐藤大樹(3年、札幌U18)とパス交換で崩し左足を振り抜いた。「ハーフタイムにサイドハーフとFWと関係性をもちながら中に入っていくように言われた。それがいい形で出た」

法大のDF関田主将(23)は先制点を挙げ真っ先にベンチへ

関口主将は得点後、一直線にベンチへ向かい仲間と抱き合った。「チーム全員でやろうと僕自身も監督も言っている。ピッチに入っている11人以外の力というのを強く感じる。僕が取ったゴールですけど、みんなで喜びを分かち合いたかった」と振り返った。34分にはドリブルで持ち込んだMF長谷川元希(4年、大宮ユース)が右に出したボールに反応し、右足で豪快にゴール。関口主将は「ファーに流れてくるかなと思った。浮かさないことだけ意識して、振り抜いた結果、いいコースにとんでくれた」と言い、ヴァンフォーレ甲府内定コンビで勝負を決めた。

ヴァンフォーレ甲府に内定している法大のMF長谷川

法大はインカレで17、18年と連続で決勝に進出。総理大臣杯も17年に優勝、19年準優勝と全国大会では「4年連続」の決勝進出となった。長山一也監督は「選手層の厚さが強みでもある。誰が出てもいい状況で戦える」と自信を持つ。17、18年の全国制覇に貢献した日本代表経験もあるFW上田綺世(あやせ)は前倒しで法大から鹿島アントラーズ入りした。今の4年生は同世代。関口主将は「良くも悪くも綺世がいた時は彼に頼る部分があった。彼がステップアップでいなくなり、僕たち同期は負けていられない気持ちが常にあった。日本一を取るというのは、僕たちにとっても、綺世自身にも刺激になる」と言った。

コロナ禍乗り越え

昨秋にはコロナ禍で活動停止の時期があった。関口主将が「活動再開後、サッカーができることに感謝して、自分たちが今できることをやり続けようと部員で共有してきた。そこだけはぶれずにチームでできている」と言えば、長山監督も「大学サッカーの聖地、西が丘でできることに感謝して戦おうと話した。最後にサッカーができる状況を作れてうれしい」と決勝を見据えた。

神奈川県リーグから初の決勝

神奈川県リーグの東海大は11月の関東大学トーナメント(アミノバイタルカップ2020)で5位になり、「#atarimaeni CUP」の出場権を得た。関東トーナメント1回戦でJリーグ内定者を多数擁する明治大学に2-0で快勝し驚かせたが、この大会の2回戦でも再び明大を1-1(PK4-2)で振り切った。DF米澤哲哉主将(4年、湘南工大附)は「関東(大学リーグ)1部のプロ内定者だったり、U19日本代表選手だったり、強い相手が続き、すごく燃えます。ジャイアントキリングと表現されていますが、それが楽しくてしょうがない。そんな感じです」

後半15分、決勝点を挙げた東海大のFW砂金

準決勝で、関東大学リーグ1部3位の順天堂大学から後半15分に値千金の決勝点をもぎ取ったのはFW砂金(いさご)大輝(4年、暁星国際)だった。コーナーキックからゴール前の混戦となり、気持ちで決めた。「前に2回ほどチャンスがあり、それを取り切れなかった。次、チャンスが来たら自分が絶対押し込んでやろうと待っていた。後半入る前に球がこぼれてくることをイメージし、本当にこぼれてきた」

責任と悔しさ胸に

東海大は2019年に関東2部から降格した。米澤主将は「去年、今の4年生たちが主力の時に(神奈川)県リーグに降格してしまい、責任と悔しさを感じていた。県リーグからであろうと、相手がどこであろうと、目の前の試合に絶対に勝つという強い欲がチーム全員にある。そういった気持ちをピッチで表現しながら一つひとつ勝てているところで自分たちの進化を証明できている」と胸を張る。トーナメント大会での躍進とともに、神奈川県リーグも制し、関東リーグ昇格決定戦でも勝って関東2部復帰を決めている。

今川正浩監督は言う。「昨年の1、2月、約90名で同じ時間帯で練習して、そこで根付いたかはわからないが、チームは一つということをみんなで共通してもちたかった。また、やろうとしているサッカーで、『いい試合だったな』『善戦したな』で終わらず、勝ちきるゲームをやりたいし、やってほしいと思ってきた」

東海大はDF米澤主将(4)らが体を張った守備をみせた

東海大学は全国大会としては2000年の総理大臣杯以来のタイトルに王手をかけた。1980年代後半から90年代にかけてインカレ決勝の常連だった強豪復活を目指す。今川監督は「(過去の栄光を)今の選手は記録では見ているが、どうしても遠い昔の東海大学だった。強かりし東海大を俺らが作れるかもしれない、というものを1試合ずつ強く感じている」。県リーグ勢が全国大会の決勝に進出するのは初めてという。Jリーグ内定者は、東海大学が面矢行斗(4年、東海大仰星、栃木内定)1人に対して法政大学は8人。守備力を中心にそんなデータがあてはまらない安定感で決勝に挑む。

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