陸上・駅伝

2月21日に大阪で男女混合駅伝開催 大学陸上界初の試み、関西学連に狙いを聞く

男女混合駅伝のゴール地点となるヤンマースタジアム長居。新しいレースに注目があつまる

2月21日に大阪・長居公園内の特設コースで全国招待大学対校男女混合駅伝競争大会(以下、男女混合駅伝)が開催される。大学陸上界で男女混合の駅伝が開催されるのは初めてとなる。大会開催に至った経緯と狙いを、関西学生陸上競技連盟の前幹事長で、男女混合駅伝の担当である中沢亮さん(大阪市立大学4年)に聞いた。

構想が持ち上がり、大学からも「興味ある」と回答

男女混合駅伝は関西学連所属大学から10チーム、選抜チーム1チーム、関東から招待8チームの合計19チームが出場。同時開催される「国立大東西四大学対校戦」にも4チームが参加するため、合計23チームが一斉に競うことになる。

関西学連:大阪学院大学、大阪教育大学、関西大学、関西外国語大学、関西学院大学、京都産業大学、神戸大学、神戸学院大学、佛教大学、立命館大学
関東学連(招待校):順天堂大学、城西大学、拓殖大学、中央大学、筑波大学、東海大学、東洋大学、日本体育大学
関西学連選抜チーム:(男子)大阪工業大学、滋賀大学、奈良学園大学、龍谷大学(女子)羽衣国際大学、東大阪大学、兵庫大学、明治国際医療大学
国立大学 東西四大学対校戦:(東)東京大学、一橋大学(西)京都大学、大阪大学

男女混合駅伝の構想が始まったのは2019年の春ごろ。まずは男女ともに長距離のチームを持つ大学の指導者にアンケートを取ることからはじまった。その結果、大学側からも「興味がある」という回答が多く、実現に向けて動き始めた。

はじめは2020年の8月開催を想定していた。しかし暑い夏はレースには向かず、合宿とも重なると大学の指導者側からの意見もあった。関西学連としては年間13大会程度を運営しているため、新規の大会を開催するとなってもなかなか日程が決めづらかった。「次の案として、11月の丹後駅伝(関西学生対校駅伝)の次の週が挙がりました。しかし2020年に入ってから、新型コロナウイルスの影響もあり話がストップしてしまいました。結局8月頃に、21年の2月に開催ということで決定しました」

話を聞かせてくれた関西学連の中沢さん

結局他の大会とのスケジュールも考えると、関西学連としては2月に開催するのがベストだとも思う、と中沢さん。4年生が出場しづらいという声もあるが、「そこは2月に大会があると周知されれば、それに合わせてスケジューリングすることも可能になってくるのかなと思います」。実際、今回も4年生がエントリーしているチームは複数あるという。

6区間20kmのスピードレースに

当初は関西学連所属の大学のみで考えていたが、男女のチームをもつ関東の大学も参加することとなった。関西の大学については、1500m、5000mの持ちタイムをハンガリアンテーブルを用いて点数化。エントリーのあった上位の10大学を選考した。そこから上位10校以外の大学で推薦された選手から選考し、選抜チームを組んだ。しかしまだ大会が形となっていないため、認知が進んでいないという課題もある。

「大阪体育大学さんなどは、今回女子選手が揃わず参加を見送りとなりました。他の大学でも強い選手がまだいると思うのですが、それは今回の大会が成功すればまたこの大会を目標としてくれる大学もあると思います」。中沢さんは「(関東の)強い大学が入ってくれることで、面白さが増すと思います」と言いながら、関西の人間としてはやはり第1回は関西の大学に勝ってほしい……という素直な気持ちも明かしてくれた。

長居公園内の長距離走路がコースになる。1区間が短いため、スピードレースが予想される

コースは長居公園内の長距離走路を周回し、ヤンマースタジアム長居をゴールとする6区間20km。はじめは大阪城周辺という案も出ていたが、第1回となる今回は運営や新型コロナウイルスの状況のことも考えて長居になったという。6区間の内訳は男女それぞれ3km、2km、5kmの区間を走る形となる。スピードレースの展開にすることで、長距離界全体のスピードを強化していきたいという狙いもある。

大会を成功させ、関西の陸上界をもっと盛り上げたい

中沢さんは12月まで学連の幹事長を務めており、引退後も男女混合駅伝の担当として大会まで学連に残って業務にあたっている。まずは新しい取り組みなので、形をちゃんと作っていけたらと口にする。「どうしても初めての大会だとバタついたりしてしまいがちなので、まずは競技運営の面でしっかり成り立たせることを考えてやっていきます」。長距離走路は幅も狭く、距離も短い。襷(たすき)渡しの際に接触などが起こらないようにどうしていくかなどを、ギリギリまで詰めていくという。また、今回の大会は原則無観客として開催する。出場する大学に要請し、合計100人規模で走路員を配置。安全に開催することを第一に考えている。

昨年12月22日に大会開催発表のリリースを出したが、「おかげさまでかなり反響がありました」と中沢さん。関西学連としても、関西の陸上界をもっと盛り上げていきたいという気持ちがあるので、注目されることは素直に嬉しいという。

「ただ、関西学連としては丹後駅伝(関西学生対校駅伝)に一番力を入れて運営しているので、もっとそちらを推していきたいという気持ちもあります。今回の大会が盛り上がり、相乗効果が生まれるきっかけになってくれたら嬉しいですね」。どうしても箱根駅伝があるため、強い選手は関東の大学に行ってしまう。昨年の日本インカレは新型コロナウイルスの影響でエントリー人数が絞られ、ターゲットナンバー(標準記録突破者のうち上位から人数制限で出場が決まる)でのエントリーとなったが、「これほどの差があるのか」と痛感したという。大会の魅力を高めることで、関西の競技レベルがもっと盛り上がれば、という思いもある。

大阪にも1月14日から2月7日までの予定で緊急事態宣言が発令された。現状、大会は緊急事態宣言外の日程ではあるが、不安は拭えないともいう。エントリーしている大学と意思確認をしながら進めていきたいと話してくれた。大学陸上界に新しい風を吹かせる大会となるであろう男女混合駅伝。まずは関係者の安全を第一に、今後の動向に注目していきたい。

in Additionあわせて読みたい