陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

亜細亜大学に新しいランニングコースが完成! 鍛錬を積むだけでなく、地域にも開放

亜細亜大学日の出キャンパスに新たなにランニングコースが完成しました!(撮影・M高史)

亜細亜大学といえば、女子は昨年、全日本大学女子駅伝と富士山女子駅伝に出場し、男子は第82回箱根駅伝(2006年)で総合優勝を果たしました。箱根本戦は第86回大会を最後に遠ざかっていますが、現在は再び箱根路を目指しています。その亜細亜大学のキャンパス内に1周約1.1kmのランニングコースが完成したと伺ったので「M高史の陸上まるかじり」で取材させていただきました!

起伏が少ない1周約1.1km

東京都日の出町にある亜細亜大学・日の出キャンパス。最寄り駅はJR武蔵五日市線の武蔵引田駅です。奥多摩の山々や自然に囲まれていることもあってか、思わず走りたくなる環境です。学内には400mの全天候型トラックとその周りに1周500mのゴム素材を使ったコースがあります。このコースは約20年ほど前、当時の岡田正裕監督がご指導されているときに作られました。

400mトラックでポイント練習を行う女子陸上競技部の皆さん(提供・亜細亜大学女子陸上競技部)

厚さ1cmのほどのゴムが敷かれているコースはロードよりもクッション性があり、コース内には細かい起伏もあります。ペース走やジョグのほか、女子陸上競技部では300mのインターバルトレーニングなどでも使われています。300m疾走して、200mジョグでつなぐと500mになりますね!

「作られてから一度も張り替えたことないほど丈夫なんですよ!」と女子陸上競技部の岡田晃監督。亜細亜大学のOBで第82回箱根駅伝総合優勝時のメンバーです。学生時代から、このコースをそれこそ数えきれないほど走ってきました。

1周500mのコースは細かい起伏もあり、ジョグやペース走、インターバルでも使用しています(撮影・M高史)

20年間で何百人という卒業生、在校生が、地球を何周分したのかというほどの距離を走り、周回を重ねてきてもなお、張り替えなくても大丈夫というコース。そんな亜細亜大学に、新たに約1.1kmのランニングコースが完成しました。

日の出キャンパスの広大な敷地を生かして、起伏が少なく平坦(へいたん)基調。岡田監督によりますと「ペースを上げられるコースとして期待しています。今は夏合宿の準備段階で、質を落として量を増やしているので、距離走でも使っています。駅伝の練習にもいいですね」。400mトラック、500mのゴム走路に加えて、トレーニングの幅が広がりました。

女子は全日本と富士山両方への出場が目標

髙橋朱穂選手(3年、本庄第一)が関東インカレ10000mで4位、5000mは8位とダブル入賞。3月の日本学生女子ハーフでも8位に入っており、トラックからロードまで力を発揮しています。

「今年も全日本大学女子駅伝、富士山女子駅伝に出場することがチーム目標です。今年は関東大学女子駅伝で全日本の出場権を勝ち取ろうという話をしています。夏からは駅伝に向けた練習に入っていきます」と岡田監督。関東大学女子駅伝ではシード校(大東文化大学、拓殖大学、日本体育大学、城西大学)を除いた上位3位以内に入ると全日本大学女子駅伝に出場することができます。全日本大学女子駅伝で12位以内に入ると、富士山女子駅伝の出場権が得られます。13位以下のチームは5000m上位7名の合計タイムによるアディショナル枠での争いとなるため、翌年の全日本も出場できる8位入賞と12位以内(富士山への出場権)をめぐる争いは毎年熾烈(しれつ)です。

関東インカレで2種目入賞の髙橋朱穂選手(腰ナンバー4番)。金井美凪海選手(腰ナンバー2番)とともにチームを引っ張ります!(提供・亜細亜大学女子陸上競技部)

女子陸上競技部は短大時代に全日本大学女子駅伝6位入賞を果たし、その後2001年に休部。2018年に4年制のチームとして復活を果たし、再始動5年目となる昨年、22年ぶりに全日本大学女子駅伝に返り咲き、20位で襷(たすき)をつなぎきりました。富士山女子駅伝では一昨年に初出場を飾り22位。昨年は六つ順位を上げて16位。新たにロードコースも完成し、さらなる飛躍を目指しています!

男子は箱根駅伝本戦への復活を目指す

男子を指導されているのは1999年のセビリア世界陸上でマラソン銅メダリストに輝いた佐藤信之監督です。佐藤監督に伺ったところ男子は「朝練習、距離走、ジョグのほか、インターバルでも活用しています。練習のバリエーションが増えました」と女子同様、トレーニングの幅が広がっているそうです。

箱根駅伝本戦復活を目指す男子。端数の距離もうまく活用しています(提供:亜細亜大学陸上競技部)

1周約1.1kmということで、ポイント練習の距離設定はどうしているのかなと思ったところ、逆にその端数をうまく使って1kmのインターバルにしたり、500mのゴム素材のコースと合わせて交互に走って1周約1.6kmを走ったりする選手もいるそうです。

トラック、ゴムの走路、ロードのランニングコースに加えて、サッカーやラグビーのグラウンドも整備されているので、広大な芝生も広がりトラック外側の芝生も含め軟らかい不整地を走ることができます。

箱根路復活に向けてチームを引っ張るのは片川祐大選手(3年、報徳学園)。4月8日の金栗記念10000mで28分31秒14。4月22日の兵庫リレーカーニバル10000mで28分30秒57。5月11日の関東インカレ2部10000mでは留学生に果敢に食らいつき、28分27秒51で5位入賞。全体4位(28分26秒83)に入った駒澤大学の唐澤拓海選手(4年、花咲徳栄)に次いで日本人選手2位の激走を見せ、自己新記録を連発しています!

関東インカレ男子2部10000mで日本選手2位に入った片川祐大選手(撮影・井上翔太)

さらに、ケニア人留学生のジョンソン・モゲニ選手(1年、遊学館)も加入。リオデジャネイロ・オリンピックマラソン代表の佐々木悟コーチ、今年から射場雄太朗コーチも加わって、指導体制もさらにきめ細かくなりました。

まずは全日本大学駅伝の関東地区選考会、そして第100回箱根駅伝への本戦出場を懸けた予選会に挑みます!

キャンパス内で駅伝大会も開催予定!

そして、新しいランニングコースは選手が鍛錬を積むためだけではない、もう一つの顔があります。佐藤監督は「町民にも開放していて、今後は駅伝大会もやる予定のランニングコースです」。

完成したランニングコースで走り込む亜細亜大学の皆さん(提供・亜細亜大学陸上競技部)

亜細亜大学の皆さんだけではなく、地域の皆さんが元気に健康に汗をかけるというのは地域貢献、社会貢献にもつながりますね!キャンパス内で駅伝大会も開催予定とのことで、僕も走ってみたいです(笑)

地域の皆さんにとっても、選手と同じコースで練習できるのはうれしいと思いますし、駅伝や大会で活躍している選手の姿を見るときっと応援したくなりますよね。新しいコースができ、ますます現状打破!亜細亜大学の選手の皆さんの走りに注目です。

M高史の陸上まるかじり

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