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生理に悩む女性アスリートに寄り添う 伊藤華英さんがスポーツを止めるなの理事就任

伊藤華英さんは「1252project」を通じて、女子学生アスリートの悩みに寄り添っていく

一般社団法人「スポーツを止めるな」は3月1日、伊藤華英さん(はなえ、スポーツ科学博士/元競泳日本代表)の理事就任とともに、女子学生アスリートの悩みに寄り添うことを目的とした新たな教育プログラム「1252project」を発表した。オンラインで行われた会見には共同代表理事の廣瀬俊朗さん(としあき、元ラグビー日本代表)も参加し、「1252project」についての意見を交わした。

伊藤華英さんが北京五輪で感じた悩み

スポーツを止めるなは「競技の垣根を超えて全ての選手が自分らしく輝ける環境を創出する」ことを目的として、代表理事の野澤武史さん(元ラグビー日本代表)が昨年7月に立ち上げた。設立前の昨年5月には新型コロナウイルスの影響を受けたスポーツ業界に「#ラグビーを止めるな2020」というSNSを使った活動を始め、その動きは様々な競技に波及し、「スポーツを止めるな」という大きな取り組みに変わっていったという経緯がある。そして今回、共同代表理事の廣瀬さんと最上紘太さん(コミュニケーションプロデューサー)とともにこの活動を推進すべく、伊藤さんが理事に就任した。

伊藤さんが立ち上げた「1252project」は、女子学生アスリートが抱える「生理×スポーツ」の課題に対し、トップアスリートの経験や医療・教育分野の専門的・科学的知見をもって向き合う教育/情報発信プロジェクト。伊藤さんは選手時代に2008年の北京と12年のロンドンで2度オリンピックを経験しており、その北京オリンピックの時には競技日程が生理と重なることが予想されていた。そのため本番2~3カ月前から生理をずらすためにピルを服用した。ピルをよく理解していなかったこともあり、その副作用で体重が増加。「ハイパフォーマンスをするアスリートにとっては感覚的に体重が増えることは大変致命的なもので、とてもつらい思いをしました」と振り返る。そうした自身の経験から女性学生アスリートだけでなく、周りの人々も広い視野、長期的な視点を持って生理と向き合える場を作りたいと考え、このプロジェクトを立ち上げた。

一人ひとりが異なるからこそ自分を知り、人を知ろう

プロジェクト名にある「1252」は、1年52週間の内、生理期間が約12週間というところからネーミングされているが、12週間生理がくることを正解とするものではない。月経周期だけではなく、コンディションのいい時期も一人ひとり異なる。伊藤さんは「生理が原因で競技を続けられなくなったという学生アスリートも多いと思いますので、その環境整備のためにも、スポーツを止めるなと一緒にやっていくことは大変意義があることだと感じています」と話し、自分の周期やベストコンディションの時期を知ることで、よりよい競技生活につなげてほしいと考えている。

「ラグビーをしてきて男性ばかりの中にいたので、(女性の悩みを)なかなか知る機会も経験もなかった」と廣瀬俊朗さんは振り返る

「1252project」の賛同者でもある廣瀬さんは「アスリートのパフォーマンス向上も大事ですけど、家族間でもそうですし、アスリートだけでなくみなが学ぶべきことだなと思いました。個々でも異なりますし、一人ひとりと向き合っていかないといけない」とコメント。また、男性指導者も女性学生アスリートが抱える悩みを知る機会が必要だと考えている。

今後「1252project」では生理×スポーツに関する女子学生実態調査や問題提起、トップアスリートとの対談、医療・教育の専門家との教育コンテンツの展開、学校・部活・スポーツチームに向けたセミナーなどを予定している。またスポーツを止めるなのホームページでは、プロジェクトに賛同し協力してくれる学校(中学校/高校/大学)を募集している。

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