野球

東洋大学の佐々木俊輔主将、心をひとつに「春4連覇」へ挑む 東都1部7校の激戦

東洋大学の佐々木俊輔主将。昨秋は打率チームトップの.333(撮影・佐伯航平)

東都大学野球春季リーグ戦が3月29日に神宮球場で開幕します。今季、1部リーグは7校による2回戦総当たりの勝率制。新リーダーに意気込みを聞く6人目は昨秋、4位と苦しんだ東洋大学の佐々木俊輔主将(4年、帝京)です。昨春はリーグ戦が中止により目標に挑むことすらかないませんでしたが、改めて今季、「春4連覇」に挑戦します。

先輩の無念を晴らす

「目標は春4連覇です」と佐々木は力を込めて言う。2017、18、19年と東洋大は春のリーグ戦を3連覇していた。春4連覇を目標に掲げていた昨春はコロナ禍でリーグ戦が中止になった。(中止を挟んで)とカッコ書きは入るが、先輩たちの無念を晴らすべく、改めて今春、「4連覇」に挑む。

昨秋は東洋大にとって試練のシーズンとなった。開幕戦に先発したエース・村上頌樹(阪神)が右前腕肉離れで戦線離脱。公式戦経験者が元々少なく、チーム作りが遅れていた中でのエース離脱は痛かった。東洋大は開幕から5連敗と苦戦を強いられ、後半に3勝を挙げたものの中央大学、駒澤大学と並ぶ4位でシーズンを終えた。

阪神5位指名の東洋大学野球部・村上頌樹 思い出の甲子園で球児のあこがれになる

負けが続く中、杉本泰彦監督は「失敗を恐れず、経験を積むしかない。この秋は徹底的に恥をかこう」と言って選手たちを鼓舞し続けた。苦しい戦いの中、下級生中心のチームには徐々に明るい光がさした。1番・ライトのポジションをつかんだ佐々木はリーグ3位の打率3割3分3厘をマーク。ショートの木村翔大(4年、霞ヶ浦)は2本塁打9打点などの活躍でベストナインを獲得した。

結果残した者を主将に

リーグ戦終了後、最上級生になる3年生で話し合う中、「秋に結果を出した者が主将を務めるべきだ」という意見が強まった。そこで主将に選ばれたのが佐々木だった。

「今年はやり返すために今まで以上に練習をしないといけないと思います。妥協することなく全員が同じ方向に向かって取り組めるようチームの雰囲気を持っていくことが自分の役割だと思います」と佐々木は主将としての自身の役割を語る。

苦しんだ昨秋から巻き返しのシーズになる(東洋大野球部提供)

昨秋経験を積んだ選手たちが、今春は自信を持ってリーグ戦に臨む。打線では俊足の佐々木、松本渉(3年、龍谷大平安)らがチャンスメイクし、長打力のある木村、小口仁太郎(3年、智辯学園)、廣岡隆成(3年、拓大紅陵)らがかえす役割を担う。

投手陣は昨秋チーム防御率3.78(リーグ5位)と苦しんだが、「ピッチングスタイルの違う投手たちが、それぞれ調子を上げてきている。投手陣は本当に楽しみです」と佐々木は自信を持つ。本格派右腕・松澤海渡(3年、帝京)、河北将太(3年、浦和学院)、右のサイドスロー・大宮隆寛(4年、鳥取城北)が実績で他の投手を上回る。大型右腕の羽田野温生(3年、汎愛)、八木橋遥大(3年、小山南)、2年生左腕の野澤秀伍(2年、龍谷大平安)、細野晴希(2年、東亜学園)らがブレイク間近の様相を見せる。

スローガンは「一心」

年明けに緊急事態宣言が発令されたため、帰省していた部員たちは1班と2班に分かれ、まず1班のみが埼玉・川越市の合宿所に戻って活動を再開した。2班のメンバーはしばらくの間、実家などで自主練習を続けながら数名ずつ合宿所へ戻り、全員がそろったのは3月上旬になってからだった。中旬からはオープン戦もスタート。例年なら2月に入寮する新1年生も感染リスクを考慮し合流を見合わせ、ようやく入寮することができた。

全員が顔を合わせることができない中、4年生がオンラインで話し合って決めたチームスローガンが「一心(いっしん)」だ。

「全員が心をひとつにして、ひとつになって戦おう、ということです。なかなか寮に戻ってこられなかった部員もいて、離れ離れになっている分、チームがひとつになることをみんなで意識しよう、そういう思いも込めてこの言葉にしました」と佐々木はチームスローガンに込められた思いを教えてくれた。心をひとつに、東洋大は「春4連覇」に挑む。

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