クボタの北川賢吾とヤマハの山本幸輝、TL8強かけた試合前に強力な押し合い
ラグビー・トップリーグ(TL)のプレーオフトーナメントは4月24、25日に2回戦がある。ベスト8を決める戦いの中で注目されるのは、ともにスクラムなどセットプレーが強力なクボタ(レッドカンファレンス3位)とヤマハ発動機(ホワイトカンファレンス6位)の対戦だ。ともにプロップ(PR)で直接組み合うことも予想されるクボタの北川賢吾(28)やヤマハの山本幸輝(30)らが20日、オンラインで一足先に激しいバトルを繰り広げた。
「究極のスクラムができあがった」
リーグ戦終盤は試合途中から3番に入りチームに勢いを与えてきた北川は「ヤマハさんはスクラムを前面に出して勝負を仕掛けてくると思う。僕らも今シーズン、かなりスクラムに力を入れてFWを作った。そこは絶対、負けられない。恐らくトイメンになるであろう、山本幸輝さんには個人的にも絶対、負けられない」ときっぱり。対して1番を任される山本は「スクラムでは絶対に負けられない。試合を重ねるごとにいいスクラムが組め、今、究極なスクラムができあがった状態。今週、楽しみ」と応じた。
近畿大学出身の山本と同志社大学出身の北川は関西大学リーグで鍛えてきた。ともに日本代表の経験もある。2つ年上の山本が「僕が4回生の時、近大が創部初めて同志社に勝った。気持ち入れて試合中、ガンガン、スクラム押していくので、そういうところに注目してください」と言えば、北川は「僕が(同大で)出た試合で近大に負けたことは多分ないと思います」とクールに返した。
トップリーグでは互いに直接組み合った記憶はないそうで、山本は「北川選手はプロップには珍しくずっと涼しい顔をしてスクラムを組む。いい姿勢で組んでいるので、今回の試合で、押されて『やっちまったな』という顔をさせたい」と意気込んだ。年下の北川は「幸輝さんは1番の中でトップレベルに強いと思うが、押したら大声出すなど言い方悪いですけど、ちょっとむかつくんです。だから、今週の試合はそうはさせないぞ、と思ってます」。
ラストシーズン五郎丸への思い
ヤマハのFB五郎丸歩(35)は今季限りでの引退を表明している。チームが負けると現役に別れを告げることになるが、ヤマハのLO大戸裕矢主将(31)は「先週、今週の練習はエナジーあるプレーが五郎さん自身できていると思う。チーム全体に与える影響は大きいし、最後、いい形で送り出せるように戦っていきたい」。2015年ワールドカップでともに日本代表として南アフリカを破ったクボタのCTB立川理道主将(31)は「このプレーオフでヤマハと、五郎さんと試合ができるのは個人的にはうれしい。結果はわからないですけど、できることに感謝して試合を楽しみたい。試合ができない可能性もあったが、こうして試合ができることは何かの巡り合わせではないですけど」と話した。
オンラインとはいえ、TLの試合前に両チームの選手が一緒に会見を開くのは珍しい試みだった。立川主将は「そんなに試合前に特別、ギスギスしなくてもいいのかな。こうした機会はすごく新鮮で、いい機会と思っている」。大戸主将も「試合前の感情などを聞いてもらい、試合の楽しみにつながれば会見をやってよかったと思える」と話した。試合は24日正午から東京・江戸川区陸上競技場である。