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特集:ジャパンラグビートップリーグ

ヤマハ発動機の五郎丸歩、観客席で現役生活に幕 負傷しても最後までチームを鼓舞

試合後、ヤマハ発動機の選手を迎える五郎丸歩(撮影・朝日新聞社)

ラグビーのトップリーグは4月24日からベスト8を決めるプレーオフトーナメント2回戦に入り、ヤマハ発動機はクボタに12-46で敗れた。今季限りで引退を表明していた元日本代表FB五郎丸歩(35)はメンバーを外れ、ポロシャツ姿で江戸川区陸上競技場の観客席から応援した。試合後、後輩たちをねぎらいながら迎え、静かに現役を終えた。

初出場の新人が躍動

五郎丸を復帰させるためにも負けられなかったヤマハ発動機は上々の立ち上がりだった。堀川隆延監督は「我々が準備した通り、いろいろなスペースにボールを動かせば得点を取れる手応えをつかんだスタートだった」。初出場の新人フランカー庄司拓馬(立命館大)が激しいプレーで反則を誘って相手陣に入ると、ベテランWTB伊東力(31)がトライ。もう一人の初出場の新人、五郎丸に代わる形でFBに入った奥村翔(帝京大)が右中間のゴールをしっかり決めた。

前半、相手の反則を誘ったヤマハ新人の庄司(右、撮影・朝日新聞社)

ヤマハはこの後も相手陣で試合を進めたが、追加点を奪えなかった。次第にクボタの逆襲を許し、3トライ奪われるなど前半を7-24の17点差で折り返すことになった。
試合が決まったのは、後半立ち上がり、相手ゴール前で攻めきれなかった自慢のスクラムだった。「ゴール前5mのスクラムから得点できなかったことが敗因。スクラムを押しながら得点につながれば大きなチャンスがあった。後半、先に得点することが大事だった」と堀川監督。セットプレーも強化してきたクボタが地力で上回った。

肉離れの中、激しい練習

五郎丸が欠場したのは、リーグ戦のパナソニック戦(4月10日)で肉離れして途中交代したのが原因だった。試合後、明かされた。本来はリハビリをしながら復帰を目指すものだが、五郎丸は全体練習に参加、前日のメンバー外による練習でも先頭を切って激しい練習を繰り返したという。堀川監督は「チームのために最後まで体を張り続けた彼に対し、今日の結果は申し訳ない。最後の最後まで五郎丸らしくチームのためにやってくれた」と話した。大戸裕矢主将(31)も「五郎丸さんは、今週はBチームで練習だったが、最後の気迫というのは僕たちも刺激になった。体でみせてくれるような大先輩がいるので、僕たちも『頑張らないと』『勝って次にいかないと』という姿勢になった。プレーヤーとししては引退されるが、僕たちの胸にそういうスタイルはずっと残っていく」。

後半、トライを挙げたヤマハ新人の奥村(撮影・朝日新聞社)

ヤマハの背番号15を託された13歳年下の奥村は試合前、「お前がやってきたことを信じてやりぬけ」と背中を押されたという。前半に一時退場になるなど若さもみられたが、後半には意地のトライを奪った。「ヤマハに入って時間はたっていないが、五郎さんの姿をみて、本当に熱いプレーでチームを引っ張る姿、後ろからチームを支えるプレーヤーが15番だと思う。しっかり受け継いで来シーズンに生かしたい」と前を向いた。

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「思い背負い戦う」クボタ立川主将

日本代表でともに活躍してきたクボタの立川理道主将(31)はピッチに姿がなかった先輩に引導を渡す形になった。「個人的にはグラウンド上で戦えたらうれしかった。カンファレンスが違ったので、試合する可能性がない中、こうしてヤマハと最後にできたのは縁がありうれしい。最後、観戦に来られて会えたのでよかった。『次、また頑張って』いう話もしてくれたので、その思いも背負いながら戦っていきたい」。クボタは最後のトップリーグで初のベスト4入り、その先を目指す。

クボタの立川主将(左)とヤマハの五郎丸(日本ラグビー協会提供)

「悔しい思いセカンドステージのモチベーションに」

試合後、五郎丸はオンラインで会見を開いた。
「本当に長い間、お世話になりました。20、30何年ですか(3歳から始めて32年)。長いことラグビーやってきましたけど、今日が一つ終わりを迎えたということで。非常に悔しい思いはありますけど。この悔しい思いというのは、次はグラウンドで晴らすことはできませんですけど。(人生の)セカンドステージへの自分自身への大きなモチベーションとして頑張っていきたいなと思います。今回は私の今、感じている自分の気持ちだけをお伝えさせて頂いて。また後日、ゆっくりした形で自分の気持ちも整理をつけた上で、記者会見させて頂きたいと思います。本当に長い間お世話になりました。ありがとうございました」

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