バレー

中央大で日本一に! 春リーグから活躍する澤田晶、山根大幸のルーキーコンビ

サーブを打つ澤田。春季リーグからいきなりの活躍だった

昨年度は新型コロナウイルスの影響により、春秋リーグ戦中止(秋季は代替大会を途中まで開催)、インカレ出場辞退に見舞われた中央大学バレーボール部。力を出し切れたのは天皇杯1回戦のみと、チームにとってもどかしい1年となった。そして今年4月、再起を誓ったチームの初戦・春季リーグオープン戦のコート上には、入学間もない新入生の姿があった。澤田晶(1年、愛工大名電)と山根大幸(1年、前橋商)だ。期待のルーキー2人に話を聞いた。

対照的な背景のふたり

中学1年生の時に競技生活を開始した2人。中央大バレー部に入部するまでにはそれぞれドラマがあった。

澤田は中学を卒業後、愛工大名電高バレー部に入部。高校時代にはインターハイ、春高、国体すべての大会の出場を果たした。また、世界ユースにも選出され、出場した世界大会では6位入賞を果たすなど輝かしい功績を持つ。

彼のターニングポイントは高校時代の水野将司(2020年卒・現アイシンティルマーレ)との出会いだ。「水野さんは高い技術力があり、一番尊敬しているMB(ミドルブロッカー)で、そんな選手を擁する中央大に強い憧れがあった」という。水野の背中を追いかけたいという高校時代からの念願が叶(かな)い、晴れて中央大に入学した。

スパイクを打つ山根(19番)

一方の山根は「他の強豪のチームより楽しそうだった」という群馬の強豪校・前橋商業高に「一般入学」した。一般生だった彼は高校2年生までは試合に出場することもなかった。しかし、高2のときに春高予選の際に起用されたことをきっかけに状況は一変した。

その年、チームは全国大会出場を果たし、翌年には全国の高校バレーの有望選手が集まる2020全日本ジュニアオールスタードリームマッチに出場。スター街道を駆け上がり日本高校選抜に選ばれるまでになる。彼が中央大の門を叩(たた)いたのはやはり「楽しくバレーができる環境がある」という理由からだった。

早速回ってきたチャンス

2人の新入生に早速チャンスが回ってきた。オープン戦に出場予定だった4年生が就活のため欠場、ピンチヒッターとして出場することになった。 豊田昇平監督が彼らを起用したのは「新入生であっても戦力の一人。それぞれ特徴があり、個性がある。今からコートに立ち、プレーだけではなく様々な経験や吸収をしてもらいたかった」という思いからだ。

山岸隼主将(4年、東山)の「新入生がやりやすい状況を作るのが上級生の仕事」という言葉通り、先輩から手厚いバックアップを受けた2人はのびのびとプレーし攻守両面で活躍。オープン戦の3回の勝利に貢献した。

大学初舞台を経験し、真っ先に感じたことをたずねると、澤田は「高校で通用していたことが大学で通用しない」。山根は「速さや高さ、威力全てが高校とは段違いの“大学生のバレー”を早いうちに知ることができたのはいい経験だった」と振り返る。課題が見えたと同時に成長につながった初めての実戦だった。

「期待するところは全て」

「2人には全てのことにおいて期待しているが、澤田には澤田の長所、山根には山根の長所があり、まずはその長所をさらに磨き上げ、自分の武器にしてもらいたい」と豊田監督は語る。特に注目するべきなのは2人の身長だ。特に澤田は198cmの身長を誇り、昨年の春高では、当時高2ながら最高到達地点338cmと全出場選手の中で最も高かった。

ブロックする澤田(17番)

同じく山根も身長192cmと高さがある上、手足が長く、澤田に勝るとも劣らない2m近いリーチが武器だ。「長所でもあるリーチの長さを武器に“高さ”を生かしたブロック力というのはすごく魅力であり、チームにとってもプラスの要因でもある。まだまだ発達途上にあるため、将来、アンダーカテゴリー代表やその先にある、日本代表への選出も期待したい」とまで監督は言い切る。

日本一を目指して

「まだ2人は本来の実力を出し切ることができていない。もっともっと自分の良さを全面に表現して欲しい」とインカレに向けて2人にさらなる期待をかけている山岸主将。インカレにおいて、澤田はクイックの打ち分けで、山根はサーブで相手を崩すことで貢献していきたいと語る。山根は「早く大学のバレーに慣れて、すべての分野で技術を向上させたい」と意気込む。

最後に今年の目標について尋ねると、2人は声を揃えて「何事も全力でやって日本一とります! インカレ4連覇中の早稲田大に勝ちたいと思います」と力強く宣言してくれた。

残念ながら新型コロナウイルスの影響で春季リーグはオープン戦になり、4月25日からの緊急事態宣言発出に伴い、以降の試合が延期となってしまった。だがまだまだこれから。フレッシュな大砲2人組を迎えた中央大学バレーボール部の活躍から今年も目が離せない。

in Additionあわせて読みたい