フィギュアスケート

特集:フィギュアスケート×ギフティング

法政大の渡辺倫果、4回転に意気込み 中学時代からカナダ拠点「自立できた」

法政大の渡辺倫果は中学時代からカナダで練習してきた(すべて撮影・浅野有美)

フィギュアスケートで法政大学1年の渡辺倫果(青森山田)は中学時代からカナダ・バンクーバーを拠点にしている。新型コロナウイルス感染拡大で、いまは日本で練習している。来シーズンのプログラムも決定。ショートプログラム(SP)は26日からアクアリンクちば(千葉県千葉市)で開催される競技会でお披露目する予定だ。競技にかける思いや今後の目標を聞いた。(※ギフティング受付は終了しました)

荒川静香さんにあこがれて

――スケートを始めたきっかけを教えてください。

渡辺 3歳の頃、2006年トリノオリンピックで荒川静香さんが優勝したところを見たのがきっかけです。始めてすぐにリンクが閉鎖してしまい、新横浜、東伏見と移りました。

――いつからカナダに拠点を移したのですか。

渡辺 中学2年の頃、関武徳コーチがカナダに移ることになり、私もカナダに行ってみたいなと思い、決めました。中学3年で文華女子中学から青森山田中学に転校しました。全然英語が話せない状態で大変でしたが、学べることの方が多かったです。

――どこが成長しましたか。

渡辺 自立できるようになったのが大きいです。日本では実家暮らしで親にやってもらうのが当たり前と思っていたところがありました。カナダでは全部自分でやらないといけないので、親のありがたみを感じるようになりました。氷の上でも自立できるようになり、自分の頭で考えて、こうしていったらこうなるだろうと考えられるようになりました。

2015年全日本ジュニア選手権で演技する渡辺

――現地ではどんな生活をしていましたか。

渡辺 ホームステイをしていました。その母親が台湾人で中国語も話しています。2人姉妹がいて妹がリンクメイトで台湾代表です。カナダの選手はダイナミックなジャンプでスピードもあり、みんなうまいんですよ。

成長するところがたくさん

――20-21年シーズンはどのように過ごしていましたか。

渡辺 新型コロナの影響でカナダのリンクも閉鎖になりました。国内試合のため9月に帰国し、それから日本にいます。濱田美栄コーチのもとで半年ほど練習して、4月からは昨年12月にオープンしたアイスパーク船橋(千葉県船橋市)で練習しています。いまは氷にのれるだけでありがたいです。ホームステイ先との契約は解除したので、次にカナダに渡る時は一人暮らしをする予定です。

――20-21年シーズンを振り返るとどうですか。

渡辺 全日本選手権はフリーに進めませんでした。どんな状況下でもジャンプを跳べるようにしないといけないと思いました。課題を見つけることはできたんですが、まだまだ成長するところがたくさんあります。

――いまの練習環境について教えてください。

渡辺 氷上監視のアルバイトと練習の繰り返しです。日曜は早朝から練習があり、その後アルバイトをしています。平日はアルバイトの後、夜まで練習しています。

バレエのレッスンで指先の動きを確認した

数学が好き、経済学に興味

――法政大学通信制を選んだのですか。

渡辺 他の大学の候補があったのですが、法政大学は学部が選べたので。経済学に興味があり、経済学部を選びました。一つの答えを導き出すという点で数学が好きです。いまは(教養科目で)生物学やっていますが、2年から専門的な分野に分かれていくと思うので、そこで経済学を学びたいと思っています。

――数学的な思考は競技にもつながっていると思いますか。

渡辺 ジャンプは絶対条件がそろえば跳べると思います。どういう選手がお客さんから見てスケーティングがいいと思われるかを考えたとき、クロス2回でトップスピードに持っていく、重心が低いなど研究しています。

――渡辺さんの持ち味は何ですか。

渡辺 自分しか持っていない持ち味を持つことがいまの目標でもあります。新しいジャンプ、誰も跳んでいないジャンプも持ち味につながると思っています。トップ選手と一緒に滑っていると大きな壁が見えるので、それを越えていきたいです。

リンクでアルバイトをしながら活動を続ける

――来シーズンのプログラムについて教えてください。

渡辺 ショートプログラムは26日からアクアリンクちばで開かれる大会で初公開したいと思います。フリーはキャシー・リードさん振り付けの「カルミナ・ブラーナ」です。京都宇治アイスアリーナで練習していたとき、河辺愛菜(まな)選手が力強い感じの曲を滑っていてかっこいいなと思い、自分もそんな曲を選びました。曲の意味は天使の間に生まれた悪魔で、どんないい人でも一つのちょっとしたことで悪魔になりうるという捉え方です。大学生になったので難しい曲にも挑戦したいなという気持ちでやっています。

女子初の4回転ループでギネスを

――スポーツギフティングサービス「Unlim」に登録しました。

渡辺 人にお金をいただく以上は絶対に結果を出さないといけないし、それがどれだけ大変なことか、自分が働いているからこそ身に染みています。自分が今まで以上に努力して、いい結果を出して恩返しできるようになったらと思っています。

――支援金はどのように活用したいですか。

渡辺 カナダと日本の行き来や振り付け、貸し切りなど、すぐに数十万円がなくなります。少しでも助けてもらえたらと思います。

女子初の4回転ループ成功を目指す

――来シーズンの目標を教えてください。

渡辺 トリプルアクセルの安定と4回転ループへの挑戦です。トリプルアクセルは少しずつ安定してきて、1日1本は下りられるところまできているので、できれば試合で入れたいです。ロシア選手もまだ4回転ループは試合で入れていないので跳んで、ギネス世界記録をとってみたいです。あとはスケーティングの伸びも意識して練習に打ち込んでいるので、その成果を出したいです。

渡辺倫果、船橋の新たな拠点でチャレンジ 練習では言語化を意識

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