陸上・駅伝

特集:第100回関東学生陸上競技対校選手権

順天堂大学・三浦龍司 圧巻のラストスパートで関東インカレ1500m初優勝

ラスト120m、圧巻のラストスパートで勝ちきった(すべて撮影・藤井みさ)

第100回関東学生陸上競技対校選手権 男子1部1500m決勝

5月21日@相模原ギオンスタジアム
1位 三浦龍司(順天堂大2年)3分48秒57
2位 菖蒲敦司(早稲田大2年)3分50秒87
3位 居田優太(中央大2年)3分52秒14

5月21日、関東インカレ2日目に男子1部1500mの決勝があり、順天堂大学の三浦龍司(2年、洛南)が優勝した。対校戦ということもあり、前日の予選で「タイムは気にせず優勝して(チームのために)高得点を取る」と言っていたが、有言実行の結果となった。

ラスト120m、猛烈なスパートでトップに

今回の関東インカレでは、本職の3000mSCでなく、1500mと5000mにエントリーしている三浦。チームのために高得点を取れる人が走る、という思いと、スピードと持久力双方を高めるためという思いがあったという。大学で1500mのレースにはほとんど出ていなかったということもあり、今回はタイムは気にせず、とにかく「勝つ」ことを意識して臨んだ。

前日の予選では長門俊介監督から「ラスト150mで出ろ」との指示があり、それをきっちりと守って鮮やかなラストスパートで周りを置き去りにして1着で通過。決勝当日は雨、強い風が吹きつけるコンディション。決勝には先輩の小島優作(4年、仙台育英)もおり、「はじめから積極的に行く」と話していたという。三浦はためてラストスパートで勝ち切る、前日の予選の再現となればいいかなと思い、小島が引っ張る集団の流れを見ながらレースを進めた。

ラスト一周の鐘が鳴っても、三浦はためながら走った

最初の一周は集団に囲まれ、ポケットされた状態になった。「うまく抜け道が探せなかったので、あのまま流れてしまったら危なかったと思う」と振り返るが、集団が縦長になり徐々に位置取りを前にし、800m手前では4番手につけた。

ラスト1周で小島がスパートをかけると後続とは距離が空いた。残り200mで早稲田大の菖蒲敦司(2年、西京)がギアをあげ三浦の前に出るが、三浦は残り120mで猛烈な切り替えを見せ、菖蒲、小島をかわしてトップでゴールした。「今日は(監督の指示はなく)自分に任されていたので、勝つこと優先でいきました」。1位になれて、高得点をチームに持って帰れて嬉しい、と語った。

4位に入った先輩の小島と健闘を称え合う

前日の予選では三浦は菖蒲と別の組だった。「動画を見返していたときに、菖蒲くんのラストはスピードを出したあとに緩める感じで、昨日の自分のような感じ(の走り)だと危ないかなと思ってました。(今日は)ラストで先に菖蒲くんが出て、自分が追いかける形になったんですけど、感覚的には菖蒲くんが出た瞬間には『勝てる』と思いました」

菖蒲選手は三浦選手のラストスパートについて「異次元」と表現していましたが……と話を向けると「スピード的に言ったらあんまり変わらないと思います」という。猛烈なラストの切り替えに、スプリント力がものすごくあるのでは? と問われると「いや本当に、並の中距離選手ぐらいしか……」とは答えていたが、実際のところは本人もわかっていないようだ。

自分を追い込まず、自然な流れでレースに臨む

5月9日にあった東京オリンピック前のテストイベント「READY STEADY TOKYO」では3000mSCで8分17秒46のタイムをマークし、岩水嘉孝さんの持つ日本記録を18年ぶりに更新した。そこから昨日、今日の1500m、そして2日後には5000mにもエントリーしている。連戦の疲労はないかと問われると「特にないです」とさらり。調子が上がったり下がったりということもなく、いつもどおりだと自然体だ。

自然の流れでレースに臨めていることが、三浦の力を発揮できる要因になっている

高いパフォーマンスを出し続けられるのはなぜかという質問には、「レースで緊張するのは当たり前なので、直前まで逆に考えないようにしています」という。今週はこの試合だから……と自分を追い込むようなことはせずに、「自然に試合が流れてくるようなイメージ」。前泊して会場入りした際にやっと雰囲気をつかんで、レースを意識すると話す。こともなげに言うが、誰にでもできるものではない。19歳にして別格の雰囲気を漂わせてもいると感じる。

いつもレース後に表情が変わらず、平然としているように見える三浦だが、本人的には「きつい」と思っているという。今回も表情が特に変わらずにゴールしましたね、との質問には「しっかりきついので(笑)」と笑って答えた。2日後の5000mではどんなレースを見せてくれるだろうか。

in Additionあわせて読みたい