フィギュアスケート

関西大学卒業の宮原知子 オリンピックシーズンへ「1日1日できることをしっかり」

「ブルーム・オン・アイス」に出演した宮原知子(いずれも撮影・西岡臣)

フィギュアスケートで2018年平昌オリンピック女子4位の宮原知子(木下グループ)が今春、関西大学文学部を卒業した。全日本選手権4連覇など日本女子を牽引(けんいん)し、学業とも両立してきた。4月に京都府宇治市であったアイスショー「ブルーム・オン・アイス」に出演した宮原が大学生活や今後の目標について語った。

イギリス文学をテーマに卒論

関西大学高等部から16年に関西大学文学部に進学、英米文学英語学を専攻した。試合や合宿で海外を飛び回る生活でも移動時間や練習の合間を縫って課題に取り組み、卒業論文も仕上げた。「イギリス文学をメインに3つの小説を読んで、小説の中の視点と、その視点が与える影響について論文を書きました。作品を読み解く、テーマを考える部分ではスケートに通じる部分があると思います」

関西大学は公式インスタグラムで宮原の卒業を報告。「併設校時代から11年にもおよぶ関大ライフを振り返り、今後の目標などを語りました。後輩の関大生のみなさんには、『まずは好きなことを見つけてほしい。苦しいこともポジティブにプラスに変えて、楽しんで取り組んでください』とメッセージをおくってくれました」と伝えた。

オリンピックシーズンへ「強い自分を目指して頑張りたい」

スポーツ医学にも興味

卒業について宮原は「どうしてもスケート寄りになってしまって授業に行ける回数が少なかったので、もうちょっと頑張れたらなという気持ちもありましたが、勉強とスケートとよく頑張ったと言っていただいたので自信を持つことができました」と語る。

セカンドキャリアも考えるようになった。「スケートの次の道も考えないといけない。学校生活もなくなったのでスケート以外に取り組めることも、ほかにいろいろできるなという思いがあって、将来的に何がしたいか、自分がどういうことをしたいか考えていきたい気持ちがあります」。医療従事者の両親の影響もあり、スポーツ医学に興味を持っているという。

自信を持って滑るのが理想

4年前を振り返れば、左足の股関節の疲労骨折で氷上を離れてリハビリ生活。約11カ月ぶりに実戦復帰し、平昌オリンピックで4位と健闘した。直後の世界選手権でも銅メダルを獲得。その後はジャンプの修正に取り組み、19-20年シーズンからカナダ・トロントに拠点を移してリー・バーケル・コーチの指導を受ける。

20年全日本選手権では2年ぶりの表彰台で世界選手権代表を勝ち取った。ショートプログラム(SP)とフリーのスピン、ステップですべて最高のレベル4を獲得したのは宮原だけ。表現力は年々深みを増し、演技構成点は複数の項目で9点台を並べる。

世界選手権はジャンプのミスが響き19位に終わったが、22年北京オリンピックに照準を合わせ練習を重ねる。「試合だったり、アイスショーだったり、心から伸び伸び滑れる、自信を持って滑れるようにというのが理想、目標です。1回1回の演技を大事にして、どの演技も本番を考えて滑りたいと思っています」

「ブルーム・オン・アイス」のフィナーレで笑顔を見せる

悔いのない日々を過ごしたい

4月に京都宇治アイスアリーナで開かれた「ブルーム・オン・アイス」。ジュニア、ノービス選手が中心のアイスショーでリーダー的な存在だった宮原。出来上がったばかりのSP「リラ・アンジェリカ」を薄紫色のレオタード姿で披露した。振付はジャフリー・バトル氏。「動きのメリハリをつけて、小さな音も全部捉えるようにしたいと思っています。最後は音がしっかり終わる感じなので、そこは大きく見せるようにやりました」

フリーはプッチーニの歌劇「トスカ」を継続。ローリー・ニコル氏の振付で壮大な音楽をエレガントに美しく、そして力強く演じる。

北京オリンピック出場への思いは強く、「ラストスパート」といまを位置づける。「試合とか練習とか、その日1日をどう過ごすかまでしっかり頭に入れて、これ以上できないくらいまで悔いのないような日々を過ごしたいなと思います。1日1日できることをしっかりやって、あとは思い切って本番、全日本で出場権を勝ち取るだけだという自信を持っていけるような強い自分を目指して頑張りたいと思っています」

まもなく幕を開けるオリンピックシーズン。23歳のベテランスケーターが集大成へ向かう。

フィギュアスケートも英語もコツコツ、関西大学の宮原知子が挑戦秘話を出版

in Additionあわせて読みたい