最後のトップリーグ新人賞はパナの竹山晃暉とクボタの金秀隆、福岡が有終のMVP
トップリーグ表彰選手
【MVP】福岡堅樹(パナソニック)初受賞
【新人賞】竹山晃暉(パナソニック)、金秀隆(クボタ)
【最多トライ】テビタ・リー(サントリー)、マロ・ツイタマ(ヤマハ発動機)ともに初受賞
【得点王】ボーデン・バレット(サントリー)初受賞
【ベストキッカー】田村優(キヤノン)初受賞
【ベスト15】左プロップ 稲垣啓太(パナソニック)▽フッカー マルコム・マークス(クボタ)▽右プロップ 垣永真之介(サントリー)▽ロック ブロディ・レタリック(神戸製鋼)、ルアン・ボタ(クボタ)▽フランカー ベン・ガンター(パナソニック)、ピーター・ラブスカフニ(クボタ)▽No.8 クワッガ・スミス(ヤマハ発動機)▽SH TJ・ペレナラ(NTTドコモ)▽SO バレット▽WTB 福岡、リー▽センター ディラン・ライリー(パナソニック)、マイケル・リトル(三菱重工相模原)▽FB ウィリー・ルルー(トヨタ自動車)稲垣は7季連続7度目、スミスは2季連続2度目、福岡は3季連続3度目、他は初受賞
【マニフレックス賞=ベストホイッスル】久保修平 初受賞
福岡はベスト15とダブル受賞
パナソニックの2015年度以来5度目の優勝で幕を閉じたラグビー・トップリーグ2021の年間表彰式が5月24日に開かれた。コロナ禍で昨シーズンは途中で中止となったため、新人賞は19年度加入の新人からパナソニックWTB竹山晃暉(こうき、帝京大)、20年度からはクボタFB金秀隆(キム・スリュン、朝鮮大)の2人が選ばれた。最優秀選手(MVP)には医師になるため今季で現役を引退するパナソニックWTB福岡堅樹が初受賞。サントリーとの決勝を含めて出場10試合で計14トライを挙げ、3季連続のベスト15とダブル受賞で有終の美を飾った。
竹山、エースの「空いた穴埋める」
新人賞は今季のリーグ戦7試合での活躍が対象になった。2年目の竹山は7試合に先発し6トライをマークした。帝京大学で活躍した後、昨季も6試合に出場しており、「新人賞にはあまりフォーカスをおいてなかった」と振り返ったが、一度しか選ばれることがない賞を受け納得の表情だった。
御所実高(奈良)時代からけがをしないことが持ち味でもあったが、今季途中の練習で足を痛めて終盤のプレーオフは出場できなかった。「チームの優勝はうれしいが、その場に立てなかった悔しさもある」と話し、けがと向き合うことで、自分を見つめ直す機会になったという。同じチームで同じポジションの福岡の後を継いで日本代表を狙える逸材でもある。「日本のウィングとして必要な選手だった。たくさんの部分で学んだ。一番身近で見ていた僕が空いた穴を埋めるべき」と将来を見据えた。
金は大学2部リーグからの受賞
「もらえると思ってなかった」と言う金秀隆は関東大学リーグ戦2部の朝鮮大学校からトップリーグ入りした。クボタの同期にもSO岸岡智樹(早稲田大)やWTB山﨑洋之(明治大)と大学時代に注目を浴びた選手がいたが、1年目からプレーオフも含めて10試合全てにフル出場した。日本代表に選ばれたサントリーSH齋藤直人(早稲田大)らを抑えての選出となった。
「朝鮮大学の時も2部のトップチームや1部のチームと練習試合をさせてもらったが、常にチャレンジャー精神で毎試合、自分のパフォーマンスを出し切ってきた。トップリーグでもチャレンジしていこうという気持ちにつながった」
ダミアン・マッケンジー(ニュージーランド)らのランニングなどを参考にしながら体の使い方など学んできた。キックの防御などこれから身につけるプレーも多い。今季を「40点」と厳しめの自己採点をしていた身長186cmの大型選手は「まだまだ体も細いし、スピードもトップ選手に比べたら劣っている。しっかり、毎日、練習していきたい」と前を向いていた。
「そんなに急いで治す必要ない」やり切った福岡
初めてのMVPに決まった福岡は「試合の痛みはあるが、『そんなに急いで治す必要はないんだな』と思った」。決勝の激闘を終え、少しずつ現役を終えた気持ちも湧いているという。大学医学部への受験があり、シーズンに向かう段階と序盤は、ラグビーとの兼ね合いで苦労もした。「受験の準備で練習の数もかなり減っていた。できる時は週に1回出られるかどうか。その中で体を試合に持っていくのは難しい調整だった」
順天堂大学に合格が決まり、「落ち着いた中で少しずつ本調子になった」と言う。「午前中に授業を受けて午後からそのまま練習参加という形をとっていた。いきなり体のスピードを上げてしまうと、けがをしてしまうこともあったと思う」。試行錯誤を続けながらベストの状態を保ち、準決勝での3トライなどプレーオフ4試合全てでトライを挙げ記憶に残る活躍につなげた。
順大医学部にもラグビー部があるなど勉強の合間にプレーすることも可能だが、「正直、プレーすることはないと思う。ラグビーでは満足した、本当にやり切った、と心から言える。プレーヤーではなく違う形で(ラグビーに)関わっていきたい」と柔らかい笑顔を交じえ話した。