順大ルーキー・服部壮馬 関東インカレ3000mSC2位、三浦龍司の背中を追って
関東インカレ最終日、男子1部3000mSC決勝で順天堂大学のルーキー・服部壮馬(洛南)が2位に入った。8分48秒85は自己ベスト。先頭を走り続け、ラストの1周で早稲田大学の菖蒲敦司(2年、西京)に抜かれたが、大学1年目からの表彰台に笑顔を見せた。
大東大・吉村の走りを見て「挑戦」と飛び出す
決勝のレースがスタートしてすぐ、服部はひとり飛び出し、独走状態に入った。1000mの入りは2分52秒。そのまま周回を重ねたが、2000mをすぎて徐々に後ろからきた菖蒲との差がつまっていく。ラスト1周はペースを落とし、バックストレートで菖蒲に抜かれたが、さらに後ろから来る選手たちからはなんとか逃げ切り、菖蒲とは3秒差でゴール。ゴール後にはお互い笑顔で握手を交わした。
服部ははじめから飛び出すか、ラスト1000mで勝負するかずっと迷っていた。直前の女子1部3000mSCで吉村玲美(大東文化大3年、白鵬女子)がひとり飛び出し、集団から逃げて独走状態になっていたのをチームメートと見ていた。このとき三浦龍司(2年、洛南)から「服部もあんな感じでいってみたら?」と言われ、「それもありだな」と思った。スタートして集団の前に出たところで腹は決まった。「自分はまだそんなに力がないし、1年生なので挑戦だなと思って入りました」
前日の予選では8分54秒04で組5着、このときも自己ベストを更新しており疲労が残っている状態だった。だが練習で1000m2分50秒ペースをこなせていたこともあり、ある程度余裕をもって走れていたと振り返る。ラスト2周でも誰も追いついてこなかったため、少しだけ「勝てるかな」という思いがよぎった。だが菖蒲が最後に追いついてきた。「菖蒲さんは(1、2日目に1500m、3日目に3000mSC予選を走って)まだ力的に余裕があるとおっしゃってたので、来られた時は『さすが先輩だな』と思いました。抜かされてからは割り切って、最低でも2番を守れるように走りました」
チーム内で決意表明したときに、服部が言ったのは「最低でも入賞」。だが長門俊介監督やチームの先輩たちからは「表彰台には入れるよ」と声をかけられていた。「1位じゃなかったのは悔しいけど、1年目から表彰台に乗れたのはよかったです」と笑顔を見せる。
3000mSCも、駅伝も強くなりたい
服部は中学の頃から諸富湧(早稲田大2年、洛南)にあこがれ、同じ高校に進み、高校1年生のときから3000mSCをはじめた。諸富と同じ学年には三浦。目の前に最高のお手本がいる状況で力をつけてきた。昨年の全国高校陸上では3000mSC3位。都大路では4区を走り区間4位、洛南高校の3位入賞そして日本高校最高記録(留学生を含まない、日本人のみの記録)更新に貢献した。
順天堂大学に進んだのは、三浦の存在もあったが、3000mSCもできて駅伝でも強くなっていけるだろうと思ったからだ。チーム内の雰囲気も良く、先輩もコミュニケーションをとってくれ、すぐに大学には馴染めましたとはにかむ。練習は現在ではAチームの下の方またはBチームでやっているが、私生活では三浦ともよく話し、「仲良くしてもらっています」という。
いま自分が勝負できるのは3000mSCしかない、と服部は言うが、一方で練習をしっかりと積めているという手応えもあり、「5000mを走ったら13分台は出るかな」という感触も持っている。「まずは夏合宿でけがなく走り込んで、先輩方のあいだに割って入れるような強さ、速さをつけて、全日本大学駅伝ぐらいからエントリーメンバーになれたら」とこの先を描いている。
もちろん箱根駅伝も1年目から狙うつもりだ。昨年三浦が事前取材で「6区を走りたい」と言っていたが、服部も狙っているのは6区。都大路で下り基調の4区で思い切って走れた経験から、6区に挑戦したいという気持ちがいまはある。「そこでしっかり、20km走れる力をつけていきたいです」
洛南から順天堂大学へ、そして3000mSCに取り組む。どうしても三浦と重ねてしまうが、「レベルが違いすぎて」とまだその背中は遠い。まずいちばんの目標は、憧れの諸富を超えていくこと。今回は服部2位、諸富7位だったが、諸富の調子が悪かったこともあり、勝ったのは「たまたまって感じです」。「ベストな状態で戦って、2人で三浦さんの背中を追っていけたらいいと思います」と話す。
次のレースは6月の学生個人選手権の予定。そこで8分40秒切りを目指す。伸び盛りのルーキーは今後どのような選手になっていくだろうか。