陸上・駅伝

福岡大・高島真織子 バレーで鍛えた跳躍力で三段跳び学生新記録を目指す

1年生の時から出場してきた学生個人選手権で、高島は初めて優勝をつかんだ(撮影・全て松永早弥香)

2021日本学生陸上競技個人選手権大会 女子三段跳 決勝

6月5日@レモンガススタジアム平塚
1位 高島真織子(福岡大4年) 12m83(+1.8)
2位 金子史絵奈(青山学院大4年) 12m71(+2.3)
3位 宮口愛子(日本体育大3年) 12m70(+0.8)

高島真織子(まおこ、福岡大4年、市西宮)は新型コロナウイルスの影響で中止になった昨年を除き、1年生の時から学生個人選手権女子三段跳びに出場してきた。1年生では5位、2年生では8位、そして最後の今年は12m83(追い風1.8m)をマークして優勝。「学生の大会ではもちろん全部トップをとる」と話す高島が、まずはひとつ目の栄光を手にした。

最後の跳躍で思わず顔をゆがめる

高島は4月3日の九州学連記録会で13m01(追い風0.5m)と自身初の13m台をマーク。今大会でも13m台を目指していた。1回目の跳躍はファウル。2回目に12m72(追い風0.2m)を記録し、トップに立った。ときおり追い風3mを超える風が吹き、高島はその風を受けて助走位置を前後10cm程度調整。他の選手よりやや助走が長いのは、174cmという高身長ゆえ。「ストライドが大きいので、その分、人よりちょっと長くなるんですよね」と高島は言う。

試技順が最後の8番目になってから臨んだ4回目、うまく風に乗った高島は12m83(追い風1.8m)と記録を伸ばす。いい感覚をつかんだが、5回目はファウル。そして優勝が決まった後での最後の跳躍、高島は着地するとすぐに顔をゆがめて悔しがった。記録は12m69(追い風2.8m)。スタンドから応援してくれた仲間が拍手をしてくれると、高島は笑顔で手を振った。

最後の跳躍は一番手応えを感じられたにも関わらず、うまく記録につなげられなかった

その最後の跳躍は、今回の跳躍の中で一番手応えがあったという。「助走でちょっとつまずいてしまって、でも持ちこたえて、なかなかいい飛び出しができたんですけど、ホップ、ステップの後のジャンプにつながらなくて、本当に悔しかったです。そこで結果を残しきれなかったことがまだまだだな」。13m01を跳んだ時も、1回目でファウルをしてしまった。今回も最初の跳躍で結果を残せず、流れをつくるのに苦労したが、当日のコンディションを考えて自分で調整する力は少しずつついてきたと感じている。

インターハイ初代女王を目指し

高島は福岡県福岡市出身。その後、兵庫県尼崎市に引っ越し、中学校までバレーボールをしていた。陸上を始めたのは市西宮高校(兵庫)に進んでから。「姉が双子で、ひとりがバレーをしてて、もうひとりが陸上をしていたんです。中学校ではバレーをやっていたから、高校では陸上をしようかなと思ったんです」と笑いながら明かす。でもそれだけではなく、中3の時に陸上部以外の選手が出られる市の体育大会で跳躍種目に出場した際、「あ、できるかな」と実感できたことも大きかった。

高校生になった時にはすでに身長が170cmあった。当初は100mHを専門にしていたが、3年生になる時に三段跳びがインターハイ種目になることが決まり、「身長も高くて跳躍力もあるからやってみないか?」と先生に言われたことで決意。試合のたびに記録を伸ばし、インターハイにつながる兵庫県大会では12m00(向かい風0.2m)と自身初となる12m台を跳び、初代女王になった。迎えたインターハイ、予選では12m09(追い風0.7m)で通過標準記録(12m10)を突破できなかったが、追加補充で決勝に進んだ。その決勝でいきなり12m58(追い風1.8m)の大ジャンプ。3位と結果を残した。

174cmという高身長を生かし、高島は13m01まで自己記録を伸ばしてきた

国内トップの森本麻里子と勝負がしたい

進学先に福岡大学を選んだのは、跳躍のコーチがいるところで強くなりたいと思ったから。高校時代は部に指導者はいたものの、長距離と投てきの指導者しかいなかった。また福岡には祖父母もいたこともあり、今は祖父母の家から大学に通っている。「いつもおいしいご飯を作ってくれるんです」と笑顔で高島は教えてくれた。

大学ラストイヤーは前述の通り、学生大会での優勝を目標に掲げているが、それだけではない。「安定して13m台を跳ぶこと。あとは実業団の選手がいる大会でもしっかり結果を残して優勝できるように。記録的には13m後半を目指します」

昨年9月、高島は日本インカレで12m95(追い風1.9m)をマークして優勝し、翌10月の日本選手権に初めて出場した。表彰台を目指していたが、12m71(追い風0.3m)で4位だった。「妥当な結果と言えばそうなんだろうけど、そんなに甘くないぞって実感しました」。日本選手権では今、森本麻里子(内田建設AC)が2連覇を果たしている。その森本と勝負して、表彰台の一番高い場所を目指す。

今年の日本インカレは2連覇がかかっている(中央が高島)

13m01を跳んだことで、兵庫記録(13m07)まであと6cmに迫った。ただ高島が見据えているのは、1998年に花岡麻帆さん(当時・順天堂大)が記録した学生記録(13m69)の更新。まずはしっかりと自分の跳躍をする。その上で結果を残し、仲間と笑顔で優勝の喜びを分かち合いたい。

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