陸上・駅伝

駒澤大・田澤廉 デンカチャレンジで27分台も五輪標準に届かず「残念な結果」

苦しそうな表情でゴールする田澤(撮影・池田良)

サトウ食品日本グランプリシリーズ新潟大会 Denka Athletics Challenge Cup 2021

6月6日@デンカビッグスワンスタジアム
1位 田澤廉(駒澤大3年) 27:52:52
2位 ロキア・チャールズ(富士通) 28:21:34
3位 聞谷賢人(トヨタ紡織) 28:22:06

駒澤大学の主将・田澤廉(3年、青森山田)は6月6日のデンカアスレチックスチャレンジカップ2021の男子10000mに出場し、27分52秒52で2位とは30秒近い差をつけて1位でゴールした。昨年12月から3回目の27分台にも笑顔はなかった。

駒澤大主将・田澤廉「一人ひとりが考えて、真の強さを見せられるチームに」

後半にペースを落とし目標に届かず

5月3日の日本選手権10000mでは2位となった田澤。五輪派遣標準記録の27分28秒00を切れば代表内定への可能性が高まる状態でこのレースに臨んだ。アモス・クルガト(中電工)、ベナード・キメリ(富士通)が交代でペースメーカーとして集団を引っ張り、田澤はその真後ろにぴたりとつく。1000mの通過は2分42秒、2000mの通過は5分29秒と、フィニッシュタイム27分30秒ペースですすんだ。その後も1周65~66秒で刻み、4000m手前からはペースメーカーについているのは田澤と河合代二(トーエネック)の2人になった。

5000mを13分46秒で通過し、ペースメーカーについていけているのは田澤のみに。その後1周68秒と徐々にペースを落とすが、7000m手前で1周66秒ペースに戻す。8000mをすぎて次第に田澤の表情は険しくなり、1周68秒で周回を重ね、ペースメーカーのアモスから少し離れるようになってきた。その後もペースを戻すことはできず、27分52秒52でフィニッシュ。ゴール後は思わず座り込み、悔しそうな表情を見せた。

2人のペースメーカーが田澤の前後につき、引っ張った(撮影・池田良)

「27分28秒を目標にして、最低でも(日本人)学生記録(27分38秒31)を監督と話して決めていたんですけど、それも達成できなくて残念な結果になりました」。レース後、田澤の口から出たのはまずその言葉だった。8500mぐらいからきつくなり、ペースが落ちてしまったとレースを振り返った。

27分台を出すことは当たり前

昨年12月の日本選手権10000mで27分46秒09を出し、自身初の27分台となったレースから半年。箱根駅伝後の大腿骨の疲労骨折から復帰して、5月の日本選手権10000mでは27分39秒21と学生記録まで1秒弱に迫っていた。そこから1カ月でのレースには、腰の不安を抱えながら臨んでいた。しかし「言い訳にしたくないし、それも踏まえて決めた」と言い切る。「最後までオリンピックを諦めたくなかったという気持ちが大きくて、いかにこの大会にいいコンディションに持っていくかというところだったので、ちょっと厳しかったかなとは思います」と万全の状態でなかったことも明かした。

27分台を連続で出したことについては「27分台を出すことは当たり前だと思っているので、嬉しくもなんともない」といい、それよりも「決めた目標をクリアできないのは本当に悔しいままで終わってしまうので、今後は目標を毎回クリアできるようにこれからも努力していきたいなと思います」。田澤が見すえるのは、学生トップではない。相澤晃(旭化成)や伊藤達彦(Honda)などの実業団で活躍する日本のトップ選手たちだ。「その選手にどれだけ近づけるかというのを目標にしてやっていきたいと思います」

トップ選手と主将の自覚

改めてオリンピック出場の壁の高さについて問われると、「非常に高いわけではないと感じる」と田澤。5月の日本選手権の際に「(27分)30秒を出せる感覚がある」と言っていたが、そこに言及し「それをいつどこの大会でもできるかというところだったと思うので、今回はちょっと厳しかったんですけど、27分30秒の感覚があるということはそんなに(壁は)高くないなと思っているので、自分もそんな選手なんだぞという自覚を持ちながら練習したいと思います」

次のレースは決まっていないと言うが、どんなレースでも自己ベストを更新し、チームを引っ張りたいと主将らしい言葉を口にした田澤。「いま駒澤大学は流れに乗っていると思うので、自分も他の選手達に刺激を与えられるような走りをしたい」。チームでの目標、学生駅伝3冠に向けてさらに高みを目指す。

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