慶大が初代王者、東大5浪ルーキーら関東学連初のフラッグフット大会に7校参加

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決勝で早大に快勝

関東学生アメリカンフットボール連盟（KCFA）が主催した初めてのフラッグフットボール大会「KCFA FLAGBOWL 2021」が6月26日、男子７校が参加したトーナメントであり、決勝で慶應義塾大学が早稲田大学に47-13で快勝し初代王者となった。

アメフトの防具をつけず、タックルの代わりに両腰につけたフラッグを取る競技で優勝した慶大は1回戦から危なげなく勝ち上がった。チーム内の希望者で編成したが、エースRB大河原陸（4年、慶應義塾）らが名乗りを上げた。キャプテンを務めた石黒真人（2年、慶應義塾）は「慶應の代表として出るからには優勝しかなかった。日頃はハードに当たっているが、相手の顔もみながら和気あいあいと楽しくいいプレーができた。アメフトにはない熱量がたくさんみられた」と笑顔で振り返った。チームの半数以上は下級生、OBのフラッグチームに知恵を授けてもらい、石黒はじめジュニア時代にフラッグを経験した選手もおり、他校とはひと味違うプレーで勝ち切った。

コロナ禍、春の早慶戦は中止になったが、決勝で2年生中心の早大と顔を合わせた。石黒は「トーナメント表を見た時に、早稲田が逆のヤマにいたので、多分、勝ち上がってくるだろうと。今日も早稲田の試合は見て、ぎりぎりまでスカウティングした。オフェンスでこれだけ点を取るのは久々なので、点を取る楽しさを感じとれた」と満足そうだった。

試合はアメフトのグラウンドを約4分割した広さで行われる。出場できるのは5選手。アメフトのようで、全く違うスキルも求められる。アメフトに打ち込む選手はディフェンスでついタックルにいきそうになったり、フラッグを取る技術が難しかったりするという。

東大など1年生チーム

1年生だけで挑んだ大学もいくつかあった。東京大学もその一つ。チームを率いた森松千喜（戸山）は「誰も（手を）あげなかったので、年上だし、やるしかないか」とキャプテンに立候補したという。5浪して難関を突破し理科二類へ入った23歳の苦労人。30人を超えた今年の新人選手にアメフト経験者は数人しかいない。受験勉強で競技から長く離れていた森松は高校時代ラインで、レシーバー的なことなど経験はなかった。「アメフトがどういうものか実際に体験できる場として用意して頂いたと僕たちは理解している。楽しんでやることを共通の認識で臨んだ」

トーナメント初戦で敗れたが、敗者同士の交流戦で待望の「勝利」をつかんだ。同じ1年生チームの立教大学と19-19で試合終了。規定によりキャプテン同士のじゃんけんが行われた。あいこが続き、最後に森松が勝つと東大の選手は跳び上がって喜んだ。「（同点後のじゃんけんは）大会側が決めたことなので。勝ちはうれしいじゃないですか。運も実力のうちです。本当は点数を取って勝ちたかった」

下部チームもはつらつ

交流戦でその東大に20-13で土をつけたのが8選手でやってきた杏林大学だった。1部TOP8の東大に対し、杏林大は4部にあたるエリアリーグ所属だ。元々、新入生歓迎会でフラッグフットを取り入れており、今年、この大会が開かれるということで参加を決めた。1年生が3選手加わり部員は計12選手になったが、この日、4選手は実習などで参加できなかった。初戦で1部TOP8の中央大と対戦、10-22は予想以上の善戦だった。木村友哉主将（4年、明星）は「交流というイメージがあったんですけど、本格的でした。いい経験、中央とか絶対、試合しないですし。東大、早稲田の試合を生で見て、一緒に試合できたのはめちゃくちゃすごい」と収穫になった。

フラッグフットは性別や年齢を問わずに楽しめるばかりか、高度な戦術などが求められオリンピック競技入りを目指している。連盟も「KCFAから世界へ」を掲げ、競技人口の拡大や将来的な日本代表育成につながる活動を始めた。当初、大会は男子32チーム、女子8チームを募集し、2日間で開催予定だったが、コロナ禍で規模が縮小された。この大会で活躍した選手で関東学連選抜を結成、7月24日に日本代表と試合を行う。