柔道

特集:いざ、東京オリンピック・パラリンピック

富士山ろくで強くなり、つかんだ五輪切符 フィリピン旗手の渡辺聖未

入場行進でフィリピンの旗手を務める渡辺聖未(右、撮影・林敏行)

 フィリピンの旗手を務めたのは、柔道女子63キロ級の渡辺聖未(きよみ)(24)=アドヴィックス=だ。フィリピン・セブ島で生まれ、10歳から富士山のふもとにある山梨県富士吉田市で育った。

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 「ほとんど日本で育っている。日本である五輪で旗手ができるのは誇らしい」

 母がフィリピン出身で、父が日本出身。小学5年で柔道を始め、地元の富士学苑高では「朝練のあと、富士山に向かって『日本一になるぞ!』と叫んでいました」と笑う。

 元日本代表の矢崎雄大監督の下で練習に励み、高校3年で高校総体2位となった。すると年代別の強化選手に選ばれる可能性があるとして、全日本柔道連盟から「日本代表を目指す考えはあるか」と意思確認があった。

 その時思い出したのは、中学3年生の時に出場した東南アジア大会など、いくつかの国際大会の経験。柔道があまり盛んではないフィリピンで代表に選ばれ、出場していた。世界の舞台は、国内と違う雰囲気の試合を経験でき、自分が成長できる。「国際大会に出場できるチャンスが多い」と母の母国を選んだ。

 髪を短くして、男の子とサッカーばかりしていた小学校時代。「フィリピンの子だから変人」と言われたことがある。フィリピン代表を選択した時は、レベルの高い日本代表争いから「逃げた」と言われた。

 ただ、18年アジア大会で準優勝するなど、国際大会を重ねるごとに成長。大陸枠で五輪切符を得た。「昔は嫌だったけど、今はハーフでよかったと思う。私には選択肢があった」

 今大会の目標はメダル獲得。それをきっかけに、フィリピンの人たちに柔道の魅力を知ってもらいたい。そんな思いも持っている。

(塩谷耕吾)

=朝日新聞デジタル2021年07月23日掲載

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