オリンピック・パラリンピック

特集:東京オリンピック・パラリンピック

最多は日体大の16選手! 旗手の早大・須﨑優衣ら東京五輪に70人余りの学生選手

柔道女子52kg級の阿部詩(撮影・波戸健一)

第32回オリンピック競技大会東京大会は史上最多の33競技339種目が行われる。史上最多の583選手で臨む日本選手団で大学・大学院に在籍するアスリートは70人余りとなった。5年前のリオデジャネイロ大会では、日本代表として出場した選手は338人で大学生は50人、全体数も学生の数も大きく増えた。

日体大から柔道の阿部詩らが出場

大学別でみると、やはり、スポーツ系の学部を有している大学が上位に並ぶ。最も多いのは日本体育大学で院生も含め16選手が日本代表に選ばれた。個人では25日の柔道女子52kg級で兄の一二三(66kg級)と同日優勝の期待がかかる阿部詩(3年)や自転車BMXレーシングの畠山紗英(4年)、フェンシング女子フルーレの東晟良(4年)らがいる。ラグビー女子には共同キャプテンの清水麻有(大学院)、平野優芽(4年)、永田花菜(3年)、松田凜日(2年)と4人が登録された。水球女子も河口華子(4年)、橋田舞子、工藤恭子(ともに3年)の3選手が代表入り。今回は主要競技の陸上と競泳の代表選手がいない中、計10種目と幅広く選手が活躍している。男子は注目を集めるバレーボールの髙橋藍(2年)と水球の鈴木透生(4年)の2人。日体大に限らず、今大会の学生代表は女性アスリートが多いのも特徴だ。

高橋は早稲田大・大塚達宣ととに学生で代表入りを果たした(撮影・北村玲奈)

続くのが日本大学の8人だ。池江璃花子(3年/ルネサンス)ら競泳選手5人が在学しており、他にも柔道女子78kg超級で金メダルを目指す素根輝(1年)や陸上男子走り幅跳びで大学院に通う橋岡優輝(富士通)らがいる。

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競泳女子の池江璃花子(撮影・諫山卓弥)

水泳競技に強い近畿大学はアーティスティックスイミングの木島萌香、安永真白(ともに4年/井村ク)、京極おきな(2年/井村ク)の3人と競泳、飛び込み合わせて7選手が活躍を誓う。早稲田大学も同じく7選手が代表入り。開会式で日本選手団の旗手を務めるレスリング女子50kg級の須﨑優衣(4年)やサッカー女子で21日の1次リーグE組カナダ戦に途中出場した遠藤純(3年/日テレ)ら7人が在籍しており、セーリングの49er級の小泉維吹はeスクールレベル4で学んでいる。

旗手も務めるレスリング女子の須﨑優衣(撮影・林敏行)

体操と陸上で期待の順天堂大

陸上や体操の強豪として知られる順天堂大は4人の代表選手を輩出しており、今年、大学院博士後期課程に進んだ萱和磨(セントラルスポーツ)と橋本大輝(2年)は体操男子で、陸上にはともに急成長をみせている男子110m障害の泉谷駿介(4年)と男子3000m障害の三浦龍司(2年)が出場する。

陸上男子110m障害の泉谷駿介(代表撮影)

このほか、セーリングで小泉とペアを組む高橋稜(ジャパンSailGP)はオークランド大(ニュージーランド)、バスケットボール3人制男子の富永啓生は米ネブラスカ大と海外で学ぶ選手も出場する。

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メダル目指す競泳陣

競技別で学生選手が多いのは水泳で、27人が出場する。なかでも競泳は1988年ソウル大会100m背泳ぎを制した鈴木大地(当時・順大4年)、2004年アテネ大会平泳ぎ二冠の北島康介(当時・日体大4年)、前回の16年リオデジャネイロ大会400m個人メドレー金メダルの萩野公介(当時・東洋大4年)らのように大学生メダリストが多く出ている。今回も男子200m平泳ぎの佐藤翔馬(慶應義塾大3年/東京SC)や男子200mバタフライの本多灯(日大2年/ATSC.YW)らはメダルを狙える力がある。

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競泳男子バタフライの本多灯(代表撮影)
競泳男子平泳ぎの佐藤翔馬(代表撮影)

水球も今大会は男子だけでなく女子が初出場することから、大学生がリオ大会の1人から7人と増えて、そのうち女子は5人となった。女子の強豪、秀明大からはOG3選手と岩野夏帆(4年)、浦映月(1年)の現役2選手が代表入りした。飛び込みも種目が増えたこともあり、前回大会は大学生の選手はいなかったが、東京大会では6選手が選ばれた。

陸上はリレーメンバーも

陸上は12選手が代表となった。メダルが期待される男子400mリレーでは進境著しいデーデー・ブルーノ(東海大4年)がメンバー入り。女子400mリレーは兒玉芽生(福岡大4年)、齋藤愛美(大阪成蹊大4年)、石川優(青山学院大1年)、青山華依(甲南大1年)とエントリー5人中4選手が大学生になった。

陸上女子400mリレーの兒玉芽生(撮影・池田良)

ラグビーは大学生選手が前回の4人から8人と大きく増え、種目別でみるとラグビー女子は7人が学生と一番多い。日体大の4選手のほか、原わか花(慶大4年/東京山九フェニックス)、大谷芽生(立正大3年/アルカス熊谷)、弘津悠(早大3年/ナナイロプリズム福岡)と、登録12人の半分以上を占めている。男子では石田吉平(明大3年)が学生で唯一、選ばれた。

明大の韋駄天、石田吉平 大学生でただ一人の東京五輪7人制男子代表
ラグビー女子の清水、平野、永田、松田(左から、日本ラグビー協会提供)

通常は4年に一度、今回の東京オリンピックは1年延期されたが、大学に在学している4年間でオリンピックに出場するのは、競技力や個々の努力もちろんのこと、運やタイミングも重なった上での機会となろう。そんな中、学生選手たちには、自らつかんだチャンスで自らの力を存分に発揮してほしい。

大学別学生代表数

日本体育大 16人
日本大 8人
近畿大、早稲田大 7人

競技別学生代表数

水泳 27人/内訳:競泳11人、水球7人、飛び込み6人、アーティスティックスイミング3人(14人)
陸上 12人(9人)
体操 10人/体操5人、新体操4人、トランポリン1人(9人)
()内はリオ五輪での学生数

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