柔道

特集:いざ、東京オリンピック・パラリンピック

「亀」が大好物の浜田尚里 世界一に昇華したサンボ仕込みの寝技

女子78kg級で優勝し、金メダルを掲げる浜田尚里(撮影・加藤諒)

 東京オリンピック(五輪)柔道女子78キロ級の浜田尚里は「亀」が大好物だ。

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 相手が体を丸め、亀のように畳に伏して防御姿勢に入ってくれれば、大チャンス。浜田には「絶対取れる」という自信がある。

 世界ランキング1位のマドレーヌ・マロンガ(フランス)とぶつかった決勝。2年前の世界選手権決勝で完敗した剛腕の相手に、浜田は成長を見せつけた。

 開始早々、マロンガが仕掛けた大内刈りを冷静に潰す。亀の姿勢になりかけた相手を電光石火でひっくり返した。

 「絶対に逃がさない」

 体に染みついた身のこなしで抑え込む。あっさりと一本。戦った4試合はオール一本勝ち。しかも全て寝技で勝利をつかんだ。

 28歳の誕生日だった2018年世界選手権で初優勝し、「浜田=寝技」が世界に広まった。

 その原点は鹿児島南高1年の夏、顧問の先生に教えてもらった寝技の技術だ。覚えたばかりの技で勝てたのがうれしくて、寝技のとりこになった。

 山梨学院大時代は寝技や関節技が中心の格闘技「サンボ」に熱中した。柔道の幅を広げ、自身の強みを世界一の技術に昇華させた。

 相手を寝技に引きずり込む技術も貪欲(どんよく)に磨いた。塚田真希コーチが「バレーボールやサッカーをやっても足さばきがいい」という運動神経で苦手だった立ち技も克服した。この日はすみ落としやともえ投げでもポイントを奪った。

 代表最年長の30歳で、初めての五輪。柔道選手としては「亀」のようにゆっくりと成長し、世界の頂点に立った。

(波戸健一)

=朝日新聞デジタル2021年07月29日掲載

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