大学生もパリオリンピック代表選手も好走 ホクレンDC深川・千歳大会を実況リポート
今回の「M高史の陸上まるかじり」は前回に続いてホクレン・ディスタンスチャレンジ(DC)2024のお話です。ライブ配信の実況を務めさせていただいた第4戦・深川大会、第5戦・千歳大会をリポートいたします。今回も大学生選手やパリオリンピック代表選手を中心にお届けします!
第4戦・深川大会には、三浦龍司選手が出場!
第4戦の深川大会は7月17日に開催されました。この日の注目はパリオリンピック3000mSC日本代表の三浦龍司選手(SUBARU)で、男子5000mAに出場されました。僕のランナー仲間も「三浦選手の走りを生で見たい」と有給休暇をとって現地観戦に訪れるほど。いずれも手元のタイムで3000mを8分13秒、4000mを10分58秒で通過し、そこからペースアップ。13分31秒61の6位(日本人トップ)でフィニッシュしました。解説の河野さんは「上半身の筋肉がさらに発達したような印象です」とお話しされていました。パリでの活躍に期待ですね!
深川大会が行われた日はお天気も良く、暑いぐらいのコンディションでした。その中で目を引いたのは男子5000mBに出場した創価大学の吉田響選手(4年、東海大静岡翔洋)です。6月30日に行われた函館ハーフマラソンでは1時間01分45秒で優勝を飾り、この深川に登場しました。ペースメーカーよりも前に出てガンガン攻める走りの後、粘りに粘って13分39秒94で自己ベストを約20秒更新。箱根5区での「山の神」候補が、ロードでもトラックでも快走を続けています。
女子では昨年の富士山女子駅伝7区で区間賞を獲得された拓殖大学の新井沙希選手(3年、秦野)が女子5000mAで16分02秒05の自己ベストで3位に。富士山女子駅伝の名物「魔の坂」攻略へ、今年も注目です。
10000mは蒸し暑さが残っていたこともあって、選手のタイムやレース後の疲労感からもコンディションの厳しさが感じられました。そんな中でも女子10000mでは立迫志穂選手(天満屋)が32分16秒31で2位(日本人トップ)の自己ベスト。パリオリンピックマラソン代表の前田穂南選手と合宿で一緒に練習をこなしてきたという立迫選手。5000mでも第3戦・士別大会で15分35秒90と自己ベストを更新しており、2戦連続の自己ベストとなりました。
また、女子10000mでは大学生が暑さの中で粘りの走りを見せました。名城大学の原田紗希選手(3年、小林)が32分55秒50で4位、東北福祉大学の村山愛美沙選手(2年、十日町)が33分07秒80で5位、城西国際大学の長島奈南選手(2年、成田)が33分26秒22で9位に。それぞれ自己ベストを更新。東北福祉大の村山選手の記録は東北学生新記録だったそうです。
男子10000mではオレゴン世界選手権マラソン代表の西山雄介選手(トヨタ自動車)が28分08秒53で4位(日本人トップ)。自己ベストの27分56秒78には届かなかったものの、タイム以上の強さが光るレースとなりました。
山本有真選手は千歳大会のレース後、ライブ配信にも
7月20日、今年のホクレンDCシリーズ最終戦となった千歳大会で、パリオリンピック3000mSC代表の青木涼真選手(Honda)が男子1500mAと男子5000mAに出場。5000mでは3000mまで走ることになりました。
15時40分スタートとなった男子1500mAでは、3分40秒83の自己ベストで3位に。さらに18時40分スタートとなった男子5000mAでは3000mを8分01秒(手元の計測)で走ったところで予定通りレースを終えられました。
解説の河野さんは「このまま5000mを走ってもかなりの好記録が期待できそうなほどリラックスしていますが、今日はあまりここで足を使いきらず、いいリズム感でで終わってよかったのではないでしょうか」とお話しされ、青木選手の順調な仕上がりが伝わってきました。
そして、山本有真選手(積水化学)が1500mと3000mに出場されました。15時20分スタートの女子1500mでは4分20秒32で4位に。17時25分スタートとなった女子3000mでは前半から先頭に立ち、9分07秒49で1位。出場された後はライブ配信にも急きょご登場いただきました!
レース後、山本選手は「あまり調整せず、しっかりポイント練習をやってから臨んだので、疲労がある中のレースで不安もありましたが、しっかり予定していたペースで走れて、良い収穫だったなと思います。あとは疲労を抜いて調子を合わせていきたいです。今回目標にしていたオリンピックに出られるということで、自分もすごくワクワクしているので、堂々と日本代表として良い走りをしたいです」とパリ大会に向けて意気込みをお話しされました。
存在感を示し続けた中央大学の皆さん
男子5000mAでは駒澤大学の篠原倖太朗選手(4年、富里)が自己ベストを更新する13分27秒04で4位(日本人トップ)。集団にはつかずに13分30秒に設定された白のウェーブライトあたりでレースを進め、徐々に順位を上げていき、ラストの切り替えも素晴らしく、フィニッシュ直前に先行する西川雄一朗選手(住友電工)を逆転しての日本人トップとなりました。
レース後、篠原選手は「25秒を切りたかったです」とさわやかにお話しされ、軽やかな足取りでダウンジョグに行かれました。
篠原選手の走りについて解説の河野さんは「非常に冷静で13分20秒の集団につかず、白のライトを追いかけて、3000mを過ぎてからうまく先頭集団を追いかけ、ラストの切れ味も見事でしたね」と高く評価されていました。
第2戦の網走大会10000mで27分52秒38の中央大学記録を樹立した溜池一太選手(3年、洛南)は、千歳大会5000mAでも積極的な走りを見せ、13分28秒29の自己ベストで6位に。中大は男子5000mDで柴田大地選手(2年、洛南)が13分43秒77 でトップ。男子5000mCで本間颯選手(2年、埼玉栄)が13分44秒96、吉中祐太選手(3年、豊浦)が13分45秒78でワンツーフィニッシュと、記録でも勝負の面でも各組で存在感を示しました。
大会期間中は日本陸連さん、ホクレンDC実行委員会の皆様と、開催日以外の日もご一緒させていただきました。準備、関係各所との調整、エントリー、ホクレン期間中に記録を更新した選手の反映など、選手がチャレンジする舞台を作ったり、支えたり、整えたりする場面を学ばせていただきました。
「選手あっての大会」を実感!
解説の河野さんはライブ配信の最後に「選手あっての大会なので、記録が出て組を修正したり、プログラム編成をやり直したり、またその中で欠場者が出たり、選手の入れ替えがあります。今回は韓国チームも出場し、希望を聞きました。選手が記録を出すためですし、秋以降や来年に向けてモチベーションを上げていくためにやっている大会です。(ホクレン実行委員は)労をいとわずやってくれるメンバーなので、陸上愛が感じられますね」とお話しされていたのが印象的でした。
今回で22年目となったホクレンDC。ということは、現在の大学4年生が生まれた年から続いているということですね!
駒澤大学の主務をしていた頃、選手をエントリーする側だった僕が、こうして選手の走りをお伝えする側になるとは想像もつきませんでしたし、ご縁に感謝です。以上、ホクレン・ディスタンスチャレンジの実況リポートでした!