話題の「On Track Nights : MDC」でエリミネーションマイル出走
今回の「M高史の陸上まるかじり」は7月27日に世田谷区立大蔵運動公園陸上競技場にて行われた「On Track Nights : MDC」のお話です。キャッチコピーは『はじめまして、新しい陸上です。』。M高史もエリミネーションマイルに出場させていただきましたので、出走リポートいたします!
グランプリ種目から、パン食い競走まで!
800mや1500mといったグランプリ種目で、日本記録を上回るような自己ベストを持つ海外選手や、日本選手権上位に入る選手の皆さんもエントリーした今大会。一方で1000mやエリミネーションマイルでのインフルエンサー対決、パン食い競走もあり、パフォーマンスセッションや大抽選会など、盛りだくさんな企画となりました!
出場選手の紹介では火が出たり、スモークが噴射されたり、まるでアーティストのライブのようです。陸上が大好きな人はもちろん、陸上を初めて見る方にとっても楽しめる空間となっていました。トラックの内側から応援することもでき、トップ選手のスピードを近くで実感できるのも貴重な体験ですね!
会場にいるだけで楽しい気持ちになれるMDC。選手の皆さんが熱い走りを披露されることで、さらに会場のボルテージが上がっていきます!
グランプリ女子1500mAでは森智香子選手(積水化学)が4分10秒33と自己ベストを4秒以上更新し、日本人トップに。日本歴代9位となる好記録でした。
グランプリ男子1500mAでは遠藤日向選手(住友電工)が3分39秒52で2位(日本人トップ)。大学生では東海大学の安倍優紀選手(清陵情報)が3分39秒96で3位。環太平洋大学の前田陽向選手(3年、洛南)が3分40秒75で5位。前田選手は環太平洋大学記録、そして中四国学生記録も更新しました。
人気と実力を兼ね備えた「インフルエンサーNo.1決定戦」
グランプリ種目とともに注目度が高かったのは、インフルエンサーNo.1決定戦の1000m対決でした。人気と実力も兼ね備えた猛者たちによるハイレベルな争いとなりました。
スタートとともに、MDCの主催者でもあり「TWO LAPS」代表を務める横田真人さんが飛ばします。なんと200mを26秒(手元)で通過。そこから「ん~、やってみよう!」でもおなじみの三津家貴也さんが追い上げて先頭に。後続に少し差をつけて単独トップに立ちます。三津家さんが逃げ切るかと思いきや、上野裕一郎選手(ひらまつ病院)が猛追。YouTuberのたむじょーさんも追いかけます。ラストの直線でたむじょーさんを振り切って、上野選手が2分24秒04で優勝。今年、39歳の上野選手ですが年齢を感じさせないすさまじいスピードでした。果敢に挑んだたむじょーさんが2分25秒41、三津家さんが2分27秒75、序盤から攻めた横田さんも2分39秒36で走りきりました。
エリミネーションマイルを走ってみました!
そして、エリミネーションマイルです。エリミネーションマイルとは400mトラックを4周、計1600mで争われ、1周ごとに最下位だった選手が1人ずつ脱落していき、最後まで残って先にフィニッシュした選手が勝ちとなります。公認レースではありませんが、このMDCで行われるようになり、近年は東京六大学対校などでも開催されているそうです。
今回のエリミネーションマイルは、ランニングインフルエンサー対決です。
まず男子から出場者をご紹介しますと、イチロー選手のモノマネでおなじみニッチローさん、神奈川大学で箱根駅伝出場経験のあるYouTuberこわだ君、学生時代は東洋大学で駅伝主務を務めたTKDプロジェクトよしきさん、そして私、M高史です。
女子は、イベントのゲストやコーチなどで活躍されている「まからん」こと真柄碧さんと森川千明さんの2人が参戦。今回のルールでは、男子選手のみ先にスタート。男子が1周走ったところから女子が合流する形で行われました。公認レースではないので、柔軟にルールを微調整できるのもいいですね。
一番走力があると思われるこわだ君は、直前にパラリンピック特別1500mレースで和田伸也選手のペースメーカーを務めたことで、良いハンディとなりました。
スタートから100m地点までは、各周ともペースを落として並走するというルールでした。僕はモノマネをさせていただいている川内優輝選手のボストンマラソンやMGCをイメージして、スタートから大逃げしようと考えていたのですが、スタート前に急きょ作戦を変更することになりました。
スタート後、まずは男子選手が1グループで集団に。100mになった瞬間にニッチローさんが盗塁のようなダッシュをかけます。本当にイチロー選手の盗塁の構えのよう……。さすが、エンターテイナーです!
すかさずM高史が大逃げを図ります。しかし、2周目に入ったところで力尽き、2周で終了となりました。大接戦を制したのはこわだ君。0.07秒差でよしきさんが2位、女子では真柄さんが3位となりました。
エリミネーションマイルを経験して思ったのは「とにかく面白い!」「キツい!」。そして、やっている方も見ている方も楽しいということです。負ければ悔しいですし、勝てばうれしい。子どもの頃のかけっこのようでもあり、頭脳戦でもあります。いくら戦略が優れていても、体がついてこなければ勝てないので、どちらも必要になってきます。
楽しかったですし、とても良いトレーニングになったので、これはぜひ多くの方に体験していただきたいなと感じました。いきなりレースで導入するのが難しければ、練習に取り入れるのもいいかもしれません。
今の時期ですと、合宿の最終日に実施したり、他校との合同合宿で各校の代表が走ったりすれば、間違いなく盛り上がるでしょう!
楽しみながら追い込むことができますし、駆け引きやスピードの切り替えなどは、実際のレースにも生きてくると思います。400mの競技場以外に、グラウンドやちょっとしたクロカンコースでできるかもしれません。今回のように男女で周回数を変えれば、男女一緒に行うこともできるでしょう。
エリミネーションマイルを走って「こんなに面白い競技があったんだ!」「また走ってみたい!」と強く感じました。キツくて走った直後は起き上がれませんでしたが……。
初めて陸上の試合に出た競技場で
余談ですが、今回の会場となった世田谷区立大蔵運動公園陸上競技場は、世田谷学園出身の僕にとって中学、高校時代によく大会で走っていた競技場でした。初めて陸上の試合に出たのも、この競技場でした。
当時はトラックの色が違い、今のようなスタンドもなく、雨が降ったらしのぐ場所がほとんどなくて、テントの位置取り争いが大変でした(笑)。その後、トラックが青くなり、東京オリンピックの前には海外選手が利用することもあって、屋根付きの立派なスタンドもできました。そして今回の「On Track Nights : MDC」で大いに盛り上がりました。
13歳で初めてこのトラックを走った自分が、27年後に「はじめまして、新しい陸上です。」を感じる素晴らしい舞台に戻ってくるとは想像もつきませんでした。ということは5年、10年後には、今では想像がつかないようなことが起きているかもしれません。いや来年、再来年という短いスパンで変わっているかもしれませんね!
僕なりに陸上競技に恩返ししたり、応援したり。ほんの少しでも盛り上がりのお役に立てるように、現状打破し続けようと思った「On Track Nights : MDC」でした。