山形・東北の「新・夏の風物詩」をめざし 東北アスリートチャレンジカップをリポート
今週の「M高史の陸上まるかじり」は「東北アスリートチャレンジカップ2023 西置賜サマーチャレンジ」のお話です。7月29日、山形県長井市の光洋精機アスリートフィールド長井で開催された記念すべき第1回大会。M高史は大会のMC・実況を務めさせていただきましたので、リポートさせていただきます。
東北・山形活性化のため「色んな世代が活躍できる場を」
発案されたのは以前、4years.でも取材させていただいた金塚洋輔さんです。金塚さんは大東文化大学、Hondaとトラックや駅伝でもご活躍。 現在は山形県上山(かみのやま)市役所に勤めながらK-projectを発足し、監督をしながら、山形県を盛り上げようと活動しています。
今年の東日本実業団選手権ではシニア1500mで優勝も飾るなど、自身もランナーとして現状打破し続ける金塚さん。「東北、山形の長距離界の活性化を図るためには自分たちが走って活躍することだけではなく、色んな世代の方が活躍できる場を提供することも必要と感じていました」と今大会を創設した経緯について教えていただきました。ホクレン・ディスタンスチャレンジのようにシリーズ化して転戦するような構想も描いているそうです。
そして、今大会はスペシャルゲストに立教大学の上野裕一郎監督がご登場。立教大学さんは同時期に山形県の坊平(ぼうだいら)で合宿をされるタイミングとのことで、上野監督だけでなく今年の箱根駅伝8区を走った山本羅生選手(3年、松浦)、U20日本選手権1500m2位の高田遥斗選手(1年、仙台育英)もペースメーカーとして参戦。出場された選手の皆さんにとってもうれしいですし、心強いですよね!
選手の底力を引き出す、上野裕一郎監督の声かけ
小学生1000mからレースがスタートしました。中には自己ベストを20秒も更新する選手も! その後、中学生以上の種目では中学生、高校生、大学生、社会人と色々な世代の選手や市民ランナーの方まで、それぞれの目標に向かって駆け抜けていきました。
M高史は実況席から実況。お隣ではゲストの上野監督がレースを解説。時折、上野監督から選手へアドバイスやエールも! ラストの切り替え、スパートに関して具体的なアドバイスもあり、それを聞いた選手はスピードに乗って、ラスト1周時点で予想していたタイムよりも伸びてきました。
55年ぶりに箱根出場した立教大の選手たちの底力を引き出す上野監督の声かけってすごいなぁと、間近で実感いたしました!
この日は全国的にも暑く、グラウンドコンディションも気温36度と発表されるなど、実況席でしゃべっているだけで汗をかいておりました。走った選手の皆さんにとってはかなりの暑さだったと思いますが、レース直後にはキンキンに冷えたスポーツドリンクが準備されたほか、競技場の外ではかき氷が販売され、暑さ対策もされていました。僕もかき氷をいただいたのですが「かき氷ってこんなにおいしかったっけ?」というくらい体にしみわたりました(笑)。
男子1500mでは山梨学院大学OBのボニフェイス・ムルア選手(NDソフト)が3分55秒28で優勝。1周目から独走状態だったムルア選手。後半はややペースダウンしましたが、推進力や走りのダイナミックさに会場の小学生、中学生の皆さんも声をあげて驚いていました!
夕方になるにつれて気温も下がってきて、競技開始の頃よりだいぶ暑さも和らぎました。
招待選手は地元・山形県出身の四釜峻佑選手(ロジスティード)。山形中央高校から順天堂大学に進み、全日本大学駅伝のアンカーや箱根駅伝5区で活躍。現在も競技を続けています。
男子5000m2組のペースを引っ張り、選手の記録をアシスト。地元への恩返しの気持ちが走りからも伝わってきました。
最終レースは男子5000mプレミアムレース。この組は立教大学の山本選手、高田選手がペースメイク。上野監督も実況席からフィールド内に移動されて、選手に声をかけられていました。
3位までには賞金も用意されたプレミアムレースを制したのは、東洋大学OBの大澤駿選手(K-project)。14分28秒88で初代王者に輝きました。
「東北」にこだわりたい
大会終了後、金塚さんは「運営は大変でしたが、楽しかったですね。特にプレミアムレースは会場に一体感があって良かったです。大会を開催するにあたって色々な方のご支援、ご協力があって開催することができました。感謝しかないですね」。自ら動きまわって汗を流し、充実した表情でお話しされました。
さらに、今後も「どのような形になるかまだ具体的に決まっていないですが、今大会のようなものを今後も継続していきたいです。K-projectとしては『東北』にこだわりたいので、山形県だけではなく、外に出向いてイベントなどを企画し、東北長距離界の活性化に少しでも貢献したいと思っています。東日本実業団駅伝では2年連続のクラブチームNO.1を目指しています」と挑戦を続けます。
山形あるいは東北で陸上界の新たな夏の風物詩になっていくかもしれないですね。
坊平は夏合宿で利用するチームも多いので、金塚さんや上野さんとは、たとえば大学生の皆さんが「今後、各大学が合宿初日あるいは合宿最終日にスピード練習の一環として出場するのも面白いですね」と会話の中で盛り上がっていました。
山形で産声をあげた新たな中・長距離レース。来年以降どう展開していくのか楽しみです!