陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

特集:第54回全日本大学駅伝

駒澤大学が全日本3連覇! 今年も應援指導部、駒スポの皆さんとオンライン応援会

今年も全日本大学駅伝オンライン応援会のMCを務めさせていただきました(すべて写真提供・駒澤大学)

今週の「M高史の陸上まるかじり」は11月6日に開催されました全日本大学駅伝のお話です。

今大会では駒澤大学が大会新記録で3大会連続15回目の優勝を飾りました。2位・國學院大學、3位・青山学院大学、4位・順天堂大学までが従来の大会記録を上回り、かつてないハイレベルな伊勢路となりました。

私、M高史はといいますと、昨年に続いて母校・駒澤大学のホームカミングデー企画である「全日本大学駅伝オンライン応援会」というライブ配信でMCを務めさせていただきました。

全日本大学駅伝オンライン応援会

※駒澤大学ホームカミングデー……駒澤大学では同窓生をキャンパスに迎え、旧友や在学生・教職員との交流を楽しむホームカミングデーを毎年開催しています。コロナ禍のため一昨年は中止。昨年に続いて今年もオンラインでの開催となりました。

普段、取材活動、レース実況のお仕事などでは、なるべく公平に全チーム、全選手を応援するという気持ちで務めておりますが、この日ばかりは駒澤大学の応援会MCということで、張り切って母校を応援させていただきました(笑)。

オンライン応援会の裏側、お伝えします!

レース前、今年からコーチに就任した高林祐介コーチにお話を伺ったところ「連覇、三冠に向けて、選手はもちろん、補欠、東京に残っている学生も含めて、それぞれの役割を果たしてくれてます。メンバーはもちろん、メンバー外の練習も最近は誰ひとり遅れることなく質の高い練習を行ってます。上からも下からも盛り上がってるのが今の駒澤です!!!」とチームの雰囲気がとても良い状況であることが伝わってきていました。

駒大スポーツ新聞部より中島健士郎さん、東海圭起さん。体育会應援指導部ブルーペガサスよりリーダー部・山田陽大さん、チアリーダー部・工藤里菜さん、安樂美歩さん、ブラスバンド部・鈴木勇太さんと、現役の学生さんたちと一緒に、実況席からの応援配信も、レースとともに号砲が鳴りました。

駒大スポーツさんの陸上班の皆さんは現地で取材されたことから、普段は野球や空手といった別の競技を取材している学生からの視点も新鮮です。途中、電話で陸上班の方から現地の様子を伝えてもらったり、新たな試みも取り入れることで臨場感も伝わってきました。

現地からの電話では、暑さだったり風だったり、そういった生の情報をお伝えできるのもうれしいです。「スタート地点はひんやりしていながらも、熱気で、暑くなるくらいです」と駒スポ陸上班さんからリアルな声が届き、実況席もヒートアップ。

また、ブルーペガサスの皆さんは例年は現地で応援をしていたのですが、コロナ禍になってから3年間、現地での応援ができず。今の4年生にとっては1年生の時に現地で応援をして以来、最終学年を迎えることに。その熱い気持ちをライブ配信で伝えてくれました。

配信の裏側はこんな感じです!

配信では、僕たちが一方的にお話するだけではなく、ご視聴いただいている皆さんの応援メッセージもご紹介しながら進めていきます。お互い離れた場所で見ていてもパブリックビューイングで一緒に観戦しているような一体感が生まれてきますね!

各区間、スタート前に、付き添いのマネージャーさんなどから送られてきた選手の写真とコメントも、配信中にご紹介していきます。

レース前に選手のコメントをご紹介

3大駅伝デビュー戦となった円健介選手(4年、倉敷)は「3大駅伝デビュー頑張ります!チーム全員で3連覇します!」とスタート前にメッセージをいただきました。この夏一番走り込んだと大八木弘明監督が太鼓判を押すほど、コツコツと力をつけてメンバー入り。1区・区間4位とチームに勢いをつけるスタートを切りました。

副将も務める4年生の円健介選手。初駅伝も冷静にレースを進めました

4区で区間賞を獲得したのは山川拓馬選手(1年、上伊那農)。「積極的なレースで、優勝に貢献します!!」といただいたコメントの通り、5kmを14分01秒で通過する積極的な走り。山川選手は5000mのベストが高校時代のものとはいえ14分01秒21ですので、ほぼ自己ベストのペースで通過しながら後続を突き放す走りで、堂々の区間賞デビューとなりました。

2区で区間新記録(区間2位)をマークした佐藤圭汰選手(1年、洛南)に続いて、1年生の活躍はチームに勢いがつきますね!

写真からも選手の皆さんのリラックスした表情が伺えますし、テレビではお伝えしきれないような、卒業生やファンの方にとってはうれしい細かな情報も差し込みながら、副音声をイメージして進行していきます。一方で、駅伝は好きだけど普段は走られない方にとっては、スピード感や距離感がより身近に感じられるような表現も交えて、進めていきました。

1年生の山川拓馬選手は4区で区間賞を獲得!

また、駒スポの皆さん、ブルーペガサスの皆さんといった現役の学生さんが一緒だったことで、普段の選手の皆さんの日常を知っているケースもあり、興味深かったです。例えば、田澤廉選手(4年、青森山田)と同じ学部の方によりますと、田澤選手は普段は気さくで話しやすいそうですが、駅伝でテレビの中では別人のようだと話していました。区間記録を大幅に塗り替え、この夏、世界陸上に挑んだ大エースの、競技以外の一面を知れるのも貴重ですね!

ちなみに、田澤選手のレース前コメントは本当にすごいんです!昨年は「全員抜きます!!!!」と言って有言実行! 1分36秒差の4位でもらった襷(たすき)を先頭に押し上げました。今年は「区間新記録出します! 」「#レンタザワ」というこれまた頼もしいコメントをいただきました。

留学生に負けない走りで、SNS上でも「#レンタザワ」という愛称で呼ばれる田澤選手。今年も有言実行となる区間新記録を樹立。青山学院大学の近藤幸太郎選手(4年、豊川工)も区間記録を更新するなど、超ハイレベルな7区となり、配信席も大盛り上がり! チャット欄でも熱い応援コメントをたくさんいただきました。

「区間新記録出します!」の言葉通り、有言実行の大幅区間新樹立の田澤廉選手

学生駅伝の驚異的なレベルアップ

配信では、手元で計測しながら、各距離のポイントでの通過タイムや各大学とのタイム差を計算し、細かい情報をお伝えすることも心がけていました。

6区くらいから「これは大会記録が出るんじゃないか」と思って、手元で計算しつつ進めていきます。8区の渡会橋(11.6km)の時点で予想フィニッシュタイムを計算したところ、5時間07分前後という数字に! 大会記録は5時間11分08秒でしたので「あれ?そんなに速い!?計算間違えてるかな……」と逆に勘違いするほど、驚異的な走りが続きました。

8区を任された花尾恭輔選手(3年、鎮西学院)は、後半も力強い走りで区間賞を獲得。8区日本人歴代4位となる57分30秒の快走でフィニッシュテープを切ったのですが、フィニッシュタイマーが示した数字はなんと驚愕(きょうがく)の5時間06分47秒!

前述しましたが、4位まで大会新記録。天気や風など、気象コンディションやレース展開が違うとはいえ、昨年の優勝タイム「5時間12分58秒」を、6位の早稲田大学までが上回るハイレベルなレースとなりました。

8区で区間賞を獲得した花尾恭輔選手。レース前はリラックス

ちなみに、今から16年前、僕が4年生の時に全日本大学駅伝(2006年、第38回大会)で駒澤大学は優勝しているのですが、その時のタイムはと言いますと、5時間19分05秒です。前述した高林祐介コーチが1年生で5区を走り、優勝メンバーとなった年です。

そもそも、当時とは区間ごとの距離が違いますし(総距離106.8kmは同じ)、さらには、各大学の戦力が拮抗(きっこう)して切磋琢磨(せっさたくま)を重ね、トレーニングやケアも含めて大きな進化を遂げています。厚底カーボンシューズの登場でシューズ界にも革命が起き、スピード化が進んでいるので、単純に比較することはできません。当時の選手をリスペクトした上で、仮に、あくまでも参考として、というか僕の妄想として、その時の優勝タイムを仮に今年の結果に当てはめてみると……なんと、14位に!(今回、14位は大東文化大学で5時間19分07秒)

学生長距離界はここ数年でも劇的な変化を遂げていますが、15年前後の長期的なスパンで振り返ってみると、別次元の進化を遂げているんだなというのを感じました。

そんな中で1995年に8区の日本人最速タイム(56分59秒)として今も記録が残り続ける渡辺康幸さん(当時、早稲田大学4年。現・住友電工陸上競技部監督)の記録はすさまじいなと(笑)。今から27年前に樹立されたということで、現在の学生選手の皆さんが生まれる前から君臨し続けている偉大な記録ですね!(他の1区から7区は中継所の変更があり、以前の記録は残っていないので比較はできないのですが)時を超えて、これからも各校のアンカーを任された選手たちが挑み続けていくことでしょう!

3連覇を達成し、配信ブースも大盛り上がり!

早いもので出雲、全日本が終わり、今年度の学生3大駅伝も箱根駅伝を残すのみとなりました。現役の大学生の皆さんは、コロナ禍で授業や練習、合宿など、例年と違う日々を過ごしてきた世代だと思います。そんな困難な状況に負けず、現状打破し続けた各大学の選手の皆さん、マネージャーさんたちをこれからも応援していきたいです!

というわけで、今回は全日本大学駅伝オンライン応援会のお話でした。

M高史の陸上まるかじり

in Additionあわせて読みたい