陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

好記録続々、駅伝シーズンに期待 ホクレンDC深川、網走大会をM高史がリポート

今回もホクレンDC実行委員長・河野匡さんとご一緒させていただきました。(すべて提供・日本陸上競技連盟)

今週の「M高史の陸上まるかじり」は前回に引き続きまして、ホクレン・ディスタンスチャレンジ2023のライブ配信実況をリポート。今回は第2戦・深川大会、第3戦・網走大会を一気にお届けします!

自己ベスト、シーズンベストを出した選手、果敢にハイペースに挑んだ選手、本当は全組ご紹介したいところですが、大学生で自己ベストを更新した選手や部活訪問・取材で一緒に走ったことがある選手を中心にふりかえります。

ライブ配信中はレースの流れもあるので、ふれることができなかったお話もここでしっかり書かせていただきます(笑)。

深川大会 女子は城西大、日体大勢が相次ぎ自己新

まずは第2戦の深川大会。第1戦の士別大会は後半、15度前後まで気温が下がりましたが、深川では競技開始時の気温は29度! 最終種目の10000mの頃には21度まで下がりましたが、僕の衣装で座っていてもちょうどいいくらいでしたので、選手のみなさんにとってはやや暑いコンディションだったかもしれません。それでも関東の蒸し暑さに比べたら、汗のかき方が違いますね!

女子5000mBでは先日、4years.取材でポイント練習をご一緒させていただきました新潟医療福祉大学の清水杏夏選手(2年、昌平)が16分38秒54の自己新で5位に。ご指導されている大島めぐみコーチによりますと「ロードに強く、5000m16分台前半の力はあります」ということで、秋シーズンや駅伝も楽しみな選手です!

新潟医療福祉大学は、資格取得も駅伝も現状打破! 元日本代表の指導で目指す全日本
深川大会・女子5000mBでは新潟医療福祉大学・清水杏夏選手(23番)が自己新

女子5000mAでは、大学生3人が自己ベストを更新! 地元・北海道出身の城西大学・石川苺選手(1年、旭川龍谷)は2戦連続の自己新となる16分12秒87で6位。日本体育大学・齋藤みう選手(3年、伊豆中央)が16分15秒15、城西大学・白木ひなの選手(1年、山田)も16分19秒26で自己新。

女子3000mでも、城西大学・兼子心晴選手(2年、浜松市立)が9分20秒48、日本体育大・渡邉珠有選手(1年、茨城キリスト)も9分25秒13で自己新をマークしており、城西大、日本体育大とも大学女子駅伝が楽しみですね!

男子は中央大が選手層に厚み

男子50000mBでは、中央大学・浦田優斗選手(3年、國學院久我山)が13分58秒56でトップ。浦田選手の父・春生さんはバルセロナオリンピック日本代表で中央大学の前監督さんです。5000mAでも、吉中祐太選手(2年、豊浦)が13分49秒45の自己新。夏合宿を前に、チームの選手層に厚みが増してきました!

深川大会では中央大学・浦田優斗選手(15番)が13分58秒56で5000mBトップに!

創価大学・小池莉希選手(1年、佐久長聖)は13分54秒27で13分台に突入。実業団勢では、ラストに強いNTT西日本・石井優樹選手がラスト400mを59秒4でカバーし、13分41秒51で日本人トップの3位に。石井選手ばりのラストスパートで素晴らしい追い込みを見せた大塚製薬・松本葵選手が、13分52秒68で実に8年ぶりの自己新。今年9月で36歳になる松本選手ですが、まだまだ現状打破されています!

ちなみに、松本選手の奥様・一恵さん(旧姓:小島さん)は以前、4years.でも取材させていただきました。ご家族でライブ配信を通じて応援されていたそうで、自己ベストをとても喜ばれていました!

立命館大で4年間全て区間賞を獲得した小島一恵さん 現役引退後、再び走り出す!

女子10000mでは、「自称・日本で唯一ミュージカルを学ぶ長距離選手」こと、大阪芸術大学・北川星瑠選手(4年、比叡山)が圧巻の走り! 前日、競技場で練習をされていた北川選手を拝見したのですが、僕が見ていても「かなり仕上がってる」と感じるほど、好調ぶりが伝わってきました。32分39秒02の自己新で2位(日本人トップ)となりました。
大学4年生ということで舞台芸術学科の卒業公演との両立も大変な中、ワールドユニバーシティゲームズも楽しみですね!

ミュージカル、デザイン、ドラム、ダンス 競技と芸術を両立する大阪芸術大女子駅伝部

また、名城大学の谷本七星選手(3年、舟入)は33分05秒25とベストには及びませんでしたが、積極的に前でレースを進め、5位でフィニッシュしました。全日本大学女子駅伝6連覇中、富士山女子駅伝5連覇中の名城大学。全日本、富士山と、2年連続出走して全て区間賞を獲得している谷本選手。今年も注目ですね!

名城大女子駅伝部の宮崎合宿、走って取材! 全日本6連覇、強さの秘訣を体感しました

ななつぼし男子10000mAでは、國學院大學の主将・伊地知賢造選手(4年、松山)が28分37秒39と、自己ベストにはわずかに届かなかったものの好調ぶりが伝わってきました。國學院大はさらに、この後の網走大会で快走が続きます!

網走大会 ウェーブライトで1000m3分を体験

続いて、第3戦の会場となる網走へ。レース前日には、クラウドファンディングにより今大会の5戦全てで導入されることになったウェーブライト(電子ペーサー)の準備を見学させていただきました。ちょうど、前日にテストされるということで、僕も1000m3分ペースに合わせて走ってみました! 1000m3分00秒0に設定していただきましたので、1周72秒0、100m18秒0で光っていきます。青が設定より少しだけ前、緑の先頭で3分ペース、赤が3分05秒ペースに設定していただきました。

「ラスト1周になると青が消えるので、緑に追いつかれないように走ってください」とのことです(笑)。予定通りのペースを刻んでいったのですが、800mでいったん緑に追いつかれまして、そこでまずいと思ってギアチェンジ! 最後は緑に追いつかれないように2分58秒で無事に帰ってきました! 追いかけっこみたいで、純粋に走っていて楽しいですね(笑)。視覚的にわかりやすいので、ペースメーカーの選手はもちろん、選手も応援の方にもわかりやすいのかなと感じました。真下の光を見るというよりは、視点はちょっと先を見る感じの方が、いいかもしれないですね!

深川大会・女子10000mの序盤。夜になるとウェーブライトも映えますね!

選手の気持ちを少し体感させていただいたところで、網走の実況へ。レース当日は、晴れてやや気温も高め。昨年の網走は、途中で解説の河野さんが「ガスってきましたね」とお話されていたほど、霧のように白く覆われて気温も下がり、寒いくらいのコンディションでした。ですが、今年は汗ばむ陽気で幕を開けました。 

網走大会、最初の種目となった女子1500mでは、大学生が自己ベストを更新。東洋大学の渋谷菜絵選手(2年、駒大)が、自己ベストを更新して4分26秒56で7位。駒大高校出身の渋谷選手とは高校時代によく練習もご一緒させていただいてましたので、大学に入ってからも着実に進化されていて、なんだか親戚気分で応援しています(笑)。もっとも、ご本人は4分26秒を切りたかったとのことで、次を見据えていました!(日本インカレのA標準は4分26秒50)

網走大会・女子1500mでは東洋大学・渋谷菜絵選手(13番)が粘りの走りで自己新

男子1500mでは、富士通・松枝博輝選手が貫禄の走り。3分40秒99でトップを取りました。大学生では、國學院大の鈴木景仁選手(4年、國學院栃木)が、國學院大記録を更新する3分43秒10で4位。途中、松枝選手を追いかける積極的な走りでした。

ランニング×コメディ×YouTuber・たむじょーさんこと田村丈哉選手が前半、先頭に立つ積極的な走りでレースを作りました。「走る姿が凛々しくなりましたね」と解説の河野さん。レース後はスペシャルゲストとして実況席にも来てくれて、レースの感想だったり、次の組の選手たちに熱いエールを送ったりされていました。

網走大会・男子1500mを制した富士通・松枝博輝選手(先頭)。國學院大・鈴木景仁選手、たむじょー選手も続きます!
「PB祭り」と話題になった20周年記念ホクレンDC網走、千歳を完全リポート!

関東学院大学・市川和英選手(1年、上田西)とは、網走駅から競技場までのバスで一緒になりました。市川選手にとって人生初めての飛行機。しかも今回は、スタッフの方は不在で単独での初遠征だったそうです! 4分00秒10と、ベスト記録の3分51秒02からは遅れてしまいましたが、不安もあった中、無事に北海道・網走まで1人で遠征したという経験は、きっと今後につながりますね! ナイス現状打破でした!

ご本家も海外マラソン後に粘りの走り

5000mDには、僕がモノマネで大変お世話になっている現状打破のご本家・川内優輝選手(あいおいニッセイ同和損保)が出場。ゴールドコーストマラソンに出場したばかりという川内選手らしい強靭(きょうじん)な体力と気力で後方から徐々に順位を上げ、ご家族も応援で見守る中、14分13秒65でフィニッシュされました。

網走大会・男子5000mDでは現状打破の本家・川内優輝選手がゴールドコーストマラソン明けの中、粘りの走りをご披露されました!

5000mCでは、駒澤大学の赤津勇進選手(4年、日立工業)が13分43秒79で自己記録を更新しトップ。立命館大学の大森駿斗選手(3年、智辯学園奈良カレッジ)が13分52秒50で2位。前半からペースメーカーのすぐ後ろを果敢についていった青山学院大学の黒田朝日選手(2年、玉野光南)が13分52秒68で3位に。黒田選手のお父さんは黒田将由さん。以前、4years.でも取材させていただきましたが、法政大学や中国電力で活躍。黒田さんからレース前やレース後にご連絡をいただきまして、朝日選手の自己記録更新をとても喜んでいらっしゃいました。

法政大OB・黒田将由さん 突発性後天性無汗症を乗り越えての現在!

かすみがうらマラソンでもラスト1.5kmで強烈なペースアップで優勝を飾った駒澤大・赤津選手。今回も序盤からいい位置でレースを進め、4000mからさらにペースアップ。ラスト1000mを2分37秒で上がり、駒澤大の熾烈(しれつ)な駅伝メンバー入りに向けてアピールとなる快走でした。

駒澤大学の赤津勇進選手が、地元レースで優勝! かすみがうらマラソン10マイルの部

女子5000mBでは、埼玉医科大学グループ・飯島理子選手が15分58秒41で1位。中央大・浜野光選手(2年、本庄第一)が16分11秒18で2位に入り、ともに自己新をマーク。飯島選手の父・理彰さんは、山梨学院大学駅伝監督。浜野光選手の父・健さんは駅伝やマラソンで活躍され、世界ハーフ日本代表にも選ばれた方です。

男子5000mBでは、城西大の山本唯翔選手(4年、開志国際)が13分51秒08で自己新。箱根駅伝5区で区間賞を獲得し、櫛部静二監督から「山の妖精」と命名された山本選手がトラックでも強さを発揮。ワールドユニバーシティゲームズに向けて良い弾みとなりました。

ほくれん丸女子3000mでは、日本体育大の保坂晴子選手(4年、錦城学園)が9分04秒97の自己新で5位に。士別大会の記事でもご紹介した大塚製薬・真也加ジェルーシャ有里選手が、3000mのチーム記録を更新する9分10秒44の自己新で6位になりました。真也加選手の父・ステファンさん(桜美林大学駅伝監督)、母・玲世さん(旧姓:盛山さん、世界選手権元日本代表)も自己記録更新を喜んでいらっしゃいました。

網走大会・女子3000mの上位争い。前から積水化学・楠莉奈選手、保坂晴子選手、真也加ジェルーシャ有里選手

大迫傑選手、リカバリー90分で10000m2本

そして、大迫傑選手(Nike)が10000mBとAに出場。Bが17時35分スタート、Aが19時30分スタートということで、実質リカバリーが約1時間半という中、Bでは28分14秒69で4位、Aでは28分35秒36で2本とも走破しました。

5000mAでは、トヨタ自動車・太田智樹選手が2戦連続自己新となる13分20秒11で2位。以前、拓殖大学時代に4years.で取材させていただいた九電工・赤﨑暁選手が、大幅自己新の13分27秒79で3位。MGCに向けて好調ぶりをアピール。大学生では、國學院大の山本歩夢選手(3年、自由ヶ丘)が13分34秒85で國學院大記録を更新。中央大の山平怜生選手(3年、仙台育英)が13分44秒99の自己新。

網走大会で10000mを2本走った大迫傑選手(37番)。写真は1本目

國學院大が3種目で大学新記録

國學院大は、男子10000mでも好記録! 平林清澄選手(3年、美方)が27分55秒15 で國學院大記録を樹立しました。これで、網走大会では1500mで鈴木景仁選手、5000mで山本歩夢選手、10000mで平林清澄選手と、同じ日に3種目で國學院大記録が更新される國學院スペシャルな1日となりました!

國學院大の前田康弘監督にもお会いしました。僕の学生時代、前田さんは駒澤大学でコーチをされていて、当時から本当によくお世話になっていました。当時から、よき兄貴分として選手にもマネージャーにも慕われていた前田さん。

レース後、前田監督は「選手が本当によく頑張ってくれました。ただ、まだもっと上に行きたいと思っているので、しっかり強化して駅伝で戦えるように準備していきます」と、駅伝シーズンが楽しみになってくるお話をしてくださいました。

最近は、大八木弘明総監督の教え子「大八木チルドレン」が高校、大学、実業団などで指導者として活躍される姿も目立ちますよね! 駒澤大の藤田敦史監督と國學院大の前田監督は1学年違い(藤田監督が1つ先輩)。今度は監督さん同士の先輩・後輩対決にも注目ですね!

というわけで、今回は深川大会、網走大会のライブ配信実況レポでした!

6人が自己新をマークし、ハイレベルなレースとなった網走大会・男子5000mA

M高史の陸上まるかじり

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