名城大女子駅伝部の宮崎合宿、走って取材! 全日本6連覇、強さの秘訣を体感しました
今回の「M高史の陸上まるかじり」は、名城大学女子駅伝部のお話を2回に分けてお届けします。全日本大学女子駅伝で史上初の6連覇、富士山女子駅伝は5連覇を誇る女王。3月上旬に行われた宮崎合宿を取材させていただきました。今回の合宿はAチームと入学予定選手が参加された選抜合宿になります。
アジア室内陸上3000mで銅メダルを獲得された山本有真選手(4年、光ヶ丘女子)や4月に入学予定の選手たちも参加していました。
朝練から自主的にプラスアルファ
日本学生女子ハーフマラソン選手権や春のトラックシーズンを見据えた名城大学女子駅伝部の選抜合宿に、2泊3日で密着取材させていただきました!初日は到着後、皆さんにごあいさつ。まずは米田勝朗監督と温泉やサウナもご一緒して、熱いアツい陸上談義。たくさん勉強させていただきました。
取材2日目の朝練習では、まだ外が暗い午前6時に集合して、体操と動き作りが始まりました。無駄な時間がなくテキパキと動かれているのが印象的。そして動き作りでは、しなやかでリズムカルな身のこなしをされていました。
この日の朝練習は集団走でした。3.4kmのコースを3周。入学予定選手の皆さんは距離を短めに行いました。約10km、大学チーム男子の朝練のようなペースで進みました。3周走り終わって「よし、終わり」と思っていたのですが、誰もやめることなく、何事もなかったかのように走り続ける選手の皆さん!「あれ?自分が周回数を聞き間違えたかな?」とこちらが不安になるほどでした(笑)
米田監督からは3周と言われましたが、特に強化期間中の名城大学さんでは自主的にプラスアルファで追加していく選手が多いそうです。
4周目でペースが上がりました。名城大学さんの強さを感じる体験となりました。
テキパキ動くマネージャー、気配り上手なコーチ
午前中はトレーニングや治療などを行い、午後は宿舎近くのロードでポイント練習をしました。1kmを上級生は7本、入学予定の皆さんは5本というメニュー。M高史は入学予定の皆さんと5本ご一緒した後に、上級生に交じってラスト1本に合流。選手の皆さんの速さ、強さ、推進力を間近で感じました。
米田監督が自転車で伴走されていました。米田監督の体力、気力そして情熱、本気を感じる場面でした!
また、中尾真理子コーチと主務の黒川光マネージャー(3年、諫早)がトランシーバーで連絡をとりながら連携してタイムを計測します。4年生で主務だった市川千聖さん(浜北西)が引退されてから、マネージャーさんは黒川さん1人とのこと。チームや選手のための準備や片付けなど、あらゆる面でテキパキとずっと動いていらっしゃるのが印象的でした。僕が主務・マネージャー出身ということもあって各チームの取材に伺うとまずマネージャーさんの動きが気になりますし、頑張っているマネージャーさんを見ると応援したくなっちゃいますね!
名城大学のOGで実業団経験もある中尾真理子コーチとM高史は、同い年ということもあって、共通の友人・知人も多く、すごく親近感がありました。中尾コーチの細やかな気遣い、気配り、監督や選手とのコミュニケーション、仕事ぶりや仕事の早さを拝見していて、勉強になることばかりでした!
選手の皆さん、米田監督はもちろん、コーチ、マネージャーさんもチーム一丸となって現状打破されているのが全身で伝わってきました。
練習後は近くの温泉へ。米田監督とまたじっくりお話させていただきました!温泉、サウナ、水風呂も充実していて、交代浴をすることで全身リフレッシュ。合宿の疲れも吹き飛びますね!
日本学生女子ハーフ組のポイント練習に参加
取材最終日の朝練習は、各自でのジョグでした。コンディションや練習メニューに合わせて走る練習ですが、集団走よりもむしろ速いペースで走っている選手もいたり、前日の疲労を考えてじっくり走る選手もいたりして、ここでも選手の皆さんの自主性や意識の高さを感じました。
午後の練習では、日本学生女子ハーフマラソンに出場するメンバーが、ポイント練習として1km×10本のインターバルを行いました。
メンバーは全日本や富士山でも優勝メンバーに入った増渕祐香選手(3年、錦城学園)、谷本七星選手(2年、舟入)。昨年の日本インカレで10000m2位に入った原田紗希選手(1年、小林)の3人。
皆さんのお邪魔にならないよう、行けるところまでご一緒させていただいたのですが、6本をなんとか終えたところでギブアップ。後半はカメラマンに専念させていただきました。
防風林があるので風もある程度は遮られますが、それでも海沿いということで時折強い風が吹きました。そんな中でも軽快よく風に負けない力強い走りでどんどん進んでいきますし、フォームが崩れないのが印象的でした。
富士山女子駅伝もここ数年、取材で伺っていて、名城大学さんの走りを近くで拝見していました。しかしいざ一緒に走らせていただくと、改めて走りっぷりのすごさを体感でき、貴重な経験となりました。
この日も米田監督は自転車で伴走。選手の走りを間近で見て、ラップタイムを読み上げながら声をかけられていました。米田監督の本気が、きっと選手の皆さんにも伝わっているんだなと感じました。
宮崎合宿後、3月19日の日本学生女子ハーフマラソン選手権では原田紗希選手が3位(1時間11分12秒)となり、FISUワールドユニバーシティゲームズの日本代表に内定。谷本七星選手が5位(1時間12分43秒)、増渕祐香選手が6位(1時間13分03秒)に入り、3人とも入賞を果たしました。
選手の食を支えるのは、名古屋学芸大学の皆さん
名城大学の強さを支えているのが、名古屋学芸大学管理栄養学部福岡ゼミの皆さんです。普段から平日の朝・夕の献立作成と夕方の調理、食事提供をされていて、合宿でも1日3食を提供しているそうです。
今回、同行されていたのは新4年生になる柴田稀衣さんと木下菜々夏さんのお2人。普段は8人で交代して調理・提供をされています。
栄養素の目標を充足することはもちろん、献立のバリエーションやおいしさも求めて作っていく難しさがあるそうです。
「特に合宿後の鉄不足にならないように、合宿中は普段よりさらに意識しています。鉄が含まれる食材は限られるので、献立や味が同じにならないように心がけています。選手からのリクエストメニューも取り入れています。誕生日には脂質を抑えたデザートも提供しています。食べたいリクエストがあれば、どんどん声をかけてほしいです。先輩のレシピも見て、工夫して参考にしています」と木下さん。レシピも先輩から後輩へ襷(たすき)リレーされているんですね!
高校まで陸上部で長距離をしていた柴田さんは「食事を作ることしかできないですが力になりたいです。昨年の全日本はパブリックビューイングで、富士山は現地で応援しました。普段の食事中にオフの姿を見ているので、レース中は別人のようでした!合宿では少し練習も見ることができます。選手のために頑張りたいので『こういうのが食べたい』などリクエストがあれば、話しかけてもらえるとうれしいです」と選手に寄り添った食のサポートをしています。
また同じ宿舎には、実業団の合宿に参加していた小林成美選手(4年、長野東)も滞在していて、練習の合間にお話などをされていました。
4年生の小林選手、山本選手を中心に2022年度は「現状打破!~チームのため・私がやる!~」をスローガンに掲げ、全日本大学女子駅伝6連覇、富士山女子駅伝5連覇という偉業を達成し、まさに現状打破してきました。合宿に伺って、あらためて強さの秘密を実感、そして体感しました。