名城大5連覇だけでなく、話題豊富な大会に! 富士山女子駅伝の取材にうかがいました
12月30日は富士山女子駅伝。10月の全日本大学女子駅伝(杜の都)とともに大学女子駅伝の頂点を目指し、日本一の富士山のふもとで今年も熱いレースが繰り広げられました。
M高史は4years.で取材に伺ってきました。スタートとなる浅間大社前。1区の選手はぐるっとまわって浅間大社前に戻ってきて2区に襷(たすき)リレーするため、1区の選手と2区の選手がウォーミングアップをして、号砲を待ちます。
7区間43.4km。大事なスタートの1区(4.1km)。前半で勢いをつけたい高低差98mの下り坂を駆け抜ける2区(6.8km)。最短区間ながら小刻みな起伏が続く3区(3.3km)。エース区間につなげる大事な4区(4.4km)。最長区間で各校のエースが集まる5区(10.5km)。長い直線コースの続く6区(6.0km)。「魔の坂」高低差169mを駆け上るアンカー7区(8.3km)とコースや区間も見どころたっぷりの駅伝です。
報道バスは1区の選手が中継した後は、そのままフィニッシュ地点へ向かいます。というのも交通規制もありますし、選手も区間や選手にもよりますが時速約19km前後のスピードでどんどん走っていくので、フィニッシュ地点に向かわないと間に合わないんですね(笑)。
そのため競技場に着いてからプレスルームでテレビを見ながら、各区間のリザルトもチェックしながらアンカーの選手を待ちます。
最初に競技場に戻ってきたのは杜の都も制した名城大学の谷本七星選手。チームメートに迎え入れられて歓喜のフィニッシュテープを切り、富士山女子駅伝5連覇!そして、名城大学は杜の都と富士山で5年連続2冠という偉業を達成しました!
名城大学5連覇達成!選手の声
ここで名城大学の選手の皆さんの優勝インタビューを一部ご紹介します。
1区 柳樂あずみ選手(1年、筑紫女学園) 区間賞 12分46秒
「トラックシーズンに1500mで磨いたスピードを生かして区間賞で渡せてうれしく思います」
2区 石松愛朱加選手(1年、須磨学園) 区間3位 21分19秒
「6.8kmという長い距離に不安がありましたが、(1区の)あずみがトップで来た時に背中を押されたので上りで離すことができ、次の走者に1秒でも前へと思って走れたのかなと思います」
3区 米澤奈々香選手(1年、仙台育英) 区間賞 10分03秒(区間新)
「直前で足を痛め少し不安のある中、1区、2区の同期がすごい勢いで襷を繋(つな)いでくれました。区間賞で区間新を達成することができ本当によかったです」
4区 増渕祐香選手(3年、錦城学園) 区間賞 14分09秒
「後半区間の選手に楽して走っていただけるように差を広げるのが自分の役割でしたが、もう少し差をつけて(山本)有真先輩に渡したかったです。来年以降も先輩たちが築き上げてきた連覇をしっかり繋いで納得いくような形で終えられるように頑張っていきたいです」
5区 山本有真選手(4年、光が丘女子) 区間賞 34分05秒
「前半の後輩たちが思ったより差を広げてきてくれたので、自分のペースで走れました。10000mも経験したことがない中、10.5kmということで不安もあったのですが、最後というのをかみしめながら4年間お世話になった方々の顔を思い出しながらしっかり走ることができました」
6区 小林成美選手(4年、長野東) 区間3位 19分56秒
「6区は3年前にも経験していて、本来ならば納得のいく走りがしたかったです。チームとしては、この1年間この日のためにやってきて絶対負けたくないと思ったので、勝つことができてとてもうれしく思います」
7区 谷本七星選手(2年、舟入) 区間賞 29分38秒
「締めくくりとなる大会でフィニッシュテープを切らせていただき光栄です。走り出す前は自分がどれだけ走れるかワクワクした気持ちで臨めました。想像以上のキツさでしたが競技場に入った瞬間に感動して、みんなの姿が見えた時に、今まで出せなかったような力が出せました」
レース後のチーム作り 現状打破に注目!
フィニッシュ後、表彰式や閉会式があり、そのまま各大学の皆さんは帰路につきます。監督さんや選手の皆さんにご負担にならないようにというのは大前提で、でも記事を書かせていただくためにお話も伺いたいと葛藤しながら会場をウロウロしながら取材させていただきました。ライターさんたちはいったいどうやって何校も取材しているんだろうと、毎回、勉強になります(笑)。
全てのチームをご紹介したいのですが、取材させていただいた監督さん、選手のお話をご紹介します。
3位に入ったのは日本体育大学。2区では山﨑りさ選手(2年、成田)が一時先頭の名城大学・石松愛朱加選手に迫る勢いを見せるなど、6区までは2位で繋(つな)ぎます。7区で大阪学院大学が2位となり、日体大は3位となりました。
日本体育大学 佐藤洋平監督
「思ったようなオーダーが組めなかった中、選手が本当に頑張ってくれました。元々考えていたオーダーと全く違う中、選手の可能性ってこんなに大きいんだと感じました。(今回の立役者は?)チーム全員ですね。全員不安だった中、3位ということで、価値ある3位でもあるし、悔しい3位でもあります。(今後は?)選手の可能性をどんどん広げていきたいですね」
4位に入ったのは全日本大学選抜。過去には五島莉乃選手(当時・中央大学、現・資生堂ランニングクラブ)もこの選抜チームで出場し区間賞(2019年大会で2区区間賞・当時区間新)を獲得するなど、選抜チームからも将来楽しみな選手が毎年登場します。また、選抜チームを経験して、その経験を母校に持ち帰って翌年は大学チームとして富士山女子駅伝に戻ってくることもあります。
2区を走った神戸学院大学の堀綾花選手(3年、日体大柏)。神戸学院大学は杜の都出場を懸けた関西予選で次点、5000mのアディショナル枠も次点、さらに今回の富士山女子駅伝の5000m上位7名の合計タイムでも次点と、全てあと1歩届かずにチーム全員で悔しさを味わった1年となりました。神戸学院大学の次期主将に就任した堀選手が今回富士山を経験したことで来年度チームがどのように現状打破していくのかにも注目ですね。
2区でエース・北川星瑠選手(3年、比叡山)が2年連続となる区間賞を獲得した大阪芸術大学。1区17位から一時は7位まで浮上しますが、10位でフィニッシュとなりました。
大阪芸術大学 中瀬洋一監督
「(区間賞を獲得した北川選手について)気持ちが強いですね。本番のレースになると変わります。負けず嫌いな選手ですね。(今後について)来年度、一番強い年になると思いますので過去最高順位で終わりたいです」
大阪芸術大学 北川星瑠選手
「タイムも目標通りでしたし、区間賞とれました。2区を終わった時点ではうれしかったのですが、8位入賞をチーム全体の目標にしていたので、今はうれしさよりも悔しい気持ちの方が大きいです。おじけ付かないで気持ちで走っていました。行くしかないと思って、もう前しか見ていなかったです。今年(2022年度)はユニバに選ばれていましたが開催されず結局日の丸をつけられなかったので、もう1回選ばれてジャパンのユニホーム着たいです。チームとしては仙台(杜の都駅伝)はシードをとることと、富士山では8位入賞を達成したいです」
14位となった関西外国語大学。日本陸上競技連盟のJAAF×SDGsプロジェクト「#LETSTHINK_」で「BEST THINK賞」を受賞するなど競技だけではなく地域貢献活動や競技の普及活動など様々な挑戦を続けています。
関西外国語大学 山本泰明監督
「チームの目標は8位でしたが、チーム全体としては調子が上がっていなかったので厳しいレースになると予想していました。なんとかしのいで7区の矢尾(桃子)に可能性のある位置で渡したいと思っていましたが、予想の範囲内でしたが厳しかったです。5区の三輪(南菜子)、本人はもう少しいいタイムで走りたかったと思いますが、チームの流れを少し変えるような走りをしてくれました。(3年連続で7区を走った矢尾選手について)本人も希望していましたし、走りも性格も向いているので3年間走ってくれました。1月の大阪国際女子マラソンに向けて、記録を狙って走りたいと言っています。卒業後は就職するのですが本人も走るのは好きなので、市民ランナーとして走り続けるのかもしれないですね」
2年生で四つ、3年生で三つ、今回も三つ順位を上げて、上り坂の強さを発揮してきた矢尾選手。中学時代はトライアスロンで全国大会出場経験もあります。ぜひ、卒業後は激坂最速王決定戦のような上り坂レースにも出場したら面白いんじゃないかと個人的に思う選手でもあります。
前回、初出場を果たし、2年連続出場となった亜細亜大学は16位。前回22位から順位を着実に上げてきました。
亜細亜大学 岡田晃監督
「目標は10番台でしたが16番から最下位もあり得ると思っていた中、結果16番でした。1区で前の方で来てくれたましたし、途中で順位を落としましたが、エース区間の5区で順位を上げられたのは収穫でした。選手たちが頑張ってくれて昨年22位から大きくジャンプアップできました。来年度以降も杜の都、富士山の2つに出ることを大前提に、うちのチームは派手さがないので着実に地道な努力を続けていきたいです」
とバタバタと急ぎ足になってしまいましたが、各校の皆さんにお話を伺わせていただきました。
大学女子駅伝からも目が離せませんね!引き続き、注目、応援させていただきたいと思います!