陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

男子の箱根、女子の富士山! 24チームが挑んだ富士山女子駅伝取材レポート!

1区のスタート地点、富士山本宮浅間大社前を24チームの選手の皆さんが駆け出していきました(提供写真以外、撮影・M高史)

今回の「M高史の陸上まるかじり」は昨年12月30日に開催された富士山女子駅伝のお話です。M高史は4years.より報道として伺ってきました。今大会はコロナ禍の影響で沿道や会場での応援自粛ということで、応援に行きたくても行けなかった方にも届くように心をこめて書かせていただきます。

富士山女子駅伝って、こんな大会!

男子の場合は出雲、全日本、箱根が学生3大駅伝と呼ばれますが、女子の場合は全日本大学女子駅伝(杜の都駅伝)と全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)の2大会が開催されています。全日本大学女子選抜駅伝は以前は埼玉県や茨城県で開催されていましたが、13年より静岡県で開催され、愛称も富士山女子駅伝となり今大会で9回目となります。

大会の出場権を得るのは、杜の都駅伝で12位までに入ったチームと、全国の5000m7名の合計タイム(2021年4月以降のシーズンベスト)の上位10チーム。さらに全日本大学選抜、静岡県学生選抜が出場します。

全日本大学選抜チームの皆さん。M高史の「M」ポーズを作ってくださいました(笑)

以前は東日本選抜、西日本選抜と分かれていましたが、18年より全日本大学選抜に。全日本大学選抜も総合順位、区間順位がつくため、他校にとっては強力なライバルとなります。静岡県学生選抜もオープン参加という形から、同じく18年から順位もつくようになりました。

前回はコロナ禍の影響で全日本大学選抜、静岡県学生選抜ともにチーム編成を行いませんでしたが、今回は2年ぶりに復活となりました。

白熱のレース展開!

レースの方は、富士山3連覇中、杜の都も5連覇中の名城大学が今大会でも強さを発揮しました。

1区(4.1km)は前半高低差20mを上って、後半は20mを下ってくるというコース。名城大学の谷本七星選手(1年、舟入)が集団から抜け出し、1区から縦長の展開に。谷本選手は区間賞を獲得し、4連覇に向けて幸先の良いスタートとなりました。

名城大学1区は谷本選手、2区髙松選手へトップで襷リレー

2区(6.8km)は高低差98mを下っていくコース。チームに勢いをつけるための重要な区間です。名城大の高松智美ムセンビ選手(4年、大阪薫英女学院)は後続の猛追から逃げ切り、トップで襷(たすき)リレー。区間賞は21分21秒の同タイムで東北福祉大学・金澤佳子選手(3年、福島明成)と大阪芸術大学・北川星瑠選手(2年、比叡山)が獲得しました。

名城大学は3区(3.3km)井上葉南選手(4年、至学館)、4区(4.4km)山本有真選手(3年、光ヶ丘女子)の連続区間賞で2位の日本体育大学との差を51秒差に広げます。

最長区間5区(10.5km)には各校のエースが集結。注目は拓殖大学の不破聖衣来選手(1年、健大高崎)。杜の都でも区間記録を1分以上更新する爆走。12月11日の関西実業団ディスタンストライアルin京都2021で、初10000mながら30分45秒21の日本歴代2位の記録をマークし、オレゴン世界陸上の参加標準記録も突破しました。

また、大東文化大学の鈴木優花選手(4年、大曲)、名城大学の和田有菜選手(4年、長野東)といった大学女子長距離界を代表する選手たちが顔を揃(そろ)えました。

不破選手は12位で襷を受け取り、2秒後に13位で鈴木選手がスタートする展開。鈴木選手が猛然と不破選手に追いつき、序盤並走する白熱の展開。不破選手は鈴木選手を振り切り、次々に前を行くチームを捉えていきます。鈴木選手も不破選手から離れてからも区間新ペースでゴボウ抜き。

先頭の名城大学・和田選手も区間新でトップを死守(区間3位、33分32秒)。12位から2位まで浮上した拓殖大学・不破選手が32分23秒の区間新で区間賞を獲得。13位から3位まで浮上した大東文化大学・鈴木選手が33分07秒の区間新で区間2位となりました。従来の区間記録は34分17秒(2017年、大東文化大学・関谷夏希選手)なので、超ハイレベルなエース対決となりました。

続く6区(6.0km)では名城大学・増渕祐香選手(2年、錦城学園)が区間2位の走りで盤石の襷リレー。この区間では立命館大学・飛田凛香選手(3年、比叡山)が区間タイ記録の好走で区間賞を獲得しました。

アンカー7区(8.3km)は富士山女子駅伝名物「魔の坂」と呼ばれる難コースです。3kmから7.6kmまでの4.6km進む間に高低差169mを駆け上っていきます。坂を上りきった先には仲間が待つ富士総合運動公園陸上競技場のトラック内を駆け抜けフィニッシュとなります。

7区・小林選手を出迎える名城大学の皆さん。今季駅伝2冠と富士山4連覇を達成しました

名城大学は7区の区間記録保持者でもあり、10000m31分22秒34とオレゴン世界陸上の参加標準記録も突破している小林成美選手(3年、長野東)が登場。自身の区間記録の更新はなりませんでしたが区間賞を獲得。名城大学は富士山4連覇、杜の都と合わせて今季大学女子駅伝2冠を達成しました。

監督、選手のお話

レース後、お話を伺えた監督さん、選手の皆さんのコメントをご紹介します。

2位 大東文化大学

4区終了時13位から、最後は2位まで上げてきた大東文化大学。富士山では4年連続2位の結果に外園隆監督は「なんとか2位に、大東大の定位置まではもってこれました。5区(鈴木選手)、7区(山賀瑞穂選手、3年、埼玉栄)で本当の強さを見せてくれました。来年以降は世代交代で、今回走った1年生4人が今後は軸となってきます」とレースを振り返り、来季への抱負も語られました。今回は3000mSCドーハ世界陸上日本代表の吉村玲美選手(3年、白鵬女子)が欠場する中、杜の都(8回)と富士山(4回)を合わせて12回目の2位で、底力を発揮されました。

7区・山賀選手で2位に浮上。フィニッシュで出迎える大東文化大学の皆さん

5区で区間新記録をマークし、拓殖大学・不破聖衣来選手に次いで区間2位となった鈴木優花選手。2秒前に中継した不破選手に追いつき、一旦は前に出る攻めの走りでした。

「調子も悪くなかったので、自信を持ってスタート地点に立てました。自分らしくいけるところまで突っ込んで、とことん粘ろうと思って走りました」とふりかえった鈴木選手。吉村選手が欠場の中「気持ちでつなきました」と後輩の分まで思いを込めた激走でした。レース中は強気な攻めの走りが持ち味の鈴木選手ですが、レース後は謙虚に笑顔で丁寧にお話されていたのが印象的でした。パリ五輪を目指していきたいという鈴木選手の実業団での活躍にも注目です。

6位 拓殖大学

不破選手が2位まで浮上し、見せ場を作った拓殖大学は6位に。五十嵐利治監督は「杜の都で3位に入ったので、周りの方の期待もありましたが、富士山では8位入賞を目指していたので(6位の結果に)選手たちは頑張ってくれました。アンカーの途中まで2番でしたし、着実に力はついています。メンバー7人中4人は高校時代3000m10分を切るか切らないかくらいの選手でしたので、ここまで本当によく努力を重ねてきたと思います」と選手たちの頑張りを高く評価。

「不破は(日本歴代2位をマークした)10000mのあとに少し疲労がでましたが、直前の3日間くらいで状態も上げてきました。主将の八田ももか(4年、健大高崎)も(3区)区間6位で4年生の意地を見せてくれました。来年、全日本でもう一度3位に、富士山では来年は5位を目指します。2023年には優勝を目指す、目指せるチームを作ります」と語られた五十嵐監督。

不破選手(左から3番目)の快走で途中2位までジャンプアップ。主将の八田選手(右から3番目)とは健大高崎高校の先輩・後輩です

注目の不破選手はレース後「トップに出るのが目標にだったので悔しいです」ととてつもない区間記録を樹立したにもかかわらず、さらに前を見据えていました。

9位 大阪芸術大学

目標としていた8位入賞まであと6秒、9位でフィニッシュした大阪芸術大学。中瀬洋一監督は「悔しさをもつことでチームも変わります」と来年度を見据えて話されました。

2区で13人を抜いて7位に浮上し、同タイムでの区間賞獲得となった北川星瑠選手は「区間賞は狙っていました。20位でもらって1人ずつ前を抜いていきました。目指していた区間賞でしたし、大学での目標の1つをクリアできました。来年以降は杜の都、富士山で安定して区間賞を取れるようにしたいです。世界で戦えるような選手になりたいですし、ユニバー(ワールドユニバーシティゲームズ)日本代表を目指していきたいです」と力強く語った北川選手。舞台芸術学科でミュージカルを学びながら走り続け、将来は女優を目指している二刀流アスリートです。

2区・同タイムで区間賞を獲得した北川星瑠選手。舞台芸術学科でミュージカルを学ぶ長距離選手ということで注目も集めています(写真提供:北川星瑠選手)

14位 佛教大学

同じく8位入賞を目標にされていた澤井監督。就任1年目で迎えた今回の富士山女子駅伝について「8位を目標していましたが、達成できませんでした。杜の都で負けていたチームよりも順位が上になったりもしたので、悔しい気持ちを晴らそうとみんなよく頑張りましたね。来年につながる走りができました。来年はもう一段上のランクに、チーム力も上げて、個々に戦えるチームにしていきたいですね」とお話してくださいました。

佛教大学、1区・青松真那選手(4年、桂)から2区・芝本涼花選手(4年、小野)への襷リレー

22位 亜細亜大学

今回、初出場となった亜細亜大学。箱根駅伝で総合優勝を経験し、母校の監督として初陣を飾った亜細亜大学の岡田晃監督は「1区(広瀬はるか選手、3年、本庄第一)は区間6位と幸先いいスタートとなりました。選手たちは悔しがっていましたが、無事に襷がつながって良かったですし、今後につながります。今回は出るだけになってしまったので、来年以降は全国で戦えるようにしていきたいですね」と初出場の余韻に浸ることなく来季を見据えています。

初出場の亜細亜大学の7区は小美濃あい選手(3年、山村国際)。チームメートの待つフィニッシュへ!

年末に富士山麓を駆け抜ける富士山女子駅伝。名城大学の4連覇、拓殖大学・不破選手のゴボウ抜きからの区間新記録など、話題の多い大会となりました。杜の都駅伝、富士山女子駅伝にも注目が集まることで、陸上を始めたいという中学生・高校生の方が増えたり、高校で競技をやめようと思っていた方が大学でも続けてみようかなと思うきっかけになったりすることで、陸上界や大学女子駅伝界がさらに盛り上がっていくと感じました。

これからも各大学の皆さんのご活躍、現状打破している姿勢を応援し続けていきたいです! 今回は応援自粛での開催となりましたが、また例年のように応援できるようになったら、ぜひ現地での応援もオススメです! 富士山が近くて写真映え間違いありません!

各大学の皆さん、本当にお疲れ様でした!取材させていただき、ありがとうございました!

M高史の陸上まるかじり

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