陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

杜の都から富士山女子駅伝へ 佛教大学は再び頂を目指す!

佛教大学陸上競技部女子中長距離部門の皆さんにお話をうかがいました!※感染症対策の上、撮影時のみマスクを外しています

今回の「M高史の陸上まるかじり」は佛教大学陸上競技部女子中長距離部門の皆さんにお話を伺いました。佛教大学は2009年、2010年と全日本大学女子駅伝(杜の都)で連覇。その後、体制も変わり今年度から澤井宏次監督が就任し新たなスタートをきりました。今年の杜の都では15位。その後、5000m7名の合計タイムで富士山女子駅伝の出場権を獲得し、12月30日の富士山へ挑みます。

澤井監督が就任、新体制でスタート!

取材に伺ったのは朝練習でした。朝6時には大学に集合し、体操や動き作り、澤井監督からのお話があり、その後グループで走り出していきます。

朝練習では大学近くの鴨川沿いを走ります。選手の皆さんは道行く近所の方に清々しい挨拶。散歩、ジョギング、ラジオ体操している皆さんも「がんばって!」と笑顔で応援。地元から愛される応援されるチームの姿って素敵ですよね!

朝練で集団走を行う選手の皆さん。地元の皆さんからも応援される姿が印象的でした!

約10kmを集団で走り、自主的に最後ペースアップする選手も。コンディションに合わせて積極的に上げていく選手が目立ちました。最後、朝練コースのラストの上り坂でもかなりペースを上げていき、朝から現状打破されていました!

澤井監督は京都の桃山高校や桂高校で教員生活を送り、桂高校を全国高校駅伝にも導きました。また都道府県女子駅伝の監督としては京都チームで優勝も経験。桂高校を定年退職されて、今年4月に佛教大学の監督に就任されました。

今年就任された澤井宏次監督。選手からの信頼も厚い方です

井上彩花コーチによると「選手たちは澤井監督のことが大好きなんです!」というほどの信頼と優しさに溢れた方です。そして、61歳とは思えない体力と情熱をお持ちです。取材で伺った日の朝練習でも約10km自転車で伴走。以前は朝練習も集合してから各自のペースでJOGということも多かったそうですが、澤井監督就任後は朝練習もグループで行うことが多くなり、練習の質も高まりました。

それとともに結果にも反映されるようになっていったそうです。女子の朝練習が終わったかっと思いきや、そのあと男子の朝練習10kmに自転車で伴走に行かれていました!

澤井監督も朝練習に自転車で伴走。女子の後は男子の朝練も伴走されていました!

澤井監督の情熱や行動力、選手の皆さんに寄り添う姿は、選手の皆さんにも伝わり、信頼にもつながっているんですね!

澤井監督体制での初陣となった全日本大学女子駅伝(写真提供:佛教大学陸上競技部)

選手の皆さんにインタビュー!

選手の皆さんにもお話を伺いました。

左から池田朱里選手、原田萌花選手、芝本涼花選手、主将の古田望緒選手

主将 古田望緒(ふるたみお)選手(4年、西脇工業)

西脇工業高校出身の古田選手。田中希実選手や後藤夢選手(ともに豊田自動織機TC)と同級生です。けがの影響で高校2年生から競歩も始めました。大学でも競歩と長距離を両立しています。

今年、主将に就任。「他学年ともミーティングを増やして、チーム全体でコミュニケーションをとれるように意識しました。また、目標を視覚的に見えるように掲示しました。全日本に向けても今よりも調子を上げていこうと一人ひとりが駅伝に対しての意識が高まっていましたね」。例年よりも強いと自信を持って挑んだ杜の都では15位と悔しさを味わいました。

「富士山で8位を目標にしています。主将としてチーム全員がその日に向かっていける明るく前向きな雰囲気作りをしていきたいですね」。主将としてチームをまとめあげる古田選手、学業の方は社会福祉学科で、2月には社会福祉士の国家試験も控えています。

芝本涼花(しばもとすずか)選手(4年、小野)

1500mを得意とする芝本選手は、日本学生個人選手権1500mでは7位入賞。それでも「日本インカレでは14位でしたし、1500mでベストは出ましたが目標にしていた4分20秒に届かなったので」と悔しさを感じていました。「今まで長い距離に少し苦手意識がありましたが、今年は春から5000mもやることで長い距離にも少しずつ慣れてきました。スタミナが1500mにも活(い)かされるようになっていきました」

杜の都では1区区間17位と悔しい結果に。「2年生の時も1区を走らせてもらって経験もありましたが、プレッシャーもありましたね。スローペースよりはスピードを活かした走りが持ち味なのですが、自分の走りができませんでしたね」。スローな展開で進み、難しい1区となりました。

大学で競技を引退する芝本選手。「陸上最後のレースなので、富士山では8位入賞したいですね。そのために1日1日を大切にしていきたいです」とラストレースに挑みます。

原田萌花(はらだもえか)選手(3年、松山北)

前半は故障でトラックレースに出られず、夏合宿からしっかり走ることができました。「1、2年の頃は故障ばかりで夏にしっかり走れたのは初めてでした。夏以降は今までで一番走れましたね。関西学生女子駅伝ではうまく結果につながらず悔しかったですが、調子もあがってきて全日本では自分の走りができました」。最長区間である5区で区間7位と力走。長い距離が得意というのが強みです。

「1、2年と富士山を走りましたが、全然走れなくてチームの足を引っ張って申し訳なかったです。今年は練習もできていますし、だんだん試合での走り方がわかってきました。周りのスタッフも気遣ってくれて、だいぶ自信を持って走れるようになりました」。富士山では長い区間を走って、チームに貢献したいと意気込みます。

感謝の気持ちを持てるのがチームの魅力と話す原田選手。「少しのことでも『ありがとう』と感謝の気持ちが自然に出てくるんです。実業団に行った先輩からも佛教大の良さなど聞くと嬉(うれ)しいですね」。チームへの想(おも)い、そして感謝の気持ちを込めて富士山に挑みます。

池田朱里(いけだあかり)選手(1年、京都外大西)

高校3年の冬からずっと故障で、大学に入ってからも走れない状態でした。「長い故障は初めてだったので精神的にもキツかったですが、大学に入ってから先輩方が補強を教えてくださったりして、その期間も頑張れました」。高校の恩師・藤井勘太先生の励ましも力になりました。

夏から走れるようになって練習も継続。秋になってからはさらに走れるようになってきました。「関西女子駅伝、全日本ではメンバーに入れず悔しかったので、富士山では走りでチームの目標達成の力になりたいですね。今後はチームの主力になって引っ張っていきたいです」と抱負も語ります。

小さなことでも「ありがとう」と感謝の気持ちを大切にするのもチームの魅力です(写真提供:佛教大学陸上競技部)

チームを支えるマネージャー、トレーナー

さらにチームを支える皆さんもご紹介します。

選手の走りを支えるマネージャーの福井希歩(ふくいきほ)さん(3年、京都西舞鶴)。高校時代は陸上部で投てきをしていました。佛教大学に入ってからマネージャーに。「練習のサポートはもちろんですが、選手とのコミュニケーションも大切にしています」

選手の皆さんを支えるマネージャーの福井希歩さん

さらにチームを支えるトレーナーの小西貴之さん。小西さんは澤井監督の桃山高校時代の教え子で、中央学院大学駅伝部で競技を続け、その後、専門学校で鍼灸の資格を取得。高校のトレーナー活動を経て、アスリートから市民ランナーの方まで多くのランナーさんの治療を担当しています。

施術の際には「選手の考えや感覚、今の気持ちなどを否定しないこと、そして励ますことですね。その中で今その選手に必要なことや頑張ってほしいことをわかりやすく伝えるようにしています」

選手の気持ちを尊重し、治療にあたる小西トレーナー(写真左)。澤井監督の教え子でもあります(写真提供:小西貴之さん)

「選手一人ひとりが今の自分を少しでも良くしようとするところ、お互いの努力や頑張りを尊重しあえるところが魅力ですね」とトレーナーの小西さんの言葉からもチームの雰囲気の良さが伝わってきますね。

チーム一丸となって富士山女子駅伝では8位入賞を目指しています!(写真提供:佛教大学陸上競技部)

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M高史の陸上まるかじり

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