名城大・原田紗希、初の日本インカレで不破聖衣来に次ぐ2位　強い同期から刺激を受け

• ＃第91回日本学生陸上競技対校選手権大会
• ＃名城大学

日本インカレ初日の9月9日、女子10000m決勝が行われ、約5カ月ぶりの復帰戦となった拓殖大学の不破聖衣来（2年、健大高崎）が優勝し、2位には名城大学のルーキー原田紗希（小林）が続いた。「タイムは狙ってなくて、駅伝に向けて、8位でもいいから入賞できればと思ってたけど、まさかメダルだなんて自分でもびっくりしてます」と原田は言い、明確に今、1年目から学生駅伝メンバー入りを見据えている。

小林の後ろにつき、先頭集団で勝負

レースがスタートすると、日本体育大学の黒田澪（4年、ルーテル学院）を先頭に縦長の集団となった。1600mで2番手にいた不破が前に出ると、1km3分20秒ほどのペースで大きな集団を引っ張る。原田は集団の前方に位置取り、先輩で主将の小林成美（4年、長野東）の後ろについてレースを進めた。

3000m過ぎには先頭集団は9人に絞られ、5000m過ぎには松山大学の小松優衣（4年、大分西）が先頭へ。不破が集団の最後尾にまわり、集団は変わらず1km3分20秒ほどのペースで周回を重ねる。先頭集団はさらに6人に絞られ、原田は前に小林、後ろに不破という位置でレースを進めた。

7200mで不破が一気に前に出る。集団がばらけ始めると原田は小林を抜き、前の選手に追いつくとそのまま抜き去り、2番手に浮上。後ろには立命館大学の飛田凜香（4年、比叡山）がぴたりとつき、原田は苦しさから顔をゆがめた。だがラスト1周の前で飛田を振り切り、持てる力をすべて出し切ってゴール。2位という結果に笑みを浮かべた。

御嶽合宿で力がついていることを実感

原田はこれまで、全国中学校駅伝や全国高校駅伝（都大路）を経験しているが、個人での全国大会はこれが初だった。「走るのが好きで、どうせやるなら日本一の大学でやりたい」という思いを胸に名城大の門をたたいたが、同期には米澤奈々香（仙台育英）や柳楽（なぎら）あずみ（筑紫女学園）、石松愛朱加（あすか、須磨学園）、明貝菜乃羽（みょうかい・なのは、薫英女学院）など、高校時代からトラックレースでも結果を出してきた選手も多い。その同期たちは1年目の春から日本学生個人選手権やU20日本選手権などに出場し、原田はその姿を寮で見送った。「分かっていたけどすごい悔しかった」と当時を振り返る。

中高では駅伝メンバー入りをするのは当たり前だったが、名城大では簡単なことではない。その覚悟を胸に、原田は1年目は土台を作ることを課題に掲げ、夏合宿に臨んだ。富士見高原（長野）での1次合宿で走り込み、日本インカレに出場するメンバーは御嶽（岐阜）での2次合宿へ。原田は距離走やペース走などを得意している反面、200mやインターバルなどのスピード練習に苦手意識があったという。だが平地での200mで精いっぱいだったはずのタイムを、標高の高い御嶽で楽に出せるようになり、力がついていることを実感。駅伝メンバー入りも狙えるのではないか、と自信がついた。

大学4年間で不破を超える学生新を

当初は日本インカレに出場できるだけでもうれしかった。だがその舞台で入賞にとどまらず、表彰台を獲得。この結果に一番驚いていたのは原田本人だったかもしれない。ともに走った小林は体調不良もあり、5位にとどまったが、原田にとっては今もその背中を追う憧れの先輩だ。「すごいストイックで、自分がやるべきことをしっかり持ってて、苦しい時も弱いところを見せないキャプテンです。先輩がきつい時にも引っ張ってくださり、本当にすごいな」。憧れの先輩たちと襷（たすき）をつなぎ、駅伝連覇記録を更新することが原田の目標だ。

トラックレースでも、大学4年間で10000mの日本学生記録の更新を目指している。それは30分45秒21の日本学生記録を持つ不破への挑戦でもある。「今大会で初めて会って初めて一緒に走ったけど、やっぱり強いなと思いました。本調子はでなかったようですが……。でも、いつかは勝ちたいと思っています」

大学初の全国大会で自信を深めたルーキーが、初の学生駅伝でどんな走りを見せてくれるのか。楽しみにしたい。