陸上・駅伝

特集:2022日本学生陸上競技個人選手権大会

名城大学ルーキー米澤奈々香「まだ足りないことが多くある」、大学4年間で強くなる

米澤の大学デビュー戦は1500m5位、5000m3位だった(撮影・松永早弥香)

2022日本学生陸上競技個人選手権大会

4月15~17日@レモンガススタジアム平塚(神奈川)
米澤奈々香(名城大1年)
1500m 5位 4分25秒70
5000m 3位 15分51秒62

4月15~17日の日本学生個人選手権で、名城大学ルーキーの米澤奈々香(仙台育英)は1500m予選・決勝と5000m決勝の3レースに臨んだ。すべて先輩の山本有真(ゆま、4年、光ヶ丘女子)とともに走り、1500mは5位、5000mでは3位だった。「スピード持久力だったりまだ足りないことが多くあるので、(米田勝朗)監督の指導の下、強くなっていきたいです」と大学デビュー戦を振り返った。

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雨の中、1500mを1日2レース

初日は冷たい雨が降り続き、11時13分に1500m予選、15時39分に1500m決勝と二つのレースがあった。予選は山本に続く2着。疲労が残る中で調整する難しさを感じ、山本の姿に学びながら決勝に備えた。

決勝ではシェイラ チェロティーチ(明治国際医療大2年、益田東)が1周目から前に出ると大きな集団でレースが進み、米澤は7、8番手。800m過ぎに集団がばらけ、先頭集団は7人、米澤はその最後尾につけていた。ラスト1周で一気にペースが上がり、首位争いはシェイラと樫原沙紀(筑波大3年、呉三津田)と道下美槻(立教大3年、順天)の3人に絞られた。米澤は同期の柳樂あずみ(名城大1年、筑紫女学園)と競り合いとなり、0.1秒差で競り勝っての5位だった。

雨の中で1500mを2レースに、米澤(左端)は調整の難しさを感じた(撮影・藤井みさ)

5000mも山本の背中を追って

1日挟んでの最終日、まだ疲労が残っていたが、雨だった初日と打って変わっての晴天に体の動きもよく、高校時代にあまり走っていなかった5000mのレースにワクワクしていたという。

山﨑りさ(日本体育大2年、成田)を先頭に集団でレースが進み、その後ろに山本、米澤は5番手につけていた。一時は小松優衣(松山大4年、大分西)が先頭になったが、2000mで再び山﨑が前に出ると米澤も3番手に上がる。

4000m手前で山本が先頭に出ると村松灯(立命館大2年、立命館宇治)もその後ろにつき、米澤は再び4番手へ。ラスト1周を前にして、余裕があった米澤はスパートをかけて先頭に立つも、すぐに山本と山﨑に追い抜かれて差が開いていく。米澤も最後まで粘り山﨑に迫ったが、そのまま3位でゴールした。

5000mラスト1周を前にして米澤(6番)は前に出たが、すぐに山本(4番)が抜き返し、ラストスパートの強さを痛感した(撮影・藤井みさ)

1位には山本が入り、この結果も含めて山本は6月26日~7月7日(陸上は6月30日~7月5日)に中国・成都で開催予定のFISU ワールドユニバーシティゲームズの日本代表に内定した。米澤は山本に対し、「ラスト強いなと改めて思ったので、自分もしっかりスピードを磨き上げてチャレンジができたらと思っています」と先輩の強さを再確認した。

1500mから始めて距離を伸ばしていく

米澤は北浜中学校(静岡)から本格的に陸上を始め、1年目から全国の舞台を経験し、中2でジュニアオリンピック1500mで3位入賞、中3では1500mで全中とジュニアオリンピックとともに優勝を飾った。

仙台育英高校(宮城)に進んでからは1年目に全国高校駅伝(都大路)で2区を走り、男女とともに優勝。高2では日本選手権1500mで田中希実(豊田織機TC)に続く2位と実績を残した。高3だった昨年はインターハイで1500m2位、3000m3位とともに日本人トップ。2年ぶりの優勝を目指した都大路では1区を務め、2位に30秒の差をつけて襷(たすき)をつなぎ、仙台育英はアンカーの5区まで首位を独走。2年ぶり5度目の優勝を飾った。

そんな世代トップランナーは学業と競技の両立を目指し、名城大に進学した。人間学部人間学科の授業も始まり、「授業時間も倍以上になって結構苦しいけど、徐々に慣れていって、競技生活としっかり両立できたらと思います」と米澤。米田監督の指導は刺激も多く、まだ慣れないところもあるようだが、「少しずつ慣れていって、自分に一番合う調整メニューを自分で考えていきたい」と、自発的に取り組む姿勢を見せている。

そんな米澤に対し、山本は「高校時代にトップレベルで走ってきた選手だなと思って、先輩だけど見習うところが多いです」と言う。米澤も憧れの選手として、主将の小林成美(4年、長野東)と副将の山本の名前を挙げた。「すごく心強い先輩ですし、チームを盛り上げてくださっています」と先輩たちの姿に刺激を受け、一つひとつ学んでいる。

山本(4番)は米澤(6番)にとって目指すべき存在だ(撮影・松永早弥香)

米澤は高3の時に1500mで4分14秒74、3000mで8分59秒97、5000mで15分31秒33という好記録をマークしている。大学1年目は「生活に慣れていき、自分の力をしっかり発揮できること」を目標に掲げ、大学4年間を通じて1500mから距離を伸ばしていく予定だ。目指す大会や記録も、「一つひとつ積み重ねていけたらと思っています」と明言は避けた。

だが、5連覇中の全日本大学女子駅伝(杜の都駅伝)、4連覇中の全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)も、1年目から視野に入れているだろう。都大路で2度の優勝を経験しているスーパールーキーの大学駅伝デビュー戦が待ち遠しい。

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