陸上・駅伝

特集:第97回箱根駅伝

M高史×たむじょー対談(上)「箱根駅伝、どの大学が勝つのか予測不可能!」

大学4年間を陸上に打ち込んだ2人。それぞれの立場から箱根駅伝を語ります!(ポートレート撮影・すべて齋藤大輔)

箱根駅伝直前の特別企画! 4years.の陸上応援団長を務めている駒澤大学出身、ものまねアスリート芸人のM高史さんと、ランニングコメディYouTuberとして活躍する帝京大学出身のたむじょーさんが対談。エントリーメンバーを見ながら注目のチームについて語り尽くしました! 彼らだからわかる「ならでは」の情報も!?

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箱根駅伝チームエントリー発表・予選会からの10校&学生連合編 上位を目指す!

たむじょーの母校、帝京大の調子は?

4years.編集部(以下、――):まずはエントリーを見ながら、今年の注目校を見ていきましょう。Mさんはメンバー発表の時、主務としてしゃべったんですよね。

M高史:そうなんですよ。例年だと発表は恵比寿のホールの壇上に監督と主務が並んで、各大学の特徴を主務が発表する形式です。僕が3年生で主務になった年の前まで駒澤は4連覇してて、僕がトップバッターでしゃべったんですよ。めちゃくちゃ緊張しました! 今年はリモートで各大学をつないでいたようですが、別の緊張感があったんじゃないですかね。

――トークバトルもオンラインでした。全員が画面で会場にいるという新しい形式。

たむじょー:それすごいですね。

M高史:今年、たむじょーさんの母校の帝京大学はどうですか?

たむじょー:僕、前回エントリーされたけど走ってないから偉そうなこと言えないんですけど……。前回は4年生が6人エントリーされて、僕以外の5人が走りました(笑)。その5人の穴をどう埋めるかが気になりますけど、前回も1区は小野寺(悠、4年、加藤学園)、2区は星(岳、4年、明成)、3区遠藤(大地、3年、古川工)と後輩なんですよね。前半3区間は強みなのかなと思います。全日本大学駅伝を見ても「後輩たちって選手層厚かったんだな」って改めて思いました。

さてさて誰が走るのか……?メンバー表も見ながら、ああでもないこうでもないと語り尽くします

M高史:帝京といえば、バイト合宿ですよね! 夏合宿のときに、1.5軍のメンバーが宿でバイトをしながら、一緒に練習をすると聞いたんですが。

たむじょー:僕、1年生のときバイト合宿経験しましたよ。だからシーツ敷くのとか「ピーン!!」ってできるし超うまいです(笑)! それまで陸上ばかりやってて、バイトなんてしたことなかったので、それが実質初めてのバイトでした。体はそんなでもないんですけど、やっぱり精神的にかなりキツイなって感じました。

M高史:でもバイト代は出るんですよね? 何に使ったんですか?

たむじょー:それは……治療代に使いましたってことにしといたほうがいいですよね(笑)。

M高史:(笑)。このバイト組から箱根を走る選手もたくさんいるんですよね?

たむじょー:僕と同じ代で3年連続9区を走った小森稜太(現・NTN)もバイト組でした。バイト組の存在はでかいです! 今年も、去年バイトしてた山根(昴希、4年、和歌山北)が選ばれてるので注目ですね。最後なので走ってほしいです。

M高史:帝京のエントリーメンバーを見ると、1年生は1人だけ。やっぱり「育成の帝京」ですよね。

星選手(左)は前回2区を担当。頼れる大エースです(撮影・藤井みさ)

たむじょー:今年でいうと増田(空、4年、小豆島)や烏飼(悠生、4年、市立船橋)が入ってきたのも注目ですし、あとはやっぱり星が11月の10000m記録挑戦競技会で28分20秒で日本人トップだったのはでかいです! 2年のときは10区区間賞、前回は3年生ながら2区を任されてて安心感があります。まあいけるだろ! って思います(笑)。あとは安定感という意味では、小野寺が一番あるんじゃないかな。今年の4年生はみんなしっかりしてますね。

「唯一の97年組」竹石選手にエール!

M高史:帝京の話はこれぐらいにして、他大学の注目選手も見ていきましょう。たむじょーさん、誰が一番注目ですか?

たむじょー:やっぱり青学の竹石尚人選手(4年、鶴崎工)ですね! 僕、97年度生まれの世代なんですが、同じ代には相澤晃選手(東洋大~旭化成)、伊藤達彦選手(東京国際大~ホンダ)、吉田祐也選手(青山学院大~GMOアスリーツ)とすごい選手ばっかりなんです。羽生拓矢選手(東海大~トヨタ紡織)も実業団で復活しましたし、僕の同期の島貫(温太、GMOアスリーツ)も設楽悠太選手(ホンダ)を倒しての東日本実業団駅伝区間賞獲得。勢いに乗ってます。その世代で唯一留年して、最後のエントリーということで、応援したいです!

やっぱり同じ学年の選手の活躍は、特に気になっちゃいますよね

あとは青学だと、ルーキーの佐藤一世選手(八千代松陰)ですね。僕、市立船橋高校出身なので、市船のライバルという点でも注目してます。高校から5000m13分台、都大路1区でも日本人最高タイム更新と、とにかく強いですよね。去年岸本選手(大紀、2年、三条)が1年生ながら2区に起用されて好走したので、原晋監督は1年生でも2区を走れるような対策を取ってるんじゃないかなって思います。同じ千葉県民としても応援したいです。

充実の駒澤大、来年以降ももっと伸びる!?

――Mさんの母校、駒澤はどうでしょうか?

M高史:全日本大学駅伝で6年ぶりに優勝できて、大八木監督の奥様(京子さん)がすごく喜んでたのが印象的でした。監督の名言に「男だろ!」がありますけど、今回は選手たちが「監督を男にしよう」と一致団結してた感じでしたね。

たむじょー:10000mの上位10人の平均タイムが28分26秒ってやばくないですか?

M高史:学生長距離史上最速なんですよね。でも潜在能力的にはもっとあると思ってます。1、2年生の上位10人の平均が28分33秒なんですよ、今。2年後には上位10人平均が27分台とかもあり得るんじゃないかって思っちゃいます。

それから、小林歩選手(関大北陽)、加藤淳選手(西脇工)、伊東颯汰選手(大分東明)などの4年生もしっかりしてますし、けがをしていた神戸駿介選手(都松が谷)が間に合ったのも大きいです。それから田澤廉選手(2年、青森山田)!

田澤選手は前回3区を担当。今回はどの区間に来るのでしょうか?

たむじょー:僕、12月4日の日本選手権見に行っちゃいまして。あのメンツで8位入賞はやばいですよね! 勝負強さもありながら、安心感もある選手だと思います。

M高史:ですね! 箱根での爆走、期待したいです。それから僕が3年生から2年間主務を務めていたということもあり、同じく3年生から主務をしている青山くん(尚大、4年、中京大中京)にも注目してます。選手からの信頼もあつく、彼がいるからこそのチームワークにも注目です!

東海、國學院……前回上位校の様子は?

――王座奪還を狙う東海大学はどうでしょう。

たむじょー:僕らと同じ代の「黄金世代」が抜けましたけど、全日本大学駅伝でも2位と、やっぱり改めて強いなとは思います。

M高史:10000mの平均タイムは29分台ですが、フェイントの可能性ありますよね。石原選手(翔太郎、1年、倉敷)や長田選手(駿佑、3年、東海大札幌)など、主力級が記録会に出てないだけだろうなと思います。三本柱は4年生の塩澤選手(稀夕、伊賀白鳳)、名取選手(燎太、佐久長聖)、西田選手(壮志、九州学院)ですが、1区での出遅れを避けたいと考えるともしかしたら塩澤選手が1区に? とも考えちゃいますね。

たむじょー:石原選手は全日本大学駅伝を見ると、1人でも押していける選手だと思います。塩澤選手は競り合った方が強そう。今年は当日変更の人数も増えたし(1日4人、合計6人まで)、全然わからないですよね。

M高史:当日になったら驚くぐらい変わるんじゃないでしょうか。たまに、補欠だけど変更がバレないためにわざわざその区間に行かされる選手もいたりします(笑)。

――そんな戦略的なことも行われてるんですね(笑)。

M高史:そして、たむじょーさんの高校の先輩で、僕の大学の先輩といえば!

たむじょー:國學院大學の前田康弘監督です! 市立船橋高校、駒澤大学ですよね。

Mさんは前田監督にお会いすると今でもイジられるそうです

M高史:昨年の強力な4年生が抜けて、穴を埋めるのが大変かなと思ってましたが、着々と力をつけてきてる感じですよね。

たむじょー:藤木選手(宏太、3年、北海道栄)が強いですが、今年はすごく目立った記録を出してる! という印象はない感じも。でも本番には合わせてきそうです。あとは、前回のアンカー勝負で勝った殿地選手(琢朗、3年、益田清風)にもまた期待です。

――前田監督は箱根を、平坦な区間とそれ以外で考えている、とおっしゃっていましたね。

たむじょー:ほんとに、山を制した大学が上位に来るなと思います。1、2区も大事ですが、5、6区も本当に大事ですね!

伝統校・早稲田と明治も見逃せない

M高史:そういえば、早稲田大学の相楽豊監督はご自身が現役のとき5区、6区を両方走ったことがあるんですよね。早稲田といえば、早稲田大学記録会でのとんでもない記録ラッシュ!

たむじょー:からの日本選手権! 中谷選手(雄飛、3年、佐久長聖)、太田選手(直希、3年、浜松日体)の27分台2人はやばいです。

M高史:同一チームに27分台の選手が2人いるのは、東洋大に設楽悠太・啓太(現・日立物流)選手がいた時以来かな? と思います。早稲田は今年、いいところに行くと思います。あと、早稲田っていうと伝統校のイメージですが、TwitterやYouTubeでの発信も積極的にしてますよね。

たむじょー:今はテレビよりも動画を見る人が増えてると思います。テレビもいいんですけど、その時間にいないと見れない。でもYouTubeは見たいと思ったらすぐ見られるので、これからはやっぱり動画の時代。早稲田は一歩先を行ってると思います!

ラストギリギリ、ゴール際のこんな勝負が見られるかも?というぐらいどのチームも戦力が充実してますよね!

ーー伝統校といえば、明治大学の勢いも見逃せませんよね。

M高史:明治の山本佑樹駅伝監督は、前監督の西弘美さんと同じ誕生日なんですよね。西さんが日大のコーチをしていたときに当時高校生だった山本監督を勧誘して、誕生日の話も日大に行くきっかけになったとか……? 山本監督はレースへの調整力が抜群にうまいと思います!

たむじょー:チーム内に28分台が15人いるっていう、ちょっと考えられない状況になってますよね(汗)。

M高史:あと明治の選手は、僕もゲストで出た市民ランナー向けの大会でペースメーカーを務めていたことがありました。ランナーの人に積極的に声をかけたりと、ファンサービスがすごいしっかりしていました。

――箱根を走った選手に声をかけられたら嬉しいですよね!

M高史:そうなんですよ! しかも皆さん自ら動いてて、人間性もすごいチームだなって思いました。

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後半では駅伝を支える給水のエピソード、たむじょーさんが実際に箱根駅伝を走ったときの話、そして無観客で行われる大会について……などなど、話題はさまざまな方向へ。明日公開です!

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