陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

ルーキー岡田開成選手が3000mで中大記録更新 フェスティバルになった中大記録会

3000mで中大記録を樹立した岡田開成選手(すべて提供・中央大学陸上競技部)

今回の「M高史の陸上まるかじり」は、7月26日に開催されました「Summer Night Run Festival in CHUO(中央大学記録会)」のお話です。通常「中大記録会」として開催されている記録会がバージョンアップして開催されました。中央大学、さらには青山学院大学も参戦! M高史はMCを務めさせていただきました。

中大OBの方たちが指導する「かけっこ教室」

多摩モノレールの中央大学・明星大学駅を降りると、すぐに中央大学多摩キャンパスに着きます。キャンパスがとても広いため、陸上競技場まで歩くとそれだけで良いウォーミングアップになります(笑)。

中大記録会の名で知られるこの記録会ですが、今回は「Summer Night Run Festival in CHUO(中央大学記録会)」として開催されました。夏合宿を前にフェスティバルのように熱く、中大生主体の手作り感やおもてなし感が伝わってきます。

競技開始前には、かけっこ教室が開催され、中央大学OBの田母神一喜選手(III F)がゲスト講師として子どもたちに指導。同じくOBの堀尾謙介選手(M&Aベストパートナーズ)や現役の中大生、さらにはランニングインフルエンサーとしても活躍中の志村美希さんがゲストで参加され、子どもたちも元気いっぱいで駆け抜けていました。

競技開始前に行われた「かけっこ教室」。中央大学の「C」のポーズで記念撮影

印象的だったのは、中央大学・藤原正和駅伝監督からの子どもたちに向けたメッセージでした。世界選手権マラソン代表、箱根駅伝2区区間賞、全国高校駅伝優勝など、現役時代に華々しいご活躍をされた藤原監督ですが、子どもの頃はかけっこが苦手だったそうです。それでも練習を積み重ねて、その後の活躍につなげていかれました。お話を聞いた子どもたちにとって、授業や教科書だけでは学べない貴重な機会になったのではないでしょうか。

子どもたちにメッセージを送る藤原正和駅伝監督

競技場の外にはキッチンカーも出店!

その後、U16、U18、U23のカテゴリーに分かれて、1500mと3000mが行われ、現役の中大生や卒業生がペースメーカーを務めました。M高史はMCで、 アナウンスをされた中央大学のマネージャー長・橋本怜南さん(4年、栃木女子)やゲストの志村美希さんと選手の皆さんへエールを送らせていただきました!

競技場の外にはキッチンカーも出店していて、飲食をしながら応援することができます。といっても熱いレースが続くので、食べたり飲んだりするよりも、皆さんレースに釘付けです(笑)。

ゲストの志村美希さん(左)とアナウンス席から選手の皆さんを応援!

まずはU23男子1500mからスタートしました。1位の吉中祐太選手(3年、豊浦)が3分44秒17 、2位の吉居駿恭選手(3年、仙台育英)が3分44秒62、3位の後藤琉太朗選手(2年、東海大札幌)が3分46秒22と、ペースメーカーを除いた3人全員が自己ベストを更新し、競技開始早々、盛り上がりを見せました。

U16、U18の種目もあり、多摩地区を中心とした中学生のほか、岐阜県の中京高校や千葉県の市立松戸高校も参加。中央大学を今春に卒業されて今年から中京高校のコーチに就任した羽藤隆成先生もペースメーカーとして3000mに出場。また、市立松戸高校の蓑和廣太朗先生も3000mのペースメーカーとして、教え子の皆さんを中心にペースを引っ張っていました。

まるで中大と青学大の対校戦!?

3000mの2組、3組は中央大学と青山学院大学の対校戦のような顔ぶれになりました。3大駅伝やインカレの出場メンバー、期待のルーキーが出場し、火花が散っていました。

3000m2組を制したのは中央大学の佐藤蓮選手(2年、仙台育英)でした。ラストスパートで一気にトップに立ち、8分03秒36の好タイム。7分台に近い記録が飛び出し、3組目の好記録も期待されました。

3000m2組目から好タイムが続きました!12番は2組3位に入った山口大輔選手(4年、藤沢翔陵)

そして、最終組となった3000m3組。途中でポツポツと雨も降ってきましたが、暑かったのでむしろ「恵みの雨」といったところ。解説席には山本亮コーチにもお越しいただき、的確な分析や解説をしていただきました。

レース後半、ペースメーカーが抜けてからは青山学院大学の小河原陽琉選手(1年、八千代松陰)がペースを上げて単独トップに。そのまま逃げ切るかと思われましたが、中央大学の岡田開成選手(1年、洛南)がラスト1周の鐘が鳴ると同時に並びかけて、一気にスパート。岡田選手はそのまま逃げ切り、7分55秒41と中大記録を更新するタイムをマークし、トップを取りました。 

2位に入ったのは中央大学の本間颯選手(2年、埼玉栄)。7分58秒64と岡田選手に続く7分台でした。

3位には青山学院大学の黒田朝日選手(3年、玉野光南)が8分02秒83で続きました。前半は目立たない位置にいましたが、後半にかけてスッと順位を上げてきました。4位はなんと中央大学の大石港与コーチ! 8分05秒57でなんと自己ベストを更新。途中、単独トップに立った青山学院大学の小河原陽琉選手は8分05秒81の5位でした。

7分台から8分1桁の好タイムで自己ベストが続出した3000m3組目の皆さん

中大の皆さんは17人が自己ベストを更新

中央大学の佐藤選手、岡田選手、本間選手のレース後コメントです。

佐藤蓮選手(3000m2組1位・8分03秒36)
「暑さが残る中でのレースでしたが、一定のペースで刻むことができ、自分の得意とするラストスパートで自己ベスト更新と、会場を盛り上げることができたと思います。駅伝シーズンに向けて、距離への対応も必須になってくると思いますが、レースや練習での安定感も求められてくると思うので、夏場に土台を作り直して、駅伝で活躍できるよう頑張りたいと思います」

岡田開成選手(3000m3組1位・7分55秒41)中大記録更新
「今回は自分の弱点であるラストスパートの改善を意識して走りました。ラスト1周まで足をため、しっかり勝ちきれたので良かったです。また連戦の中の3000mで疲れもあったので、中大記録は出せないと思っていましたが、出すことができ、うれしかったです。(今後は)まだまだラストには課題が残っていますので、そこを改善して5000mに生かしていくことと、まだ10km以上の距離には不安がありますのでしっかり距離を踏み、ハーフマラソンも走れるようにしていきたいです」

本間颯選手(3000m3組2位・7分58秒64)
「ホクレンとハーフの連戦で疲労がある中ではありましたが、中大記録をターゲットにして出走しました。ラストも切り替えられず、後輩に負けて悔しい気持ちですが、レースは楽しめました。今後は駅伝シーズンとなりますので箱根駅伝予選会、全日本大学駅伝、箱根駅伝でしっかり結果を残せるように夏合宿に取り組んでいきます」

ちなみに、中央大学の皆さんは1500m、3000m合わせて17人が自己ベストを更新したそうです。3000mという種目に出場する機会は少ないかもしれませんが、それでも夏合宿での本格的な走り込みを前に「PB祭り」と言える記録会となりました。

大学の記録会というと当然ながら競技志向が強く、エンタメ的な要素を盛り込むことは難しかったと思います。それでも、これから少しずつ変わっていくのかもしれないと感じました!

エンタメ要素もある魅力的な記録会になりました!

M高史の陸上まるかじり

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